GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

オペラ座の怪人④

新型コロナ禍の中であるが、先日、ウォーターズ竹芝にある四季劇場秋でミュージカルを観劇した。

四季劇場春・秋は今年建て替わったばかりで、オペラ座の怪人こけら落とし公演となる。

観劇する数日前になんとなくサイトを見たら空いている席があったので即時取ったのだが、数ヵ月先まで全席満員が常の劇団四季の席が空いているとは新型コロナ禍の影響は相当なものだな…と思いつつも当日は9割以上は埋まっていたので安心した。

今回は四季劇場秋で上演されたオペラ座の怪人を感激したが、3年半ぶり6回目の鑑賞となる。

劇団四季のミュージカルの観劇は通算で30回を超えるが、この演目が最も好きなこともあって最も多く観劇していることになる。

 

同じ映画を2度見ることは滅多にないのにミュージカルに関しては同じ演目を何度観ても全く飽きないのだが、さらにこれだけ間が空いたことによって、新鮮味も感じたし、ずいぶんと内容がリニューアルされているようにも感じた。

以前のオペラ座の怪人=ファントムは何もかもが圧倒的な存在だったのだが、今回は人間味だとか弱さだとかいった要素が増していた気がしたし、全体的なセリフや振り付けもところどころで変わっていたように思う。

もちろん、長年に渡ってファントムを演じてこられた高井治氏のファントムがあまりに圧倒的だったからそういう印象を持っただけなのかもしれないのだが、日々変化をつけていくことによってマニア的ファンがより楽しめるようになっているのだろうと思う。

 

今回ファントム役を務めた岩城雄太さんのテノールは高井治さんのバリトンと雰囲気が違うもののものすごい美声であることには変わりはなく、ラウル役の光田健一さんも美声かつ長身で舞台映えしていたが、今回はクリスティーヌ・ダーエ役の山本紗衣さんの演技の印象が最も強く残った。

これまでファントムとラウルに特に目が行きがちだったこのミュージカルにおいてクリスティーヌ・ダーエに最も目を奪われたのは、ファントムを高井治氏が演じていなかったからというのが最大の要因であるといえ、とにかく山本さんの美声が圧倒的だったからである。

余談だし、だから何?というネタだが、山本さんはタレントのスザンヌさんと同姓同名で漢字も同じで、年齢はスザンヌさんが1歳上だけど二人とも10月生まれだということもわかった。

 

オペラ座の怪人の魅力には演奏が生演奏であるという要素も大きいのだが、新型コロナ禍にあってバーチャルではない実物を渇望しているなかで美しいオーケストラの生演奏を聴くと心に強くこみ上げてくるものがあった。

開演時刻になると幕が上がる前にまずオーケストラの演奏からスタートするのだが、観劇が始める前に「ああ…ミュージカルの生演奏は本当にいいなあ…」と感激するわ、「来るぞ来るぞ!」とわかっていながらも冒頭にシャンデリアが天井から降りてくるシーンでは背筋がぞぞぞっとするわで極上の時間を過ごすことができた。

 

そして、長年にわたってファントムといえば高井治氏だったのだが、喉の調子だとか58歳という年齢だとかさまざまな要素はあると思われるものの、今回はアンサンブルでの出演となっていた。

長年にわたってトップスターを超えてスーパースターを演じてきた高井氏が、あえて極端に表現をしてみるなら「球拾い」をやっておられるということに強い感銘を受けた。

トップスターのプライドを保って休んだり引退したりせずに、どこまでも良い意味でとことん「オペラ座の怪人バカ」として演じることに喜びを感じておられるところに野球のイチロー氏やサッカーの三浦知良選手に持った感覚と似た感覚を持った。

俺のプロフィールページでも「あらゆる歌手の中で生声を聴いて最も衝撃を受けたのは劇団四季の高井治氏」と述べているのだが、今の高井さんもあまりにカッコ良すぎて言葉が出ぬ…。

 

2年半前に浅利慶太さんが亡くなり、良くも悪くも劇団四季は浅利氏の影響下から変容していくのだと思うが、スターを売り出さずに作品の質の確保に全力で集中する作品主義を漸進的に改めてスターシステムに変容していくのか、演技力を重視しながらもトップスターには国籍を問わないで圧倒的な歌唱力を求めるという姿勢に変化は生じるのか、また、頑ななまでに母音重視の発声法に変化は生じるのか、はたまた浅利イズムは全く変わらないのか…等々、劇団四季の経営がどうなっていくのかも併せて色々と気になるが、劇団四季が俺にとって必要な存在であることには変わりはない。

ところで、クラウドファンディングによって資金を調達するというのは資本主義的に邪道というか、いち個人投資家としてこの手法が好きではなく、賛同したこともなかったのだが、今夏に劇団四季が新型コロナ危機でクラウドファンディングを募っていた時に「是非とも協力したい。協力させてください!」と心から思って微力ながらクラウドファンディングに参加した。

劇団四季のような存在があると、「クラウドファンディングってこういう気持ちの時にするものなのね!」とストンと理解できるのだなと思った。

 

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  f:id:gooddays-shumai:20201206123354j:plainこけら落としして初めて入る四季劇場秋