実は私は既に期日前投票を済ませてある。
しかし、選挙日直前になってちょっと思ったことについて書かせてもらう。
選挙を前に全体をチェック&私の一票はどこへ…
私は小泉内閣をそれなりに高く評価しているが、それは主に経済政策に対してである。
多くのところを自立的な成長に助けられたとはいえ、金融面での舵取りに大きく成功したわけで、これはかなり見事だったと思っている。
また、今回、小泉氏が自民党をぶっ壊したことについてももちろん高く評価している。
手法が云々と言っている場合ではないほどに利権に絡んだ議員が跳梁跋扈していた政界において、多少強引ではあれど、大なたをふるった小泉氏を評価できないはずがない。
なお、イラク戦争における日本のとった姿勢が歴史として良かったことになるのかどうかはまだわからないが個人的にはイラク戦争以降における小泉首相の一貫した日米同盟・国益重視の姿勢を基本的に支持し続けている。
しかし、小泉政権下におけるその他の改革の実はかなり酷いものだったように思う。
掛け声ばかりでほとんどが骨抜きに終わってしまっているからである。
これまで、「小泉さんさえ出現しなければ民主党が一回ぐらいは政権をとっていただろうから、政治に緊張感が出たのに…」とうらめしく思い続けてきたぐらいである。
でも、今回の小泉氏の行動はなかなか見上げたものであった。
だからこそ、今現在においてもこれだけの支持を集めているのであろう。
もちろん、私も小泉首相の一貫にしたリーダーシップに好感を抱いている。
しかし、私は民主党を支持しているというわけではないけれども、今回も自民党を支持するのを半分見送ることとした。
私は既に期日前投票を済ませたが、比例では民主党、小選挙区では自民党の候補者に票を投じた。
私はまだ自民党のことを改革政党と認めたくないので、これまで通り、比例では自民党への批判票を入れることとしたのだ。
ただ、小選挙区のほうでは自民党候補に投票したのだが、自民党に投票をしたのはこれが初めてである…。
やはり、あと1年で確実に退任するであろう小泉首相が引っ張らない自民党は今ひとつ支持できない。
仮に安倍晋三氏が次期総裁になっても心配はある。
世の中に小泉氏が総裁を務めていない自民党に票を投ずる人が一体どれだけいるというのだろう?
それに、今回排除されることになる抵抗勢力は単に郵政の抵抗勢力にすぎないわけで、私が本当に国のためにならないと思っているような議員は普通に公認をもらっていそうな気がするので今回も自民党を直接的に支持するのは見送った。
また、今回、自民党は郵政法案の是非のみを国民に問うているが、「ガラガラポンをやっておいて、そんなことだけを争点にするようでは困る」とどうしても思ってしまうのである。
そんなことだけのために選挙をやっているほどこの国には時間的余裕がないと思ってしまうのである。
どちらの政策に理があるか
…で、以下に、争点別の意見と、自民党と民主党のどちらの党に理があるかについて述べてみることとした。
- 争点は郵政だけか?→民主
解散のきっかけは「郵政解散」だが、争点は郵政だけではないだろう…。
小泉氏の明快かつ一貫した論法に対して、解散前にろくに対案を示さなかった民主党はタジタジだが、二大政党時代における総選挙=衆議院選挙とは、「政権選択選挙」であり「国民が総理大臣を選ぶ選挙」でもあるはずである。
この点においては、タジタジになってはいるものの民主の言っていることのほうに理があると思う。
でも、民主はやり方が下手すぎたので実際の勝者は圧倒的に自民か…。
とはいえ、独立で採算を取れている郵政公務員を指して「郵便局ほど公務員を使っている役所はない!」と叫ぶ小泉首相のパフォーマンス&論法にはシンパの私でもさすがに違和感を覚えるなあ…。
- 年金問題→自民
できるのならば言うことは何もないが、残念ながら一元化は、自営業者の所得の捕捉が難しいのと、被雇用者が負担分を自営業者が払うと負担感が大きいので実際には難しいと思う。
共済年金と厚生年金のシステムは複雑怪奇で似て非なるものらしいが、まだこちらの統合のほうが断然簡単であろう。
しかし、パート勤務者を厚生年金に加入させる自民党の案を弱者イジメに思ってしまうのは私だけだろうか…。
ところで、自営業者のためには「国民年金基金」という異常なまでに有利な制度が用意されているのに5%の自営業者しか加入していないのだから、そもそも自営業者は多額の年金なんぞに期待していないことはこのことからも既に明らかなはずである。
ただ、豊かな高齢者に多くの負担を求めようとする消費税方式という民主党の考え方には共感できる部分もある。
- 公共事業・高速道路→民主
道路公団改革は終わった問題だが、私は民主党案のほうがすぐれていると思うのは2005年3月6日にも述べた通り である。
大都市近郊ならともかく地方ではろくに走る気の起きないバカ高な高速道路を維持することより無料で開放するほうがトータルで見て国民の利になる。
高速道路が無料もしくは激安になれば、輸送コスト&効率が著しく改善され、移動時間が減ることから地域も大きく振興されると思われる。
例えば、無用の長物と化しているアクアラインだって無料になりさえすれば房総地域は大きく振興されるであろう…。
ただ、無料化すれば渋滞が予想される路線については引き続き有料にせざるを得ず、そういう意味ではドル箱路線ほど割を食う逆進性を持つことになるが、無駄な道路建設を一切止めることで国民の理解を得るしかなかろうと思う。
また、全般的な話になるが、道路特定財源を一般財源化すると断言している意味でも、無駄な道路は作らないと言い切っている面でも、無駄な新幹線整備を叫んでいない面でも民主党に理があると思う。
というか、この問題における自民党政治家のがんばりぶりを想像するだけで自民党に票を入れたくなくなる。
- 農業政策→民主
自民党支持の無党派の方々忘れてはいませんか?自民党の本質を…。
マニフェストには書いていなくても、自民党はさぞかし充実した作物価格維持政策・農家への補助金ばら撒き・農道整備・農道空港整備・漁港整備・土地改良事業などをやってくれるでしょう!
首相に近い山崎拓氏ですら前の補選では徹底的に利益誘導型の選挙戦を繰り広げたというから自民党の悪どさはまだまだ温存されておりますぞ!。
旧橋本派あたりの田舎者政治家の多くは今回も公認候補ですしね…。
バカバカしい減反行政を続けたり、FTA交渉で工業の足を引っ張って国益を損ねたり、農業土木削減で浮く財源を“零細農家を含む生産農家”への直接支払いに充てるような行為を続けるようでは自民党にも先がありませんわな…。
直接支払いをするのなら大規模専業農家のみを対象にすべきだし、戦略的に保護するのは治水のために必要な林業などに集中特化すべきでしょうな…。
とはいえ、民主の「補助金の直接支払い」の対象を「原則としてすべての販売農家」としているのが単なるバラマキとなり、かつ、集約化の妨げとならないかとても気になっているところではありまする…。
担い手が一気に減っていく時期になって、「株式会社だと採算重視だから撤退が心配」だとか「株式会社化だと農村が荒廃する」などといった寝言を言っている場合ではなく、よほど大胆な政策を打ち出さないと日本の農業の未来は暗いと思うのだがいかに…。
- 財政および税制→優劣つけられず
国の歳出は80兆円なのに対して、国の税収は45兆円程度である。
どんなに無駄な歳出を減らしたとしても20兆円程度しか削減できないと言われていることを考えると、将来的な増税は絶対に避けられない。
法人税は国際競争力に強く関わるから他国が上げないと簡単には上げられないし、所得税増税ではサラリーマンなどが圧倒的に不利である。
したがって、増税は消費税でまかなうしかない。
しかし、小泉首相は任期中の消費税引き上げについて否定し続けている。
国の借金や少子高齢化を思えばすぐにでも増税をすべきなのだから、景気に悪影響を及ぼすとはいえ、私は消費税アップを口にしない政党というのは無責任だと思う。
ちなみに、私個人の案は、ゆくゆくは消費税を20%ぐらいまで上げる必要があるが、毎年1%ずつ消費税率を上げ続けることで消費を前倒しさせ、景気への影響を最小限に抑えようという案である。
ところで、最近は「サラリーマン増税」という言葉が独り歩きをしているが、これは政府税制調査会が中長期的かつ抜本的な税制の見直しの中で、「控除」についての抜本的な問題点を指摘しようとする試みの中で出てきた意見であったはずである。
確かにサラリーマンの控除の算出基準というのは合理性に欠けるわけだから、現在のように感傷的な方向に議論が進んでいるのは不可解に思う。
- 小さな政府→民主
根拠は乏しいものの、民主党は「3年後にプライマリーバランスの赤字半減を実現させ、3年間で10兆円の歳出削減を実現させるため国家公務員の総人件費を2割削減する」といった方針を掲げており、実際に与党になって実現させられるかは別として、自民党の案よりも具体的であり理があるように思う。
ただ、小泉内閣が進めてきた三位一体改革によって地方に財源を移すような流れはこれからの日本社会にとって必要不可欠であり、これからどんな政権になろうとこの点での妥協がないようであって欲しい。
- 少子高齢化対策→優劣つけられず
民主党のほうはずいぶんと大胆で、子供一人当たり月16,000円の補助金や20万円の出産助成金を払い、また、待機児童を即座に解消させると言っているが、自民党のほうは幼児教育の無償化をうたっておりますなあ…。
今の時点ではなんとも評価のしようがありませぬ…。
- 外交→微妙でわからず
民主党が叫ぶ通り、中韓と仲良くなって、アメリカに苦言を呈することのできる関係になれれば最高にハッピーだが、日米同盟が疎遠になってしまったら元も子もないというか最悪であるのは以前に述べたとおり…。
とはいえ、ブッシュ氏の求心力がかなり弱まっているから外交政策を転換するには良いタイミングかも…。
この冗長なシリーズは次回の結果総括でラストです…。