GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

消費者にとって現金・カードの話は些事

デフレが続いているためか、賢いためか、日本の消費者はなかなかカネを払いたがらない。

無料牛丼の列に長時間並ぶという本末転倒な行為に出るほどにケチである。

合成の誤謬を起こしてしまっていて、いつになってもデフレ解消の気配が見えない。

 

現金の発行には1枚当たり20円程度のコストがかかっている。

現金の利用率が高いことで最も損をしているのは紙幣を発行する日銀と現金の管理やATMの維持にとてつもないコストをかけている銀行である。

また、超過準備にはマイナス金利がかかるので、銀行はじゃぶじゃぶの預金を日銀当座預金に入金せずに現金で持っていても良いのだが、現金管理のコストが莫大であるがゆえに、銀行はマイナス金利を支払ってでも日銀当座預金に入金している。

というわけで、現金決済が減ってうれしいのは日銀と銀行とカネの流れを捕捉する国税局と手数料を稼ぐカード会社である。

マイナンバー制度が実施された今、国税局にとってキャッシュレス化の推進は重要課題である。

しかし、消費者にとっては現金は面倒なこと以外には特に不利益はない。

日本は偽札が皆無といって良いぐらいにないわけだし…。 

 

小売りや飲食の店舗にとっても、現金を数えて管理するのは手間だが、カード会社に手数料を払うよりはマシだし、家族経営的な店舗にとっては税金をごまかすのに現金はかなり便利なツールである。

そして、その便利なツールの利用を減らさせるためにも政府や国税局は現金決済を減らしてキャッシュレス決済を推進したいのだが、消費税増税による景気の腰折れ対策という名の疑似餌として5%ものポイントバックをちらつかせてキャッシュレス化を推し進めようとしているし、それによって経営不振にあえぐ銀行の救済も図ろうとしている。

余談だが、1,000万円以下の売り上げの事業者にも消費税は益税にさせずに納税させるべきだと思う。

優遇措置はその他の部分で図るべきであろう。

 

カードの年会費を利用者が払うことが普通である国も多いというが、日本ではカード利用の年会費が大抵は無料なうえ、さまざまな特典をつけて何とか利用者にカードを作ってもらっているという状況である。

アメリカでは初年度無料で翌年以降に年会費を取る代わりに付加サービスがかなり充実していたり還元率が高かったりするようだが、基本がリボ払いとなっているから利用者に還元できるのだろう。

カード会社としても本当は利用者にリボ払いにして欲しければ、年会費も負担してもらいたいのだが、ケチな日本人は年会費を有料にしたらカードを作ってくれないし、賢いがゆえにリボ払いにも応じてくれないので、日本の利用者からなかなか利益を上げられないのだろう。

また、日本ではクレジットカードの利用率が低いのでスケールメリットも取れなければ、各自が特典欲しさにカードをたくさん作って使わないままとなっている死蔵カードもかなり多いのではないかと思われる。

それにしても店舗から取る手数料が高すぎるのではという声もあるが、こういった理由で他国より高率の決済手数料を店舗から取らざるを得なくなっているのだろう。

結局、カードお断りで現金のみという店が多いのはそういった理由によるものである。

このような事情があるのに、政府からはカード会社に決済手数料を下げろと強い圧力をかけているが、政府主導でカードや電子マネー決済を本気で推進していくのだから多少の無茶は受け入れてくれということでもあるのだろう。

とはいえ、政府や国税局がキャッシュレス化を進めるのは先述した通り、自己都合によるものであってカード会社のためにそれを推進するというわけではない。

ところで、QRコードの手数料は桁違いに低いという話なので、これが業界をどう変えて行くかは注目したいところである。

そして、カードや電子マネーについても、消費者が手数料を払うわけではないし、カードや電子マネーでの決済は便利なので、消費者にとってはカードや電子マネーを持つことには何の不利益もない。

 

カードや電子マネーの決済も中抜きの妙手だが、他にも販売促進的な名目でさまざまな中抜きが幅を利かすようになっているので、小売り店舗や飲食店にとっては受難な時代である。

ぐるなびのような紹介サイトはともかく、食べログのような比較サイトでさえ表示に差をつけて手数料を取ったり、食べログ経由で予約した場合には店側から1件200円程度の手数料を取ったりしているという。

Tカードは店から3%の手数料を取って、そのうち0.5%を顧客に還元して、2.5%を抜く商売であるという。

そんなバカな!と思わなくもないが、Tカードに加盟することによる販促効果が高いので店舗側は渋々加盟するわけである。

しかし、紹介サイトの利用やTカードについても消費者としてはビッグデータを抜かれること以外には不利益はない。

 

要は、消費者がケチで賢い日本においては、中抜きされるのは常に店舗側なので、消費者にとって決済に関する話は些事ともいえる話なのである。

とはいえ、それらの中抜きコストは必ず販売価格に乗るのだけれども…。

 

最後に余談。

これまで家のゴミ袋はスーパーのレジ袋で賄ってきたのだが、近所の2ヵ所のスーパーでレジ袋を断ると2円分のTマネーをつけてくれるようになっている。

もし、100円ショップに売っているゴミ袋の枚数が50枚程度あればレジ袋を断っても良いのだが、100円ショップの商品には多いものでも30枚程度しか入っていない。

ということはエコバックを用いるよりも1枚2円でレジ袋を買ったほうがお得ということになるのでレジ袋をもらうようにしている。

もちろん、1枚6円のオーケーストアにはエコバックを持参している。

 

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