献血をしてもしなくても気分が晴れない心境について

先日、NHKの「ドキュメント72時間」で献血ルームが舞台となっていたのだが、献血された方は「人に貢献できた」という思いを抱かれたようで、皆さん、実に晴れやかな表情をされていた。

もちろん俺もそうだったし、だからこそ惰性というか習慣的に長らく献血を続けているのだが、輸血の85％が50歳以上の人、さらに言うと多くが高齢者に使われているということをググったことによって知ってしまってからはものすごくやる気を失ってしまって、献血をするたびに何とも嫌な気持ちになってしまうようになっている。

今回の新型コロナ禍でもつくづく思ったけど、高齢者の終末医療に過剰な医療リソースが使われるのは個人的にはあまり気分が良くないし、そうのたまう俺は「治りもせんような病気になったらとっとと死んでやるわ！」と思って生きている。

しかし、実は今日は6月30日である。

そう、1年の半分が終わる日なのである。

「節目の日に何か締まりの良い出来事もなく年の半分が過ぎるのはシャクだなあ…」と思っていたところ、今日、以下のようなメールが来た。

【A型の皆様へ】400mL献血ご協力についてのお願い

平素より献血にご協力いただき心より御礼申し上げます。

さて、現在東京都内におきましては、企業や学校での集団献血会の中止が相次いでおり、献血へのご協力が得られ難い状況にございます。【以下略】

日本赤十字社からこうしたメールはたびたび来るのだが、「どうせ送られる人というのは決まっていて、何度も来ている人に呼びかけたほうが話が早いからこうしているのだろう…」と思うことも多い。

とはいえ、この暇人、節目の日にメールが来てスルーするのも気分が良くないし、かといって俺が献血した血が高齢者の終末医療とかに使われるのもあまり気分が良くないし、どちらにしても気分は晴れないのだが、「あーもー仕方ねーなー」と思いつつ、献血に出かけた次第である。

「あーあ。不運にも交通事故に遭ってしまって緊急輸血が必要になったかわいそうな少年のために使われるのではなく、どーせ、知りもしない死にかけのじいさんのわずかな延命のために使われるんだろうな…」と思いながら今日も400mlの血を抜かれてきた。

「そのように不謹慎なことを考えるなら、しなければ良いではないか！」といつも自問自答しているのだが、なんといっても俺にとっての献血の原価はタダである。

俺が少しばかりの時間を差し出し、チクっとする痛みを我慢するだけで、患者にとっては相当なベネフィットがあるわけで、その圧倒的な利害の非対称性がある以上、しないのはおかしな話だといつも思ってしまうのである。

なお、ダジャレで言うわけではないが、健康志向が強いくせに誘惑に弱い俺にとって献血センターのお菓子はむしろ敵であり、「断じてお菓子に惹かれて献血をしているわけではない」ということはことわっておく。

実は、年々、若い人による献血が減っているという。

今回の新型コロナ禍を経験したり、露骨なシルバー民主主義をこれでもかと見せられ続けたりすると、高齢者という属性に対して憎しみに近い感情を抱くなというのも無理な話だと思うのだが、ほとんどの人は俺のように輸血される年齢層について知ってしまっているわけではないので、それが原因でないことは確かである。

とはいえ、献血者の減少傾向が続いているのをみると、何か手を打たない限りますます減るだろうなと思う。

そして、献血者が減っていると聞くと、余計に献血をしないことに対して良心が咎めてしまって、行っても行かなくても気分が晴れないのにも関わらず、規則正しいペースで献血しに行ってしまうのである。

そういえば、昨日は29日＝肉の日で、近くの宮崎牛の直売所で特売の宮崎牛を買い、昼も夜も宮崎牛を食べたし、昼には生クリームたっぷりのマリトッツォも食べたので、今日、俺が献血した血の中性脂肪は相当な量だったのではなかろうかと献血後に思ったのだが、それはもう後の祭りですな…。

あと、先ほど「俺にとっての原価はタダ」と述べたが、日本赤十字社の経費等々があるためだとは思うものの、血液自体は400mlの場合、16,700円程度で卸されているようである。

【2021年7月1日追記】

献血日翌日に血液検査結果が届くのですが、コレステロール値に変化はなく、他の検査の値も全て正常値でした。

なお、中性脂肪の値は検査項目にないようです。

f:id:gooddays-shumai:20210628165651j:plain 隅田川のテラスに青鷺が2羽とまっていた。白鷺はよく見るけど青鷺2羽はめずらしい