GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

山中湖旅行記

7月18日~20日にかけて一人でバスに乗って山中湖に行ってきた。

働いている妻はもちろん仕事なので家にいた。

 

「数日の間、日常から離れた環境に身を置き、いつもと違った体験を楽しむこと」を指す最近流行りの言葉に「リトリート」というワードがある。

dマガジンで「家庭画報」「婦人画報」「CREA Traveller」「Casa BRUTUS」などを読んでこのワードが出てきた際には「意識高い系のいけ好かないワードだの~」と鼻白んだ感じでとらえていたのだが、「今回の山中湖の滞在は短いとはいえマジでリトリートだわ!」と思った。

 

自由人なので3連休もへったくれもないのだが、3連休中およびその前の週にあまりに暑くてほとんど外に出られないことによってフラストレーションが溜まりに溜まったので、急に思い立って高速バスと宿を予約して山中湖に逃げることにしたのである。

頻尿気味で腹の弱い俺がバス旅行とは勇気のある行動だと自分を褒めてあげたいのだが、この高速バスにはトイレがある。

まず使うことはないのだけど「ある」というだけで圧倒的な安心感が得られる。

 

バスタ新宿11時台発のバスを予約したのだが、毎朝9時過ぎに起きる俺が朝ドラ録画を観てから家を出ても無理をせずに乗れる、かつ、起きてあまり水やカフェインを摂取しなければ尿意も抑え込める時間帯と考えて11時台のバスにした。

無理に家を早く出て自分の生活リズムを崩してしまっては元も子もないのだ

これは散策や普段の旅行に行く時も同様で、無理して朝早く出るということはしなくなった。

 

3連休明け、かつ遅めといえる11時台発のバスなのにほぼ満員だったのだが、7割以上は外国人だったのではなかろうかと思う。

そして、乗客の8割以上は河口湖駅で降りてしまった(JR特急「かいじ」でも行けるのだが、渋滞にならない限りはバスのほうが安くて速い)。

富士急ハイランド富士山駅では数人しか下りなかったのだが、河口湖駅ではほとんどの乗客が降りた。

個人的には市街地に近く、湖周辺も賑わっている河口湖より、静かで標高の高い山中湖(河口湖は830mで山中湖は980m)のほうが気に入っているのだが、外国人客人気に関しては圧倒的に河口湖に軍配が上がるようである。

とはいえ、連休明けということもあって、山中湖の観光客も外国人のほうが断然多かった。

また、新宿から河口湖には1時間半程度で着くのに、停留所をあちこちと回るものだから終点の山中湖平野には2時間半近く経ってやっと到着する感じとなった(予定より若干遅れた)。

まあ、客の8割以上は河口湖で降りるわけで、山中湖へはお情けで連れて行ってもらうようなものなのだから文句は言えんなと思った。

 

詳細は次回に述べるのだけど、宿の水準を新型コロナ禍以前に戻そうと考えていたこともあり、どうせ戻すなら、今回は一人旅だし、可能な範囲で安い宿に泊まるチャレンジをしてみるのはどうだろうかと思って、一泊4,400円の宿を予約した。

山中湖の中では地理に疎かった平野地区(山中湖の北東側にあり、高速バスの終点で、平地が広がっている)の宿を予約したのだが、このエリアはスポーツ合宿が盛んなエリアなようで、地図上からものすごい数のテニスコートやグラウンドを確認できた。

ということで、この宿も合宿向けの宿だったのだが、連休直後の平日、かつ、夏休み直前の期間だから若者で溢れかえっているというようなことはないだろうと思っていたのけど、実際に「客は俺一人なんじゃないか?」と思えるぐらい静かで、滞在中、他の客と会わなかった。

部屋は10畳もあって、富士山を望む大浴場もすばらしいのだが、冷暖房がないのと、トイレにウォシュレット機能がないことに驚いた。

ウォシュレットがないトイレはしんどいなと思ったのだが、海外旅行時のようにトイレットペーパーを濡らして拭いて、直後にシャワーを浴びに行けばよいと思っていたのだけど、環境が変わったせいか滞在中は便秘気味になり、その辺の心配はおおむね杞憂に終わった(なお、帰り間際に寄った日帰り温泉のウォシュレットトイレを使用した)。

冷房がない件に関しては、山中湖の標高を考えると計算上でも東京より6度は気温が低く、さらに夜間にはかなり気温が下がることもあって滞在中は暑さに悩まされることがなかったとはいえ、避暑に来て暑さに悩まされかねないリスクを考えるとこの宿のリピートはないなと思った。

窓を開け広げて寝ていたところ、朝方には20度を下回っていたのだけど…。

あとはチェックイン時にどんなに呼んでも宿の人が出て来ず、車から降りて外から現れるまで10分以上待ったことと、帰りも同じく10分ぐらい待ったことで、「急いでないにせよこれはちょっとせつないな~」とも思った。

 

何故に、宿についてこんなに細かく書いたかというと、自分が想定する範囲での最低限の宿に意図的に泊まることで得られたものあったからである。

ここの大浴場はすばらしく、富士山麓のミネラル湯とうたっているだけあって、いい湯だったのだが、温泉ではなかった。

旅行時には可能な限り温泉、できれば源泉かけ流しの湯を探しがちなのだが、そういった宿に泊まると元を取ろうとして1泊あたり3回は入浴して妙に疲れたりしがちである。

しかし、今回はそういったことは全く考えずに入りたい時に入るだけで済んで気が楽だった(とはいえ、2泊して4回入浴し、それとは別に日帰り温泉にも行ったが…)。

食事に関しても連休明けだったせいかどこも食堂が閉まっていて、開いている店があっても酔客しかいなそうだったので、2晩ともセブンイレブンで好きなものを買って一人セブパセブンイレブン・パーティー=出典は清野とおる氏著「ゴハンスキー」)をしたのだが、「これはマジで気楽でいいな~!若い頃への原点回帰感あるわ~!」と感じた。

そんなわけで、「ウォシュレットと冷暖房さえあればこんな感じの過ごし方で十分じゃ~」とマインドセットを新型コロナ禍前に戻すことができたのである。

 

そして、リトリート効果についてなのだが、秋を思わせる気温と涼しい風を身に浴び、高原の香り、松の香りを一嗅ぎするだけのために来る甲斐があるなと思えた。

蓼科・軽井沢・北軽井沢などでもそうなのだが、高原の香りを一瞬嗅ぐだけでめっちゃヒットポイント上がって、躁状態になるのだ。

匂いに起因する記憶の強烈さはすさまじく、高原のトイレ特有の臭い(俺個人の見解)を嗅ぐ時すらめっちゃ気分がアガるのである。

これだけで来る価値はあったなと思うのだが、ジムのトレッドミルでは歩けども、下界で快適な散歩ができていないストレスもすごかったので、滞在中は3日間で53kmほど歩いた。

初日でヒットポイントをMAXにできてしまったので、正直、午後にゆっくり来て、翌日の昼あたりに帰途に着くミニマム旅でも十分な効果が得られるなと思った。

もちろん、2泊したら2泊するすばらしさがあるのだが、1泊でも十分とわかった。

今回は14時過ぎに着いて、翌々日の14時25分発のバスで帰ったのだが、1泊2日の24時間滞在でも十分にフルパワーになる。

なお、帰宅してからのことを考えると早めの時刻に帰るほうが後で疲れずに済むというものである。

普段から相当な頻度で一人日帰り散策を楽しんでいるのだが、平日1泊2日地味旅はマジでクセになるかも…と思った。

 

次回以降に宿を取りたいエリアに関しては、地味なエリアなのだけど南部の旭日丘エリアが旭日丘湖畔緑地公園と山中湖文学の森公園があるので最強だなと感じた。

賑やかな南西部のエリアは飲食店などの店が多いし、公共駐車場が充実しているのも良いし(バスで来るぶんには関係ない)、ボードウォークがあって歩きやすいのだが、緑地が少ないのが難点だと思った。

 

この賑やかなエリアにある山中諏訪神社の前にある自転車屋のおっさんが湖畔でタバコを吸って吸い殻を山中湖へ投げ捨てていたので「ちょっと!いくらなんでもそれはないですよね!」と注意をしたら「ポケットがなかったもんで…」と言い訳にならない理由を連呼していた。

Googleクチコミに書き込みをしてやろうかと思ったのだが、過去に書き込みをしたこともなければ、自転車屋の客でもないので止めといたのだが、ここにぐらいはメモを残しておきます。

「山中湖の恩恵でご飯を食べておいて何という意識の低さよ…。しかも目の前で白鳥が泳いでいるのに…」と思ったでございます。

 

日本の季節制約のある観光地全体にいえることだが、およそグランドデザインとか、調和とか、ブランディングというものが全くなく、廃墟も多ければ美観に気を配らない店も多く、その潜在能力を全く活かせていないな…と、この美しい山中湖の景色を観ながら思った。

スイスやオーストリアを見習えとは言わんがもう少しどうにかならんものだろうか。

まあ、意識の低いおっさんが店をやっているようではどうにもならんわな…。

 

でも、もっぱら富士山と湖と鳥と森と安宿とセブンイレブンにしか用がない俺にとっては山中湖は最高のリトリートスポットです。

そして、バスでより近い河口湖へも近々に行こうかなとも思いました。

 

山中湖へ到着

 

旭日丘湖畔緑地公園にて。高原の木々の香りを嗅ぐだけで来た意義あり。秋の紅葉がマジでヤバいエリアっす

 

山中湖文学の森公園は極上の空間。下界は36度とか信じられぬ爽やかさ。鳥の声にも癒される

 

湖畔の白鳥さんにもめっちゃ癒されます

 

座って白鳥ファミリーと富士山をじーっと眺める

 

1泊4,400円の宿だけど部屋は広く、大浴場も立派。ただし、冷暖房がなく、ウォシュレットもない

 

気楽にセブパ!

 

2日目は歩いて山中湖一周。とはいえ、14km程度とそこまで長くはない

 

サイクリングコースがほぼ一周にわたって整備されていてすばらしい。小鳥のさえずりを聴きながらすばらしい風を受けて歩く。なお、サイクリングロードは最も賑やかな南西部のみボードウォークがあるためか整備されておらず、他は全て整備されている

 

山中湖の北岸からはずっと富士山と富士演習場が見える

 

少し肌寒いぐらいの涼しさと美しい景色でリフレッシュできました