GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

安全保障の「イ」

日本が日米同盟重視なことをとかく悪く言いたがる人が多いようだが、私はそういう人はバランス感覚のない人だと思う。

 

ましてや、「最近の日本は右傾化している」などと言う人は現状認識力の限りなく弱い人であろう。

 

仮に、日本国民が現在の中国のしたたかさを見て、「中国め!なめたことを抜かせば核武装も辞さないぞ!」と思えるぐらいにバランス感覚のある国民であれば日米安保体制は不要だろうし、現在のようにアメリカの意向に沿い続ける必要はないのであろう。

しかし、やっとのことで改憲派過半数を超えてきたとはいえ、相変わらず、「憲法9条2項については現状維持で…」と過半数の国民が考えているような状況下において日米同盟を最重視する以外に現実的に日本がとるべき道はあるのだろうかと強く思う。

 

日本が交戦力を“保持しない”うえ、アメリカのプレゼンス無しに日中の力の均衡が保てないと思われる以上、「たとえ多くの国々を敵に回したとしても日米同盟を維持するしか生きる道が無い」と考える他には取るべき道はないと考えるのが普通である。

 

もちろん、アメリカにハシゴを外されれば日本は大きな痛手を被るのだが、それは日本自身が自らの義務を放棄してアメリカに頼ろうとしているのだから、屈辱的であろうとなんであろうとアメリカの意向に沿わなければならない面があるのは当然なことである。

それが嫌なら、日本もさっさと憲法を改正して、それなりの自衛力や抑止力を持たないと話にならないのである。

 

実際、自衛隊はかなりの軍事力を有しているので、核兵器さえ持てばそれなりの自衛力や抑止力を持てると思うのだが、NPT体制の世になって核兵器を持とうというのは遅きに失し過ぎている。

こんなものは早い者勝ちというのがこの世の常道なのだ。

もちろん、世界にはイスラエルパキスタンのように遅かろうがなんだろうが核兵器を持った国はあるわけだが、やはり核兵器を持つことによる抑止力は絶大だから、これらの国は各国の反発と天秤にかけても十分にペイすると判断したのであろう。

 

繰り返し述べるが、「憲法9条2項については現状維持で…」と過半数が考える国民を有する国が、自衛力や抑止力を保つためには、日米安保条約の締結および日米同盟の堅持以外に選択肢はない。

これは、日本の安全保障の「イロハ」の「イ」にあたる部分だが、いまだにこれに異を唱える人の多いことにこの国の病巣を垣間見てしまう。

「日本は軍隊を創設し、国防力を増設せよ」という意見を持たないくせに、「日本はアメリカの言いなりだ…」という人は完全に思考停止しているといえるだろう。

 

それに比べて、どんな反対にもめげず、日米安保条約改正に臨んだ当時の岸信介首相らには後世に生きる者として強く感謝したいし、このように軽武装・経済重視で50年以上もの時間を過ごさせてくれた自民党アメリカには感謝したいと思うのが国民として普通の感覚であろう。

確かに自民党は財政の問題や既得権益者保護に関しては最悪な政党であり続け、だから私は自民党に投票してこなかったのだが、安全保障の問題に対しては、国民を尻目にまともな対応をとり続けてくれたことに私は感謝する。

戦時に散々戦争を煽ったのはしょうがなかったにせよ、終戦後に中国や北朝鮮を礼賛し、日米安保条約締結に反対した多くのマスコミや国民のバランス感覚を信じていたらこの国はあぶないことになっていたと思う。

ちなみに、余談だが、私は小沢一郎代表就任を機に初めて民主党支持から自民党支持に鞍替えした…。

 

それにしても、日本が誰のおかげでこんなおめでたい憲法を掲げてのうのうとしていられるのかについてきちんとわかっておらず、ましてや「アメリカの言いなりになるな!」「米軍基地を追い出せ!」「思いやり予算は止めろ!」などといったことを言い続ける頭の悪い人々の多いことには昔から今まで参りっぱなしである。

しかも、日米安保条約は双務的な条約ならともかく、片務的な条約なのだ。

それで日本が偉そうなことを言えるわけがないであろう。

 

…というわけで、一国民がイラク派遣を叩くのもブッシュ大統領を叩くも自由だが、日本が国家の意思としてアメリカの軍事政策に反対したらそりゃー面倒なことになる。

このように、アメリカの言いなりにならざるを得ない状況を作っている最大の犯人は憲法9条2項を支持する過半数の国民なのだ。

このパラドックスをわかっていない国民が多すぎることに私はうんざりする。

仮にアメリカの言いなりになりたくなかったら、防衛力に実行力を持たせるか、もしくは、防衛力に双務性を持たせるべきなのだ。

そして、それなりの防衛力を持つには現在の防衛力の数倍のコストがかかるということも頭に入れておかなければならない。

 

くしくも、岸氏の孫である安倍晋三“次期総理大臣”が改憲を打ち出しているようだが、是非ともまともな憲法を制定してくれることを望みたい。

 

【追記】

先日、井上ひさし氏が「井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法」などという日教組ばりに馬鹿げた洗脳本をバカ講談社から出版していたが、「こんな手合いが早く一掃されないと日本人もまともにならんのかな…」と思う今日この頃です。