GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

2005年総選挙時における日本の政治について⑩ 国民の審判は下った

誰の予想をも上回るかたちで自民党が圧勝した。

さて、国民の審判は下った。

 

勝因の詳しい分析は専門家がすれば良いと思うが、これらのことぐらいは勝因として簡単に挙げられるのではないかと思う。

 

  • 小泉氏の個人的魅力の力が絶大だったこと。

  • 今回は明らかに無党派層の動きが違ったこと。
    初めて自民に入れた人も多いはず…。

  • すべてにおいて自民党の戦略が圧倒的に上だったこと。

  • 後述するが、民主党の戦略ミスおよび国民心理の読み違えがあったこと。

  • 創価学会票の底上げが相変わらず効いたこと。

  • 小泉氏が靖国参拝をせず、外交問題を一切争点にせずに済んだこと。

 

今回は小選挙区制の効果と恐ろしさがまともに出た。

「このようにブレが大きく出る選挙システムは危ない」という人も多いのかもしれないが、票差と獲得議席数の差のブレが大きいからこそダイナミックな改革が可能になるのであり、また、緊張感が出てくるのである。

自民党は今回の選挙の結果を受けて、逆に「兜の緒を締めないとマズイ…」と思ったに違いない…。

次回の総選挙で全く逆の現象が起きないとも限らないからである。

 

それに、これだけ勝っておきながら改革がいいかげんだったり、族議員や官僚の跳梁跋扈を許したりしたら、次回は逆に展開になるであろう。

実際に比例区での得票差はそこまでなかったのだから…。

 

今回は、自民党の単純明快かつ狡猾な戦略が見事に功を奏した面が強かったが、民主党が国民心理を読み違えた部分もあった。

私も同じく読み違えたのだが、今回は「マニフェスト選挙」は埋没し、見事に小泉氏による勧善懲悪の「劇場型選挙」が国民心理をわしづかみにしたのである。

小泉氏が言うことがいくら空疎であろうと、民主党が愚直に政策をアピールしようと、そんなことは関係がなくなってしまったわけである。

私も「マニフェスト選挙」になって欲しいと強く願っていたが、民主党も「時代はマニフェスト選挙の時代に突入した」と勘違いしたから、惨敗を喫したのであろう…。

 

また、民主党は政権を担う政党を目指しているのだから、賛成できる法案には賛成し、そうでない法案には反対をする是々非々の立場をとるべきなのに、最近は何にでも反対の立場をとりすぎたように思う。

あれは見ていてあまり好感を持てるものではなかった…。

 

国民のバランス感覚というのはいつも賞賛されるが、今回、国民はこういったバランス感覚を発揮したということであろう。

つまり、小泉氏に対して、「反対派に周囲に配慮することなく思う存分改革を進めてくれ!」ということで、このように絶大な権力を与えたのだととりたい。

 

選挙後に亀井静香氏が国民批判を延々としていたのが印象的だったが、氏だけに限らず、国民の審判が下った後に、「強権が云々…」「弱者切捨て社会が進む…」などと未練がましく言い続けるのはいささか見苦しいであろう。

 

しかしながら、ここまで改革路線が支持されたからにはこれまでのように骨抜きの改革ではなく、本当に骨太の改革をして欲しいと心から思う。

 

今回の獲得議席数を受けて自民党は実質的な独裁を行うことが可能となる。

独裁は効率的であるが危険なものでもある。

しかし、民主主義と小選挙区制によってコントロールされれば、独裁の持つ危険性を消し去ることができると信じたい。

また、ちょっとぐらいは独裁期間がないと改革のスピードが間に合わない水準にまで日本は来ているとも個人的には思っていた今日この頃でもある。

こうなったら、”自民党独裁政治”にしばらく期待してみたいと思う。

 

とはいえ、”自民党独裁政治”を完全に実現できるとまではいかないようである。

もちろん、多少は、公明党に遠慮して通せなかった各種法案を通すことも可能になるであろうが、公明党がいないと参議院過半数を上回ることができないし、公明党がいないと衆議院の3分の2を上回ることができないのが今回のミソでもある…。

そういう意味では”超”絶対多数といういうわけではないのですなぁ~。

 

これまで、全10回にわたって長々と続けてきたシリーズですが、この辺で終わりにしておきます。