俺には子供がいないし、電車には乗らないし、イベントや娯楽施設にも行かないし、近所のスーパー以外の店にも行かないので生活は何も変わらないのだが、ここ2日の安倍政権の動きを見て安倍政権の支持をやめた。
第一次安倍政権が頓挫した時に悔しくて是非とも再登板して欲しいと願っていたので、第二次政権ができたときはかなりうれしく思ったし、結果さえ出せばということでモリカケその他諸々で無茶をやっていたとしても他に選択肢がないということで許容してきたのだが、今回だけは愛想が尽きた。
投資を行っている者としてのポジショントークかもしれないが、ちょっとブレすぎていると思ったのである。
新型コロナウイルス禍に際して、これまで日本が他国と比べて明らかに緩慢だったのは、日本政府が「新型コロナウイルスなんてそこまで大したことねーよ。他の国は騒ぎすぎだろ!」と達観していたからだと思っていたし、そうでないと説明がつかないと思ってきた。
そして、俺もその達観論にまんまと乗ってきた。
俺は防疫のことをわかっていない門外漢だし、指数関数的な感染だとかパンデミックは確かに怖いし、また、極めて少数派かつ暴論だとは思うのだが、「症状が特別に重い疾病とは思わないので、国民がゆっくりと感染していけばいいんじゃん?まあ、他の国ではやたらと騒いでいるのだけど…」とすら長らく思ってきた。
しかし、安倍政権はこの2日間にイベントの自粛要請という手を打ち、さらに公立小中高校の休校要請というすさまじい手を打ったわけで、要は全く達観していたわけではなかったということになる。
安倍首相は「これから1~2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となります」と述べているのだが、「そう言うのであれば、今より重要でない過去の時間があったのか?」と言わざるを得ないと思う。
法の未整備ぶりを見ればわかることでもあるのだが、他の国が先んじて厳しい手を打っているなかで、日本政府では大日本帝国陸海軍の愚かさとその反動としての平和ボケから来る危機管理の欠如がまだ続いていたのかと見ていて悲しくなった。
そして、今頃になってこれだけ厳しいことを言うのであれば、春節のインバウンド需要欲しさと習近平氏国賓来日前の配慮で中国人の入国を許し続け、今もそれを止めていない愚や、クルーズ船での防疫に失敗したことをきちんと認めて謝った上で国民に多大な負担を強いるべきだと思う。
決して朝令暮改を責めるわけではないが、ケジメとなる言葉は必要だと強く思うのである。
しかしながら、今回の強烈すぎる手はメリットも大きいし、デメリットも大きい。
…というわけで、自分なりにメリットとデメリットを挙げて並列してみたのだが、俺は今でもトータルで見たらデメリットのほうが大きいのではなかろうかと思う。
- 学校の休校
メリット:学校を休校することによって基本的に不潔な子供間の感染を減らせる。
子供や家族連れが外に出るのを強烈に自粛させることによってクリティカルに感染拡大を抑えられる。
ここまで強引な手を打つことでテレワークや休暇取得を企業に半ば押しつけるかたちで推進して、生産性を上げたり休みを取りやすい社会にしていく上でのカンフル剤になる。
また、学校では「ライブの授業よりオンラインや動画で授業受けるほうが良くない?」と個人的には思っているのだが、そういったことを考えるとても良い機会になる。
デメリット:新型コロナウイルスによる子供の死亡例が極めて少ない。
それなのにも関わらず、子供とその親を自粛ムードの最大の犠牲者にしている。
未就学児のほうがより不潔なのに保育所は開けるというのは完全に矛盾している。
また、学童保育を開けたら休校しても同じである。
全世代で圧倒的に多忙な層である子供の親の負担が尋常ではない。
親の代わりに祖父母が電車などで通って孫を見る場合、新型コロナウイルスにおける弱者である高齢者が危機にさらされる。
北海道は待ったなしだと思うが、地域によって差があるのに一律で要請というのはあまりに粗っぽい。
社会で共働きを推進していながら梯子外しが酷すぎる。
まるで女性に専業主婦かパートでいることを推奨しているようにすら思える。
満員電車が解消せず、ビュッフェやスポーツジムが許容されているなかで、学校を狙い撃ちするのはどうかと思う。
専門家の提言というよりは政治判断で行われているように見えるが、効果が未知数である。
いくら強烈なカンフル剤でも国内外双方の景況がマズすぎるときに打つのはどうかと思う。
- イベントの自粛要請と学校の休校の両方
メリット:感染の拡大を防ぐ。
あくまで「自粛要請」というかたちをとることで政府の負担を抑えられる。
イベントでの自粛ムードを作ることで、不要不急といえる飲食店内やあらゆる娯楽業施設内での感染を防ぐ。
オリンピック前までに収束させられる確率が上がる。
デメリット:いくらなんでも経済的なダメージが甚大すぎる。
世界の株式相場の下落およびリセッションの危機・中国の経済悪化・中国とのサプライチェーンの寸断・サービス業の劇的な悪化・中小企業の資金繰りの難化という環境下でこの苛烈な手を打つか?と思う。
オリンピックより個々の国民の生活のほうがずっと大切である。
これで行き詰まる中小企業の数は膨大なのではないかと思う。
こんな自粛モードのなかで結婚式をする人などにかける言葉がない。
- 中国人の入国を許可し続けることについて
メリット:中国人を拒否しないことで、習近平氏国賓来日前の中国との関係悪化を防ぐことができた。
デメリット:今も中国人が入国し続けており、水道の蛇口が開きっぱなしとなっている。
それどころか逆に中国の自治体から日本人の入境を禁じられるという目も当てられない屈辱的な状況になってきている。
- 強固な措置を取ることと国際関係
メリット:日本で新型コロナウイルスが広がりすぎると国際的な信用を失い、国の危機管理能力に疑問を呈される。
ビジネスや観光において日本と外国との人の行き来が難しくなる。
東京オリンピックの開催も危うくなる。
デメリット:国際協調・グローバルという意味では感染の流行に際して強硬な措置を取ることに関してのデメリットは何もない。
- ついでに…
社会が許容:インフルエンザでは1万人ぐらいが関連死していて、窒息による事故死も死者が1月に集中していて、年間に1,300人が亡くなっているようだが、おそらくは餅によるものである。
社会が拒絶:新型コロナウイルスで亡くなったのは今のところ数名、こんにゃくゼリーで亡くなったのも数名。
しかし、今回の劇薬で相当な経済的な損失が発生するが、もし、これによってテレワークが一気に進展し、急激に休みやすく非常時にも強い社会になっていくのだとしたら安倍首相は名宰相となるわけであり、それを確認した暁には「安倍さん、俺が間違ってました。あれから日本社会は変わりました。すみませんでした」と陰ながらわびを入れて自民党に投票したいと思うし、そうなればいいなあと思う。
まあ、今もどこに投票するかビミョーなのだけど…。
それと、株式は先週末まで高値圏に推移し、為替も円安に振れ、何故かダンスは続いていたのだが、今週になって一気にクラッシュした。
やはり世の中、一寸先は闇だと思った。
以下は、第一次安倍内閣が終了した際に残念がっていた俺の記述。
別に内容はない昔の文章です…。
【2020年3月5日追記】
今回の続きを次回に書きましたが、内容的には次回のほうがいい内容だと思います。
【2020年3月31日追記】
こんなに欧米諸国がボロボロになり、日本でも予断を許さない状況が続くと、当初の緩さは責められるべきとはいえ、この時の安倍氏の判断は大げさではなかったんだなと後になって思い知りました。
また、欧米諸国のほうがずっと朝令暮改で急な判断を繰り返しているのと比べると、日本のほうが何倍も判断が慎重で、かつ、強制力を働かせることができないなかで善戦しているともいえますが、そうであっても当初に中国に気を使い過ぎて対策が緩くなったことに関してはいつか必ず反省の意を述べるべきだろうと思っています。
また、外出自粛要請はまずは何よりも老人に向けて行うべきと思ってもいるため、安倍内閣を支持するかといえば今でも難しいと思っています。
【2020年4月12日追記】
マイナンバー制度がきちんと機能していない今の日本社会においては安倍内閣が打ち出した30万円現金給付には全く賛同できません。
役所の窓口を地獄に陥れ、かつ、カネが尽きて困まり果てた国民が不正受給が働いてしまうのを助長するかのような最悪中の最悪の政策には呆れ果ててものが言えません。
稲盛会計学ダブルチェックの法則ではないですが、確定申告制度がそのようになっているように重い罰則や調査権限等を持たせて最初から不正をする気を起こさせないような仕組みを作るのが国の重要な使命なはずです。
【2020年5月14日追記】
一律10万円支給案にも問題はあるのですが、上記のとても正気とは思えない案が撤回されたのはとても良かったと思います。
【2022年7月11日追記】
7月8日に安倍さんが凶弾に倒れた。
とてつもなく悲しかった。
この回ではイライラしてこのようなことを述べてしまったが、安倍さんが日本のためにどれだけ働いてくれたかと思うと感謝の気持ちしか湧いてこない。
この回でこのようなことを書いてしまったが、この時点ではこういう手を打つのは仕方なかったと後になって思う。
そして、安倍さんの仕事のほとんどがすばらしかったし、何より、俺自身にとっても安倍さんが一番好きな政治家であり続けた。
テレワーク開始前日の2月25日20時頃の電通ビル
2月26日20時頃の電通ビル
2月27日20時頃の電通ビル、東京タワーの上に三日月が出てる
2月28日19時頃の電通ビル