GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

ディープ③ 山谷 東京のドヤ街

 

山谷のドヤ街 

山谷(さんや)は、東京中の労務者が集まる“ドヤ街”である。

労務者向けの簡易宿所=ドヤ(俗称)」が数多くあるためドヤ街と言われる。

東京では山谷、横浜では寿町、大阪では日本最大規模を誇る西成区のあいりん地区(釜ヶ崎)が有名である。

悲しい哉、このエリアの最大の特徴は、労務者に交じってホームレスらしき人が数多くたむろしていることであろう…。

ところで山谷という地名は現在、地図上に存在していないので注意されたい。

最寄り駅のJR常磐線東京メトロ日比谷線南千住駅からは南方、東京メトロ日比谷線三ノ輪駅からは東方に位置しており、あしたのジョーの舞台となった泪橋(なみだばし)交差点の南側に存在する台東区日本堤1・2丁目、台東区清川2丁目のエリアが山谷に該当するエリアである。

 

このエリアにおいては、早朝5時30分頃には、労務者が日雇いの仕事を得るために地区内に溢れる光景が見られる。

今もそうなのかはわからないのだけれども、興味ある人は、朝早く行くと良い。

昔、私が早朝にわざわざこの光景を見に行ったとき、周辺の労務者がやたらと咳払いをしていたのだが、実際、結核患者もいるらしいので、臆病な私は「結核にだけはかかりたくない…」と失礼なことを思ったことを覚えている。

また、夕方には日本堤2丁目にある城北福祉センターの前における夕飯の炊き出しの光景が見られる。

こちらも今はそうなのかはわからないのだが、炊き出しには何百人もの列ができていた。

なお、日中は労務者は仕事に出かけていると思われるため、人が少ないのだが、路面に寝そべっていたり、博打を打ったりしているホームレスや、立ち飲み屋で酒をかっ食らっている労務者がいる。

清川2丁目の玉姫公園は仮設の小屋で占拠されている。

また、景気回復のためか、この界隈の高齢化進展に伴って生活保護行政が動いているためか、昔よりもホームレスの数が減った印象がある。

これは近くの隅田川の河川敷や隅田公園や上野公園でもそうである。

日雇い労働者の高齢化に伴って生活保護か適切に行われているのだとしたら、それはとても良いことだと思う。


ところで、このエリアは路上はゴミで散らかっていることもあるし、たまに立小○の臭いがすることもあるので、そういうのが極端に嫌いな人は近づかないほうが良いと思うが、このエリアのゴミや臭いは年々改善している。

でも、女性が夜間に一人で来るのには少し危険が伴うかもしれない…。

というか、誰も近寄らないか…。


昔、新卒後に入社した会社に在任しているときに、泪橋交差点で夜間に交通量調査をアルバイトの調査員にさせたことがあったのだが、大学生ぐらいの年齢の男性・女性の調査員に「酔っ払いがからんできて大変です…勘弁してくださいよぉ~」と泣きつかれたことがある…。

また、とある年の11月初旬にこのエリアで私は2匹の蚊に腕をさされた。

まず、蚊に刺されることなどない時期だったのだが、この辺の水たまりには蚊を媒介する何らかの要素があるのかもしれないとこれまた失礼なことを思ってしまった…。


なお、このエリアにはワールドカップの際にこのエリアの安宿に泊まるべく多くの海外からの旅行者が集まったという。

今でも海外からのバックパッカーが数多く集まっている。

もちろん大部分の宿は労務者向けのドヤだが、中にはバックパッカー向けの安くて優良な宿が数件存在しているからである。

その中には、外国人バックパッカーに大変有名な宿もある。


 
 
早朝の光景

 
泪橋交差点

 

上:アーケード撤去前のいろは会商店街
下:アーケード撤去後のいろは会商店街 


[おまけ特集] 汐入 デベロッパーの底力

山谷は南千住駅の南方にある。

ところで、南千住駅の北東部では驚きの再開発が行われた。

昔は木造家屋がびっしりと立ち並び、迷路のようだったといわれ、またちょっとした歴史というか雰囲気を感じさせるエリアだったらしいのだが、大手デベロッパーの開発によって街そのものが区画から景観から何から一変してニュータウンが出現してしまっている。

住民は六本木ヒルズよろしく、等価交換方式でマンションに移り住んだものだと思われる。

デベロッパーの都市計画は官民一体で行われているのだろうが、道路や区画どころか堤防や河川敷や公園まで美しく整備されている。

なお、汐入側の整備された堤防の対岸にはホームレスの住むブルーシートのテントが立ち並んでいて強いコントラストを感じずにはいられない。


 
上:堤防は手入れがしっかりとしてあって美しく、汐入側にはホームレスは皆無
下:格差社会よろしく対岸の東白髭方面にブルーテントがちらほらと…。


 
上:汐入地区全景
下:しっかりと手入れ・管理されていて家族連れが安心して遊べる都立汐入公園


この開発地区は「さあ、世界家族。」などいう大げさなフレーズで売り出していた。

なお、墨田区側にブルーシートがあると述べたものの、北側の足立区側にも開発の手が伸びていて、タワー型の立派なマンションが建っている。


 
上:開発の余波は対岸の京成本線関屋・東武伊勢崎線牛田駅付近へも波及
下:南千住・汐入地区全貌


 
上:目抜き通りの「けやき通り」


 
ショッピングセンターも充実していて、しかもかなり活気がある


 
上:駅前の「ドナウ広場」も整備中! 
下:地図の左上には「泪橋交差点」の文字が…



 
上:汐入地区「ドナウ広場」と逆の口へ出ると南千住らしい駅前の光景が…
左下:コツ通り商店街
右下:「←の指す方向へ行ってはいけませんよ!」と言わんばかりといっては悪意に満ちすぎか…


また、街区の通りには「けやき通り」だとか「さくら通り」などという全く歴史を消し去ってしまったかのような名前が名づけられているが、こういった耳障り優先のネーミングには反感を覚えなくもないけど、まあ、ここに関しては仕方ないか…。

とはいえ、ちょっと南方には山谷のある南千住。

歴史をさかのぼれば山谷一帯には小塚原刑場という大処刑場があったのだという。

小塚原(こつかっぱら)刑場にあった火葬場にちなんでつけられたなどという話のあるコツ通り」のようなかたちで歴史と伝統を大切にした名前もある。

あんまり明るい話のない土地柄ではあるが、こうやって開発によって完全に歴史を消し去って完全に新しい街を創り出すデベロッパーの底力には頭が下がりますわ…。


また、日比谷線とTXを通じてすぐに都心へアクセスできるこの交通至便なエリアは、わざわざ歩道橋をわたって常磐線の南側にさえ行かなければ相当便利で暮らしやすそうなエリアであることには違いない。

とにかく横浜の石川町よろしく改札の出口一つでコントラストの強い一帯となったことも間違いない。