2023年6月17日から25日までバリ島に行ってきた。
以下は今回の旅行の写真である。
なお、前にバリ島を旅行したのは14年前になるのだが、結婚する半年ほど前に訪れているようである。
以下は前回の旅行記である。
観光スポットは前回に一通り回ったと思ったのと、今回はとにかくゆっくりと滞在したいと思ったので観光はほぼなしという珍しい旅行となった。
全くの余談だが、バリ島ではなくジャワ島について
世界で最も人口が多い島であるジャワ島(人口1.52億人)にはインドネシア(人口2.74億人)の半分以上の人々が住んでいる。
日本の本州の半分強の面積に本州(1.04億人)の1.5倍の人が住んでいるということになる。
インドネシアの面積はジャワ島の15倍程度もあるので、島嶼国家インドネシアの人口の偏在ぶりに驚く。
ChatGPT情報によるとジャワ島の農地面積は本州の農地面積の1.3倍程度のようなので、可住面積あたりの人口密度は本州と似たようなものなのかもしれないのだが、ジャワ島は島なのにも関わらず、古来より東南アジア全域から見ても人口が最も過密だったようである。
ちょうど俺がインドネシアを訪問した日程とかぶる6月19日から23日にかけて、天皇皇后両陛下がジャワ島のジャカルタとボロブドゥール遺跡を訪問されている。
そしてバリ島について
世界最大のムスリム人口を擁すインドネシアにあって、ジャワ島の東側2km弱の近さの場所にあるバリ島はヒンドゥー教徒が住んでいる島なのだが、ジャワ島の22分の1の面積にジャワ島の35分の1の人々が住んでいることになる。
東京都の2倍の面積の島に、東京都の3分の1弱の430万人が住んでいるといった感じであるが、バリ島のほとんどは山間地である。
そして、ChatGPT情報によると、インドネシアを訪れた外国人の半分はバリ島を訪れているそうである。
ということは、ビジネス客を含めずに考えると、インドネシアを訪れる旅行者の半数以上がバリ島を訪れているということになるだろう。
独自のヒンドゥー教文化が他のムスリム地域を圧倒的に上回る集客力を持っているところが何ともおもしろいのだが、バリ島の経済の80%は観光業によるものだというから恐ろしい。
通りをバイクで走り回る人々の多くが観光業に従事しているようにはとても見えないのだが、数字ではそうだというのだから仕方ない。
また、その独自性およびジャワ島からの近さゆえ、インドネシア国内においてもバリ島は主要な観光地なのだろうと思う。
しかしながら、2019年には約600万人が訪れたこの島において、新型コロナ禍の影響は尋常ではなかっただろうと思うのだが(実際にバリ島の苦境を伝える報道はかなり多かった)、CNNが「2021年の最初の10カ月で、インドネシアのバリ島を訪れた観光客の数はたった45人」と報じており、「これでは島は壊滅じゃねーか!」と思ったのだけど、今回行ってみて新型コロナ禍の影響からはかなり脱しているのではなかろうかと感じた…というかそれだけの活気はあった。
そして、バリ島で最も感じた新型コロナ禍の影響は「日本人観光客がほぼいない」という驚きの事実なのであった。
新型コロナ禍以前におけるバリ島の観光の状況は以下のような感じだったようである。
2016年まではお膝元?といえるオーストラリア人が一番多かったようだが、2017年以降は中国人が一番多くなった。
2018年の順位は中国(128万人)、オーストラリア(107万人)、インド(32万人)、イギリス(32万人)、日本(25万人)の順となっている。
新型コロナ禍以前における日本人の訪問客数はずっと20万人台で推移していたようなのだが、こんなにすばらしく、物価もかなり安い島なのにハワイの1/7程度、グアムの1/3程度しかバリ島を訪れてなかったのか~と驚く。
ちなみにバリ島への訪問者総数はハワイの2/3程度のようなので、日本人のハワイ・グアム偏愛ぶりが良くわかる。
そりゃ「俺がオーストラリア人だったら確実に毎年行くなあ…」と思うのだけど、ものすごく遠いのに日本人よりも多くのイギリス人がバリ島を訪れていることに驚く。
余談だが、東京からバリ島まで7時間なのに対して、シドニーからバリ島へもしっかり6時間半もかかるようで、「同じ南半球なのに遠いな~」と驚く。
そして、今回の訪問では圧倒的に白人が多く、次にインド系を見かけ、東アジア人はかなり少ない印象を受けた。
ロシアから逃げてきたロシア人が多いという話はよく聞くが、誰がロシア人なのかの判別は当然ながらできるわけがない。
飛行機とイミグレーション
使用した航空会社はガルーダインドネシア航空で、前回も機内食が不味いと書いているのだが、今回も美味しくなかった。
普段、食事を残すことが皆無な俺でも「不味いのに無理して食わんでいいな」と思って少し残した。
国際線に乗る際には毛布やセーターを持って乗っているのだが、機内の毛布と2枚重ね、かつ、セーターを着ても寒いぐらいだった。
何故か今回だけ「セーターだけで十分だろ」と思ってダウンベストを携行しなかったのだが、次回は反省してセーターとダウンベストを重ね着できるようにしておこうと思う。
機内では乗客の体臭を抑え込むためにかなり寒めの温度設定にしてあることは知っているし、その趣旨には大賛成なのだが、他の人がどうして着込まずに寒さに耐えられているのかは毎度のナゾである。
行きは成田発の昼出発の直行便、帰りは夜発ジャカルタ経由羽田朝着の便を用いた。
基本的に直行便かつ昼出発の便に乗りたいほうなのだが、帰りの便は2時間搭乗・2時間乗り換え・7時間半搭乗でもドリエルを飲んでそれなりに眠れたし、羽田着で楽に帰れたので悪いセレクトではなかったと思った。
それにしても、土曜日昼発の直行便、日曜帰着の経由便ともに若干の空席があったことには驚いた。
特に前者はベストシーズンかつ週に2便しか飛ばない希少な直行便なのにもったいないなあと思った。
後者はジャカルタから乗ったので、乗客の大半はインドネシア人だった。
ジャカルタから東京に来るインドネシア人は多くても、日本人の利用はビジネス客か経由客なのだろう。
前回イミグレーションで1.5時間も並ばされてげんなりしたのだが、今回は空港が建て替わってものすごく立派になっていたため、少し期待したのだが、やはり1時間程度かかった。
今回は待つ心の準備ができていたのだが、列が短いので「これはすぐ済むのでは?」と思ったのだけど、列の進みが異常に遅かった。
やたらと通過に時間がかかる人がいたのに、逆に日本人である我々はあっという間に終わった。
すぐ通過できたのは良かったと思いつつ、前の客に恵まれなかったなと思ったのだけど、どの列も同じような感じで同じように詰まっているようだった。
今回の旅程と所感
前回バリ島を訪れた時はレギャン地区にある安めの宿に7泊したのだが、今回はクタに3泊、ウブドに2泊、ヌサドゥアに2泊した。
マッサージは前回は「料金は安いところで1時間500円弱程度で、もう少しちゃんとしたところだと800円程度」と書いていたのだが、今は倍程度といったところである。
日本以外の国では14年も経てばそれぐらいにはなるわなと思う。
バリ式のオイルマッサージはとても気持ちが良いのであるが、紙パンツもしくはパンツ一丁になって、乳首(女性は胸)と陰部以外は、頭部・顔面・脇の下・臀部・鼠径部含めて全てオイルでしっかりマッサージされるものと覚悟して受けていただきたい。
滞在中、食事は朝食ビュッフェ含めて全て屋外か半屋外だった。
寒い日が全くない本当の南国ならではの贅沢さである。
また、バリ島は喫煙者天国なのだが、屋外かつ空気が乾燥しているのでタバコの煙に異常にうるさい俺でも意外と気にならずに済んだ(雨期がどうかは知りません)。
また、朝食ビュッフェが7日も連続で続いたので昼食を食べる気にならず、昼食を抜く日々でもあった。
ビーチリゾートに何泊もして、いずれのホテルにも立派なプールがあったのだが、結局水着に着替えずに終わり、最終日にやっと海に足を入れただけであった。
一応は「泳ぐ気になったら泳ごう」と思って水着を持って行ったのだが、気持ち良い風に吹かれているだけで気持ちがいっぱいになり、そういう気分にならなかった。
沖縄に行っても大抵はそういう感じなのだが、普段、ジムで泳ぎ、ジムの風呂に入っているせいで水に入りたい欲が満たされてしまっているというのもある。
バリ島の方々のサービスはとても気持ちが良い。
例えるなら、タイ人の笑顔とフィリピン人の明るさがあるようなもので、海外で散見しがちな不遜さも全くなく、本当にすばらしい。
クタ
南部リゾートエリアにおいて、南からクタ・レギャン・スミニャック・クロボガン・チャングーと続くエリアは南から北に行くほどどちらかといえば新しく高級なリゾートエリアになっていくのだが、今回はあえて最も古いクタで3泊した。
アジアに来たからにはアジアの喧騒に身を置きたいと思ったのと、前回に安い宿に泊まった時にクタのラマヤナスイーツ&リゾートがえらく立派で雰囲気の良いホテルに思え、「いつか泊まってみたい」と思っていたからで、実際にこのホテルに2泊した(14年の間に改装されて色々と変わっていたのではあるが…)。
昔よりも贅沢に慣れた今の基準では普通クラスのホテルに思えるのだが、昔の基準からしたら憧れのホテルだったのである。
1日目はホテルにチェックインした時刻が20時と遅い時刻だったので、ラマヤナスイーツ&リゾートのはす向かいにあるもう少し安いクタパラディソホテルに1泊して翌日にラマヤナスイーツ&リゾートに移動した。
ちなみにそのラマヤナスイーツ&リゾートであてがわれた部屋は明らかにアップグレードされた55㎡の「ルンブンスイート」で、そのおかげでよりすばらしい滞在となった。
新型コロナ禍の影響がすさまじかった影響かどうかはわからないのだが、ショッピングモールの栄枯盛衰を感じた。
栄えていたディスカバリーモールが衰退し、初めて訪問したビーチウォーク・バリはとても栄えていた。
モル・バリ・ギャラリアやスミニャックスクエア&ビレッジはビーチウォーク・バリと比べると全く行く必要はないなと思ったので、要はビーチウォーク・バリだけで十分ということになる。
なお、かつてバックパッカーが歩いていた通りのガンポビーズ1とガンポビーズ2は寂れきっていた。
悲しいが、これが時代の変遷というものである。
以前は街のへそと思っていたクタスクエアも以前よりは寂れており、繁華街の重心がクタからスミニャックやクロボガンといった北に移動しているのだろうと思った。
今回も前回のように街を歩きまくってみたかったのだが、道路事情の悪さとバイクの無茶苦茶な運転と排気ガスをおもしろがれるほど若くなくなっていることを悟り、思ったよりも歩き回れなかった。
最初に「アジアの喧騒に身を置きたい」と思ってたくせにダメだなと自嘲しつつ、年を取るということは体力よりもずっと先に気力が損なわれることだと実感しているので仕方ない。
ウブド
内陸のウブドはバリ島の芸能と芸術の中心地であり、森や田園の美しさを味わう上で絶対に外せない街で、そんなことも知らずに前回の訪問では日帰りにせざるを得なかったことを悔やみ、今回は2泊した。
緑に囲まれたホテルに宿泊したかったので、そういった宿を探し、アラヤリゾートウブドに宿泊した。
まさしく森の中のリゾートといった感じを味わえた。
前回鑑賞してすばらしかった王宮におけるガムラン演奏でのレゴンダンスは今回も鑑賞した。
今回の旅行で行った観光らしいことといえばこれだけだったかもしれない。
また、前回はウブドの田園地帯をしっかりと歩くという体験ができなかったので、今回はウブドだけに絞って書いているコアな本が勧めていた田園地帯の散策路を長時間歩いたのだが、これはとてもすばらしい経験となった。
暴走バイクと排気ガスの道を歩くのはしんどくても心地良い田園地帯だったらいくらでも歩けるというものである。
ヌサドゥア
ヌサドゥアとハワイ・ホノルルのワイキキは、客層・リゾート全体の雰囲気・ビーチ付近のムード・風の気持ち良さ(乾季のバリ島の話で雨期のことは知らん)がかなり似ている。
気持ちの良い風に吹かれながらビーチの木陰に寝そべっているぶんにはほとんど一緒と言って良いであろう。
といいつつ、ヌサドゥアというのはかなり広いエリアを指しているのであるが、あくまで今回俺が滞在したウェスティン・リゾート・ヌサドゥア・バリ付近のエリアに限定する話ではあるものの、ヌサドゥアのビーチ沿いにたくさんのホテルが並んでいて、どのホテルも雰囲気がとてもすばらしい。
そしてビーチ沿いの自転車道兼歩道の一本道を南北に歩くことで隣やさらにその隣のホテルに簡単にアクセスできるので、日本のホテルや旅館のように泊まっているホテルに縛りつけられるようなことがなく、いろんなホテルの競演を楽しむことができるのだが、なんといってもこのことがすばらしい。
ワイキキやグアムのタモン地区も同じような感じなのだが、ヌサドゥアは一本道でより統一的に連結されている。
そして物価が恐ろしく違うので飲食代もホテル宿泊代も全く違うし、バリにはチップもほとんどない(というか、請求額に最初からサービス料が乗っている)。
そもそも格が違うと言われるかもしれんが、ワイキキのモアナサーフライダー・ウェスティン・リゾート&スパ・ワイキキビーチのお値段はかわいくないが、バリ島のウェスティンは日本人でも普通に泊まれる(余談だが、うちらはウェスティン・リゾート・グアムで親族のみの結婚式を挙げた)。
あたりまえだけどバリ島にはバリ文化はあるがハワイ文化はない。
でも、数多くを欧米のホテルブランドが展開している以上、ホテルの演出はバリ島もハワイも甲乙つけがたいものとなっている。
バリ島にはビーチウォーク・バリやDFSギャラリアはあるが、アラモアナセンターはない。
どうしてもアラモアナセンターに行きたい人はハワイに行ったほうが良い。
飛行機に乗る時間はほとんど変わらないが、バリ島は時差が1時間しかなく、ハワイに行くとヨーロッパに行った時よりも激しい時差ボケに苦しむ俺としては、バリ島に時差がほとんどないのはとてもありがたい。
海のきれいさなら沖縄やグアムのほうがバリ島やハワイより上だろうが、沖縄だけは天候リスクが大きいし、夏は暑すぎる。
その点、バリ島・ハワイ・グアムは年中同じような気温なので明らかに有利である。
今回の旅行のハイライトはウブドの田園散策だったと思うのだが、東京に戻った今、ふとした瞬間に舞い戻りたくなるのはこの世の天国としか思えないヌサドゥアだったりするのである。