GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

夏の正しい乗り切り方

リー・クアン・ユー元首相はシンガポールにとって最も大きな20世紀の発明は冷房」と述べたという記述を目にしたことがある。

 

先進国の多くが高緯度地帯にあるのは、冬を乗り切るために備蓄が必要だったというのもあるだろうが、暑くて仕事にならない地域で発展が遅れたというのもあるであろう。

暑い地域が先進国になっていくためには冷房は必須ということを如実に示す言葉である。


東南アジアも日本の夏も冷房がないと乗り切れるものではない。

中には冷房嫌いな人もいるが、オフィスで生産性の高い仕事をしていく上で冷房は必須である。

それなのに学校に冷房がないことが多かったりする(最近はそうでもないのかな?)のは矛盾しているとしか思えないが、これに関しては暑さに耐えうる身体と精神力も鍛える必要があるという面と予算の面の両方があるのであろう。

そして、暑すぎて勉強にならない時期にはきちんと夏休みというご褒美が用意されていて、この経験の積み重ねが夏という言葉に対してついついポジティブなイメージを持ってしまう要因となっている。


夏休みというこの上なく甘いご褒美と、夏という季節を売り出すためのマーケティングのためか、夏という言葉をポジティブにとらえる誤解をしがちなのだが、これは過酷な夏を乗り切るための日本人の知恵なのかもしれない。


夏休み以外にもビーチ・プール・花火・祭り・盆踊り・浴衣・アウトドア・キャンプ・バーベキュー・ビアガーデン・風鈴・スイカなどなどといったポジティブな言葉で我々に勘違いを促してくれる。

でも、実際はこれらは幻想に過ぎず、夏は外に一切出ずに冷房の効いた室内で過ごすのが最も快適な過ごし方である。

家でエアコンをつけて、天井のファンで心地良い風を起こせば秋のリゾート地にいるのと同じぐらいに快適に過ごせる。

 

僕は、ビーチ・プール・花火・祭り・盆踊り・浴衣・スイカ・風鈴・アウトドア・キャンプ・バーベキュー・ビアガーデンは一切無視する。

夏はよほどのことがない限りどこにも出かけないし、街も歩かない。

風鈴は近所迷惑だし、窓を閉めているのでそもそも使わない。

イカは食べたいときには食べるがそもそもそんなに好きではない。

秋の果物のほうがずっと好きだ。

夏以外は歩数確保のために自転車をなるべく使わないようにしているが、夏は徒歩移動も止めて、運動不足になろうと移動は全て自転車で貫く。

冬は意外と外に出て歩き回るのだが、これが僕流の夏の乗り切り方である。


常夏とか南国という言葉も、その言葉と夏休みを勝手に結びつけていいイメージを抱いてしまいがちだが、両方とも本当はめでたくもなんともない言葉である。

言葉に騙されてはならない。


プラハの春」は春から夏に向かっていくような出来事を表すのかもしれないが、池上彰氏によるとアラブ世界において春というのはベストシーズンの冬から酷暑に向かっていくあまりポジティブでないイメージがあるらしい。

そして、チュニジアから発生した「アラブの春」はヨーロッパ世界と違って決して良い結果を生んだわけではなかった。


実際、ヨーロッパの夏は快適そのもので、夏が全季節の頂点と位置づけられている。

だからこそサマータイムというものを用いて夏を満喫し、最高のシーズンにバカンスを取って楽しむのだが、日本の夏休みは真逆で、暑くて仕方がないから休みにするというとんでもない発想から生まれている。

人生を楽しむということにおいて二歩も三歩も後ろを歩いている国のなせる業である。


もちろん、個人の自由なのだが、お盆あたりに夏休みを取っても有意義に過ごす方法を考えづらい。

どこに行ってもクソ暑くて混んでいて、僕にとっては大きく理解に苦しむ休みの取り方である。

文化・宗教的背景があるから仕方ないのかもしれないが、一番暑い盆と一番寒い正月に渋滞と混雑を作って大移動で帰省して集まって疲れて何もいいことがないと思うので、こんな行事をスルーしてそれぞれが快適な季節に帰省すべしと思うのだが、人の行動というのはまことに不思議で、僕は大抵の人の裏をかくから色々と楽をできているのだろうと思う。

僕は郷里の宮崎には春、パートナーの郷里の長野には秋に行っている。

酷暑と混雑の花火大会になぞ一切行かないという思い切りも必要であり、全てを合理的に考えて行動すれば余計な苦労の多くはカットできるのである。

むしろ、花火大会は春か秋にやればいいと思う。


そもそも、連続有休を夏にとる必要性は低く、年に1度は5日なり10日なり20日なりの連続の有休を取ることを義務づけるなどして休みを分散すべきなのであり、不快なシーズンである夏に限定するのは愚の骨頂である。

そして、願わくばゴールデンウィークやシルバーウィークといったバカげた休日もいち早く廃止して欲しいのだが、人生を楽しむことがとことん下手くそな日本人のことだからそれは実現しないだろうと思う。

おかげで、僕なんかは、一年で一番いい季節なのに、混雑のために出かける気をなくしてこの時期にひきこもることを余儀なくされてしまっている。


ところで、ポーランドの夏はとても快適だったのだが、何故か、北部ヨーロッパの人には夏に地中海を目指す人が多い。

何故に自国がベストシーズンのときに暑い南国に行くのかとアジア人の僕には謎にうつるが、それだけ彼らが太陽に飢えているのだろうと思う。

といいながら僕もこのことについて最近やっと気づいたのだけど、夏にヨーロッパに行くならば北に行くほうが快適に楽しめる。


夏休みの甘美な想い出に刷り込まれた夏のイメージに騙されてはならない。

まあ、多くの人は騙されていないと思うが…。

 

と、ここまで書いておいて、つい4年前にも同じようなことを書いているのに愕然とするが、ボケてるのは暑いせいである。

 

 

 

Kindle Unlimitedと悪戦苦闘

本当は紙の本を買って本屋さんの売り上げに貢献したいのだが、モノが増えるのが嫌で本をこれ以上増やしたくないものだから、本の購入はついついKindleになってしまう。

Kindle電子書籍を購入して読むことも多いが、ちょうど1年前のサービス開始と同時にKindle Unlimitedにも加入しており、こちらで読むことも多い。


Kindle Unlimitedは月額980円の定額のサービスだから読まないと損なのでどうにか読みたい本を探そうとするのだが、Amazon側もあえてそうしているのかしていないのかはわからないのだけれども、読みたい本を探すという点においてものすごくユーザビリティの低いサービスとなっていてユーザーとして日々悪戦苦闘している。


まず、著者別で探そうとするとこれが漢字順では並んでいるのだが、アイウエオ順に並んでおらず、ものすごく使いづらい。

出版社別もアイウエオ順では表示されないが、こちらはまだ目視が効くのでどうにかなるものの本を出版社別で探す人なんてそうそういないだろう。


なのでカテゴリー別で探そうとするのだが、アダルト本非表示にしても、何割かは口説き方か性感帯関連の本が入ってきて、これが全然関係のないジャンルであっても表示されてしまう。

こういったジャンルの世界に身を置く人間というのは悪意の塊のような人ばかりだから仕方ないのだが、まず、これが本当に邪魔である。


マンガとグラビアも多く入ってきて全く興味がないのでこれも外したいのだが、この数も馬鹿にならず邪魔である。

雑誌も表示されるのだが、書籍を探している時に雑誌が出るのも邪魔である。

 

そして、出版社から発行されるプロが書いた本より、Kindleなどの電子書籍のみで提供される素人が書いた本のほうが断然多く、プロが書いた本にはなかなか出会えない。

素人が書いた本は僕の所感ではクズ本が8割で、案外良い本が2割程度なので打率は相当低い。

 

それだけノイズがあって、やっとプロが書いた普通の本が表示されるのだが、プロの本とはいえ、市場価値があれば通常のKindleで販売されているわけで、Kindle Unlimitedに登録されている本は基本的には書店では全く売れないけど、ここに置いておけば多少は利益を生むだろうということで置かれた市場価値のない本ということになる。


つまり、これだけノイズが多いと欲しい本に出会うまでには相当な苦労が生じるわけであり、そこに置かれている本も市場価値を失った本ばかりということなのである。


しかし、市場価値というのは書店等の販売者が決める価値に過ぎず、個々の読み手は自分にとって価値ある本さえ探せば良いわけでそういう意味では古本屋の100円コーナーなどと同じかもしれない。

そのようなハードルを乗り越えて自分の読みたい本にやっと出合えるわけだが、掘り出し物も多いし、年数が経っても価値が落ちない分野の本も数多くあるので使い続けているというわけである。


これまで利用した本の数は145冊で、これまでの定額料金が10,780円なので、平均すると1冊74円で購入していることになるのでお得感はあるが、これが玉石混交なのは先に述べた通りでもある。

ちなみにKindleを使ってこれまたちょうど3年になるのだが、こちらでは52冊の本を購入していた。

その分の本棚のスペースを浮かすことができた計算になる。


ところで、Kindle Unlimitedの総合ランキングの上位の作家を見ると高城剛氏や苫米地英人氏の本が上に来ることが多い。

失礼ながら、タダなら読んでみたいけど買ってまで読みたくない作家の代表例だと思うのだが、そういう作家が「Kindle Unlimitedで読んでいいよ」とコンテンツを提供すると相当に読まれるものだなあと感心したりもする。


あと、先日、海外に行った際に日本のKindleサービスをダウンロード可かどうかを調べたが、遠いポーランドででもダウンロードできることがわかったので、仮に海外で生活をすることになってもこれなら生きられるなあと思った。

本がなかったら生きられない僕のような人間にとってはKindleKindle Unlimitedというのは本当にありがたいサービスである。


一時的な休止は簡単にできるようなので、読む本が枯渇したら一時的に止めると思うが、しばらくは続ける予定である。

 

ポーランドのホテルで横になりつつ…