GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

二院制における攻めと守りと議会運営の洗練度

攻め・独断型を細川氏・橋本氏・小泉氏・安倍氏・麻生氏とするならば、守り・調整型の村山氏・小渕氏・森氏・福田氏といえるだろう。

 

最後が酷かったから功績が雲に隠れてしまったが、教育基本法改正といい、国民投票法成立といい、防衛庁の省昇格といい、少し骨抜き気味ではあるが公務員法改正といい、これらは歴代の総理大臣がやりたくてもやりたくてもできなかった懸案であり、安倍内閣の功績は相当大きかったと個人的には思っている。

本当は何としてもあと5年ぐらいはやって欲しかった。

安倍氏は大計型の改革を進めるのにはすばらしい人材だが、小手先の戦術に劣る部分や守りに弱い部分があったのが災いしたわけである。

 

満を持して華やかに登場した青年宰相が衆参ねじれ構造というとんでもない置き土産を置いて悲惨な末路をたどった後の次期総裁に求められる要素は“守り”であろう。

残念ながら次の参院選までの3年間、自民党は自党の法案をほとんど通すことができなくなるわけで、ずっと守りに入ることを余儀なくされるのだ。

 

今の時代に本当にそれが求められているとは思わんが、そのような状況にある自民党が政権の座に居続ける限りにおいて、総裁に求められる条件はどうしても「安定感」と「老練さ」ということになってしまう。

安倍氏と逆で国家の計より大衆受けを重視し、また、目的のために手段を選ばない煽動的マキャベリストの小沢氏に臆せずに互角に対峙できるのは麻生氏よりは福田氏ということになるだろう。

今回の後出しジャンケンといい、宿敵である安倍氏の政権と一定の距離を取ってきたことといい、野心がないようにみせかける死んだふりといい、福田氏の上手いこと小ずるいこと上手いこと…。

 

しかし、何といってもサプライズだったのは小泉氏がいち早く福田支持に回ったことだが、これが大きく流れを変えたのだろうか、ほぼ全派閥が福田氏支持に回ってしまった。

でも、ほぼ全派閥が流れをうって支持に回ったということは、総主流型・派閥均衡型にならざるを得ず、福田政権が改革型の政権として存在することは難しいのであろう。

まあ、そもそもねじれ国会において改革なんてことは無理なのだが…。

 

超おぼっちゃまなのにべらんめえ口調で、実はクリスチャンで、元オリンピック選手で、マンガ大好きな麻生氏は人間的にはとてもおもしろみがあるが、失言癖といい、重みのなさ、というか軽さといい、今必要とされる防御には向かないタイプの人間である。

そして福田氏が名乗りをあげる前にまよわず麻生氏の「とてつもない日本」を本屋で購入した私もかなりの“勇み足”である。

 

しかしながら、本当に二院制って嫌ねぇ~。

ねじれが起きたら大連立を組まない限り与野党とも何もできなくなるんだから…。

ウルトラCで定員750名の一院制にしたほうがまだずっとマシですわよ…。

 

安倍内閣は3分の2で強引に法案を可決するという手があったのだけど、それを一度でもやってしまうと、次の総選挙で3分の2を割り込んだ時に民主党が全法案を否決することになりかねないからその伝家の宝刀は抜くに抜けなかったのだろうと今になっては思う。

ゲーム理論というのをちゃんと勉強したことはないが、要はそういうことっすよね…。

 

過去にねじれ構造を経験した国は二大政党が両方とも勉強してねじれ国会時の対処の仕方を知っているのだろうが、二大政党制後進国の日本では、小沢氏のようなマキャベリストが片方の党のトップにいる状況では上手くやりようががないわな…。

前原氏時代があまりに懐かしい…。

 

自民党は少なくともあと3年何もできないが、民主党はどんなに遅くとも次回の衆院選が2年後にあって、それで勝てば衆参両院を抑えられるので、あと次回の衆院選で負けでもしない限りは大連立になど動こうとしないのであろう。

かくして、この国は次回の衆議院選挙までの間、確実に停滞に陥るのである。