横浜には「寿町」という通称で呼ばれる大規模なドヤ街がある。
以下の文章は開港150年を迎える横浜市の作戦もしくは中田宏市長在任時にずいぶんと浄化されて昔よりキレイになってしまったので、現在はそんなことはなくなっているのだが、前はこんな感じだったと思って以下を読んでいただきたい。
エリアへアクセスするためには以下のように行くと良い。
最寄り駅はJR根岸線石川町駅なのだが、駅の改札口を出た正面に「→元町方面」と強調されている。
しかし、その表示に逆らうかのように左に出よう。
そして、すぐ左前にある中村川を横切る橋を渡って、さらに川沿いに左へ進むと良い。
ずっと進むと、自然と明らかに雰囲気の違うエリアに突入するのだが、これは、中村川の北側岸から寿町・扇町・松影町という住所にかけて存在する「寿町」と呼ばれるエリアである。
エリアは狭いが、はっきり言って山谷より全然ディープである。
昼間はそうでもなかったが、夜間は危険な感じがする。
一般の世界に溶込んでいる山谷と違い、ここはほぼ断絶している。
特に中村川周辺はすさまじい。
大阪の西成区あいりん地区よろしく普通に路上に自動車が捨ててあったりする。
また、この自動車に人が住んでいたりするから厄介である。
昔、夜間にこの界隈を通ったのだが、猫ほどの大きさのネズミを目撃したことがあって、その時の衝撃が強すぎてなおさらイメージが増幅している。
僕が思うに、ここは絶対に、女性は近づかないほうが良いエリアである。
女性が通るにはあまりにも違和感がある。
そして、石川町駅のほうからは、崖のすぐ真上にそびえ立つ山手イタリア山庭園の景色がこの界隈からも見えるのだが、そのことが結構ショックだったりする。
同じ石川町駅の西側に位置する元町・山手地区とのコントラストがすさまじすぎてビックリするからである。
しかも、山手イタリア山庭園の方からは見事に剪定された緑が見事なまでに真下の視界をさえぎるようになっていて、あまり下界を見なくていいように工夫?がなされている。
イタリア山庭園から見た下界の光景
それにしても、このコントラストを見て上に目をやったときに、「山手という名称がここまでしっくりくる界隈もないわな」と思う。
下町と山手がある程度はっきりと分かれている東京では、世田谷や目黒や港にお住まいのご子息やお嬢さんがご両親からそのようなことを言われることはまずないのだろうが、おそらく、横浜山手にお住まいのご子息やお嬢さんは、山手貴婦人に「地蔵坂を下りて橋を渡るのは絶対にダメよ」とでも言われているに違いあるまい(勝手な推測)。
その他にも横浜の親御さんが子供に「あの辺りには行っちゃダメよ」と言わなくてはならない近くの場所に場所が多くて大変だと思う。
まあ、それが横浜のたまらない魅力ともいえるのだけれども…。
それにしても、横浜は山手と下町と無機質なエリアがモザイクのように敷き詰められた街だ。
MM21と野毛・日の出町、関内と在日外国人が多く住む伊勢佐木町、元町通りとその脇に流れる中村川、港の見える公園と新山下界隈、横浜駅と横浜駅の北側の東神奈川ましてや子安の漁師町あたり、マイカル本牧のイメージが強かった本牧となんとなく密輸のイメージがある本牧埠頭、米軍根岸ハイツ周辺と堀割川周辺(ここは普通だが、上がハイソ)と、そして、この山手と寿町などなど、陽と陰、上と下が本当に至近距離に点在している。