昨年4月の緊急事態宣言から1年が経った。
今となっては「あそこまで激しく自粛を求めたのは何だったんだ？」と思うが、当時は情報が少なかったし、他国のほうがより強い私権制限を打ち出していたのだから仕方がなかった面もある。
新型コロナ禍に際してこれまでの1年超で、個人的主観としては以下のようなことを感じた。
- 日本政府および行政機構の無能さと打つ政策の精度の低さ
- 空気で国民を縛ろうとする政治の愚かさ
- 医師会や医療業界の政治力の強さと居丈高な姿勢
- 日本の私権の異常な強さと非常事態を想定していない法体系のまずさ
- 創薬・検査体制・病床確保・ワクチン接種体制整備に見る国力の低さ
- 他の何よりも高齢者が優先されるシルバー民主主義の激ヤバさ
- 地方であるほど田舎であるほど病的に強い同調圧力
- 世界各国のむき出しの自国優先の姿勢と日本国内の各地域の排他性の強さ
- 何故かわからないが神風が吹いて欧米のように感染が広がらなかった強運
とにもかくにも日本人の国民性というものをあらためて愛せなくなったこともあり、この1年で愛国心らしきものがかなり薄れた。
誰しも自分の周囲のことが良ければいいと思うのはあたりまえのことだが、国や地域レベルでここまでエゴが露呈してしまうと、自分の住む地方、俺の場合であれば中央区や東京都や首都圏、故郷の宮崎市と妻の故郷の上田市以外のエリアのことは本当にどうでもいいわ…と思うようになった。
こう割り切れるようになったことは個人的には大きな安心材料だ。
これから坂道を下るどころか転がり落ちるように転落するとわかっている日本国を強く愛していたら身が持たん…と思っていたからだ。
日本における最大の長期的問題は新型コロナ禍ではなく、少子高齢化とそれに伴う人口減少である。
首都圏がこれからも他の地域の若年人口を奪い続け、その結果として他の地域を劇的に衰退させることになる。
宮崎から東京に移った身であること、子供を持とうという努力を最大限したが結果として人口を増やすことに貢献できなかったことに対する引け目が俺自身にはある。
しかし、新型コロナ禍によって、地方から若者と富を吸い続けて栄華を享受する東京に住んでいることに対する罪悪感のようなものを持たずに済むようになった。
こう思えるようになったことは個人的にはありがたく思える。
なお、就職はしていないものの、証券口座はマイナンバーと紐づいており、投資利益が出れば1円も納税額をごまかしようがないので勤労面における引け目はない。
河合雅司氏の「未来の年表」や「未来の地図帳」といった著作を読んだり、各種予測を見れば一目瞭然にわかるのだが、首都圏と福岡市と沖縄以外の地方のすさまじい衰退が人口推計でわかってしまっているだけに愛国心があるとその衰退が気がかりに思えてしまっていた。
しかし、旅先で空き家だらけの風景を目にしても、日本のとあるエリアで外国人がマジョリティーになってそこの住民が苦労したとしても、夕張市のように立ち行かなくなる自治体が多発したとしても他人事のように思えるようになったのだから精神衛生上とても助かる。
先述の「未来の地図帳」によると、日本の1,741自治体の中で2015年と2040年を比べて人口が増えると予測されている自治体はわずか45自治体で、俺が住む東京都中央区はその増加率予測が全国1位（35％増）である。
人口が激減する地域や高齢化が異常に進む地域が加速度的に増えていくなかで、人口が激増し、富が集まっていくことが予測されているのである。
なお、首都圏といえど都心と周辺地域とで人口増減や富の格差が途方もなく広がる未来も予測されている。
新型コロナ禍とテレワーク勤務浸透の影響で、例えば本厚木駅に脚光が当たったりしているが、「厚木市の人口が15％ぐらい減る予測になってるのわかってんのかな～」と昨今の郊外移住ブームとやらに対していささか心配になる。
大震災にあったとはいえ、人口が急減した三陸地方に尋常ではない規模の防潮堤・かさ上げ造成地・鉄道・高速道路を突貫工事で整備し、福島では少数の漁業利権者に気を使い過ぎてとっとと海に排出するべきトリチウム水排出の判断を先延ばしにしてきた政党が政権を執っている国、判断にメリハリをつけられず、極端に「損切り」が苦手な国民性を持つ国が人口急減社会にどう対応していくかについて、これからは他人事のように観察していきたいと思っている。
少なくともこれから尋常ではなく増える高齢者に対して今のような終末医療を施していたら確実に国は持たないのだが、死生観の共有をも含めて未来の日本人が上手く対応できるか見ものだと思う。
同じく日比谷公園のチューリップ
