GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

本の弱みと強み

俺はPodcastで経済ニュースや講義を聴くほうが好きなので、このところはあまり音楽を聴かなくなったし、これは他の人と逆かもしれないが、テキストを読むのは大好きなのに映像を観るのは結構苦痛なので、目でも耳でも文章を追い続けているほうだと思う。

音楽や映像より文字を読むことを優先しているのに、普通の読書より高い優先順位で、サイトを巡回閲覧して、dマガジンで雑誌を読み、Amazon Prime Readingで無料読書をしているため、読書が大好きな俺でもなかなか普通の読書にたどり着けない。

しかも、今の図書館は大抵の新刊を仕入れてくれるし、10冊まで予約できるため、ほとんどの本は図書館で借りてしまい、驚くほど本を買わなくなった。

このような関門を潜り抜けてやっと本を買おうと思った場合でもシンプルライフの邪魔になる紙の本は装丁と中身が余程良くない限りは欲しくないのでKindleで売っていれば同価格であってもKindleで買うのだが、驚くことにKindleには再販制度が適用されないため紙の本より安く買えるから本屋は本当に大変だろうと思う。

 

情報過多の世の中においては、少しでも短くまとめた文章を読みたいというニーズが強いだろうし、誰もが多くの文章を読み疲れているだろうからできれば小難しい文章は読みたくないと思っているのではなかろうかと思う。

現代ビジネスやダイヤモンドや東洋経済のサイトで無料のコラムを読む時ですら「できれば4ページまでにまとめて欲しい」と図々しい願いを持ちながら読むことが多く、5ページ以上あると長く感じるし、全5ページと思って読んでいたのにいきなり6ページ目が出現すると「え~マジで?」と思ってしまうのだから、情報に追われて疲れてしまっているのではないかとすら思う。

ネット上の無料の短いコラムですらそうなのだから、本のように長かったり難しかったり有料だったりする文章を人に読ませるには相当な内容が求められるわけである。

 

そもそも俺はアマチュアとして自分本位な文章をグダグダと書こうとは思っても、プロとして読み手が求める文章を書きたいと思ったことがないので、本を書こうと思ったことはないが、作家の方々の回顧を読むと、本を出すという行為には想像を絶する労力がかかっていることがわかる。

最近は有名人やインフルエンサーが口述したことをプロのライターがまとめて出す本がかなり増えているので全ての本がそうであるとは言わないが、文字数当たりにかかる手間はネット上にプロがコラムを書いた場合と比べても10倍以上の労力が払われているのではなかろうかと思う。

それなのに、情報過多かつ、売り上げは右下がりでも出版点数が右上がりの時代に顧客に本を買って読もうと思わせるにはよほどの運と内容とプロモーションが必要なのだろうと作家に強く同情する。

 

とはいえ、本という形式は印税が低いとはいえ、それなりに高い価格を設定することができる。

それに対してネットで書いたメルマガ等のマネタイズは本よりも断然難しいだろうと思う。

マネタイズという点では本に優位性があるが、課金してしまうとネット上に無料で置いている文章と違って多くの人に読んでもらえないという弱点が生じる。

また、本にするからには一つの大テーマを長い文章でまとめる必要があり、その作業のなかで複数の内容をどうにかして関連づける必要性が生じるため、どうしてもこじつけに近い面が出てしまいやすい。

もちろん最初から最後まで徹頭徹尾同じテーマについて書かれている本もあるが、そういった本は概してくどく、冗長に感じやすい。

それに比べて、ネット上のコラムは単テーマでサクッと書けるから本よりはずっと楽だろうと思う。

しかも、「これは本に書くからネットには書かないでおこう」などと出し惜しみしながらネット上に書くより、ネット上に全て吐き出したほうが気が楽だし、内容も充実する。

また、ネット上に置く場合、本よりずっと長い期間にわたって文章を残すことができる。

 

とはいえ、商業出版された本とネットとでは社会的な信用度が全く違うので、社会に通用する実績を作りたいという目的で本を出したいというのであれば、それは実に有効な手段だと思う。

しかし、何か言いたいことがあるというだけであれば、大仰に本を出そうと思うより、ネット上に文章を置くほうがよっぽど良いのではないかと俺個人は思っている。

とはいいつつも、作家が全精力を注いで書いた本を読むという行為の贅沢さは他に代えがたいという想いはいくら時代が進もうと変わらないのではないかとも思っている。

 

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