GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

需給確保においては国外より国内の農家のほうが信頼できない

前から気に食わない議論が自給率を上げろと騒ぐ議論だ。

よほど気に食わないためか、どうやら過去に3回も書いている。

 

自給率を上げる目的が治水や失業対策と言い切るのであればまだわからなくもない。

食品の安全性確保が目的という場合も多少はわかる。

しかし、この場合は日本人が生産者をきちんと管理して輸入するというアプローチも考えられるであろう。

カロリーベースで見た場合に最重要品目である穀物においては広大な敷地で大規模にやったほうが生産性は何百倍も高いわけだし、種や製法が同じであれば味がそう変わるとも思えない。

 

世界的に食糧の値段が騰がっているが、困っているのはそれを購入するお金のない人だ。

最近あった食糧サミットで困っていたのは貧困にあえぐ国であった。

戦争状態でも無い限りお金があれば食糧は手に入る。

現に大トロだって香港や台湾などの海外諸国に見事に競り負けているというではないか。

 

一国が食糧を買い占めるには誰よりも高い値で競り落とすか、他国が購入するのを武力で防ぐしかない。

生産国が自国内でまかなうために輸出を取りやめることはできるだろうが、外国がさらに高値で買ってくれるのにそういった施策を取る国や生産者は少ないであろう。

 

そして、ミクロな話では食べ残しを持ち帰る文化のない日本人は外食するたびにおそろしいほどの残飯を排出しており、マクロな話では外国に「買ってくれ!」と迫られても自国の農家を保護するために高い関税や輸入規制をかけたり、不作の時に緊急で輸入した別に不味くない外国米を「不味くて食えない」というありさまで、どちらにせよ食糧が不足しているとはとても思えない。

しかも減反だとか休耕だとか休業補償だとか高値での買い取りだとか外国からとても珍奇な目で見られるような農業政策を取るのだから恐れ入る。

 

1次産業の農作物より2次3次産業の工業製品やサービスを売るほうが食うに困らないのは教科書にも載っている常識だ。

そのために自由貿易体制を堅持する努力をするのが日本にとって懸命な方策であろう。

 

最近、民主党のなかで極めてまともな感覚を持つ前原氏が小沢氏のばらまき農政策を批判したが、日本の農政策はその集票力ゆえにとにかく生産者のほうばかりを向いてきた。

そして、なんとか目が覚めた自民党がこのままではいかんと農政策を考え始めたスキを狙って小沢氏がその票をかすめ取りに来るのだからそのやり方のコスさには参る。

 

今、イカ釣り業者が燃料費の補てんを訴えたり、休漁したりしているが、個人的には「ほら来た!」といった感じである。

値上げして対抗すればまだ良いものを「イカはそんなに高価で消費される食物ではない」と開き直るのだから参る。

まあ、本当に死活問題なのだろうし、実際、イカが高かったらイカを食い控えするだけの話だから気持ちはわからなくもないが、安全性でなく需給という面に関して言えば、外国の生産者より国内の生産者のほうがよほど信頼できないように思う。

前にあった米不足の時の農家の態度を見た時にそう思ったのだが、今回もそう思った。

 

何度も書いているのだが、このボーダレスな世界において、しかも、カロリーベースでの自給率向上=食糧安保と決めつけることが本当に建設的な意見であるといえるのかについて真面目に考えるべきだろうと思う。