今日の日経新聞の「自前主義に再び光」という記事があって、これを要約すると、「長崎ちゃんぽんは、これまで、既存店1店舗当たりの社員数が0.6人だったが、調理・接客の水準が低下し、店舗当たりの売り上げが低迷したため、2007年度に1店舗に1人の正社員を配置を目指す」というようなことが記してあった。
なるほどな…と思った。
ここ数年の間に日本中で、正社員を減らして非正社員を多く使うという流れが吹き荒れたが、そのため、サービス業では多くのチェーン店において、正社員が不在でアルバイトだけが働いているというような状況の店舗が数多く生まれた。
それで、店舗が滞りなく回っているのであれば何の問題もないのである。
しかし、実際のところはと言うと…、店員の接客に多くを求めない私のような人間にですら、接客の酷さが目に余ったり、その他の不手際にイライラさせられるという経験が増えこそすれ、減る傾向にはないように思う。
飲食業だと、呼んでも注文を取りに来ないわ、頼んでもいつまでも出さないわ、頼まれていること自体を忘れるわ、取り皿などはいつまでも持ってこないわ…といった状況が目に余るようになったし、販売業だと、あまりに商品に関する知識がなかったり、あてずっぽうというか適当な回答をよこす販売員が目に余るようになった。
たとえ、愛想が良くてかわいらしい若い女性アルバイトだったとしても、頼まれた基本動作をこなせないようでは、さすがにイライラしてくるというものである。
例えば、私の住む江古田にある牛角は接客が悪いからか、いつも客が少ないのだが、隣駅の東長崎や桜台の牛角は繁盛しているので、これなどは人災としか言いようがない。
出てくるのが遅いのは毎度のことながら、毎回、焼肉が終わった頃にサラダが出てくるわ、フロアを見回しても店員がいないことが多いわで、あまりに気配りが足りなすぎるのだ。
おそらく本部は気づいていないのだろうが、アルバイトの質という人災で客が来なくなって潰れた店というのは本当に多いように思う。
アルバイトに目配せしている社員がいるのといないのではアルバイトの意識も違ってくるということは、私が学生時代にアルバイトをしていた頃の経験からもわかる。
かく言う私も正社員がいると普段より真面目に働いていたものである。
また、クレームなどの事態が起きたときに、それを処理するのが社員なのかアルバイトなのかということによってずいぶんと事態は変わってくるのではないかとも思う。
ところで、長崎ちゃんぽんでは社員の給与に成果主義を取り入れているそうである。
「成果主義を取り入れているから社員を増やしても賃金コストは膨らまない」と言っているあたりがかなり気になるが、社員1人が1店舗を任され、売り上げの成果に応じて給料を受け取る…という考え方そのものは間違っていないように思った。
と、このように「自前主義」にすることで、サービスの質、スピード、モチベーション、忠誠心、熟練度、定着率が上昇する部分もあると思うのだが、この反動的というか逆流的な流れはこれからどの程度取り入れられていくだろうか…。