小泉政権が終幕した。
小泉政権は改革色の強い政権と一般的に認識をされている面があるが、振り返るとそうでもないことはすぐにわかる。
小泉氏が表に掲げた郵政・道路民営化改革が骨抜きに終わったことぐらいはちょっとモノゴトがわかる人なら誰でもわかりそうなことだし、財政・社会保障といった最重要分野にもろくに切り込めなかったことは残念であった。
また、憲法改正・教育基本法改正といった大懸案を論じることもしなかった。
しかし、改革へのポーズを前に出し続けたことや、官邸主導の流れを作ったこと、政策決定のプロセスを変化させたことは素直に評価されて良いと思う。
また、個人的には外交も良かったように思う。
そして、小泉内閣の政権運営において最も良かった要素は色々な意味において経済政策だったように思う。
言うまでもなくその推進役となった中心人物は竹中平蔵氏なのだが、それほど経済に強くないなりに氏を最後まで信任し続けた小泉氏も立派なら、それに答え続けた竹中氏も立派だったと思う。
竹中氏は小泉氏が首相を退任することで参議院議員を辞職するらしいが、地位に恋々としないからこそ四面楚歌でもあれだけやれたのだろうと思う。
また、色々な批判はあるかもしれないが、同く敵を恐れなかったことと、潔さという面において、規制改革・民間開放推進会議議長のオリックス会長の宮内義彦氏も立派だったように思う。
彼らのことを色々と批判する人はいくらでもいるが、私はトータルでは彼らを評価する。
それにしても、ここまで余力を残したまま退陣する首相も珍しい。
ボクシングでいえば渡辺二郎といったところだろうか…。
新しく発足する安倍政権については「理念は立派だけど、まずはお手並み拝見!」という程度にしか言えることはない。
安倍氏は拉致問題に対する一貫した態度などによって得た国民的人気背景に首相の座に就いたわけだが、あまりに未知数といえば未知数なわけである。
小泉改革以上に改革を進めることにこそ活路が見出せる気がするのだが、どこまでやってくれるのだろうか…。
人事で言えば、論功行賞色を強めたことは上手いように思ったし、5人の補佐官の設置・人選にも官邸主導を強めようとする姿勢が前に出ていたように思うし、官僚に同調しがちな大臣が少ない気がしたのでまずまずではないかと思った。
あと、旧自由党の国会対策委員長もやったことのある二階氏を国会対策委員長に据えたのはおもしろいと思った。
まあ、組閣だけじゃ何もわからないわけなのも事実で、だからこそ「お手並み拝見」ということになるのである。