世の中に隠れ潜むクレーマーの暗躍の成果か、今の世の中はちょっとしたミスが命取りになる世の中である。
昨今は、議員年金が廃止の方向で見直しが入っているそうだが、この問題の元ともなった国会議員の国民年金の未納の問題について考えた場合、未納議員の数があんなに多かったことをかんがみる限り、「あれだけ多くの額を貰えるのだから、国民年金は払わなくて良いと思った」という国会議員の言い訳はおそらくは本当のところだったのであろう…。
また、政治家に愛人がいることが発覚してその政治家が辞任することがあるが、その政治家はそのことに対して何の責任を負う必要があるのだろうか…。
同じ倫理的な問題でも、公僕としての背任行為といえる収賄の問題とプライベートな問題にすぎない愛人の問題とでは根本的に悪さの質が違うと私は思う。
フランスあたりだと「愛人ぐらい、そんなこと個人の問題だろ…」と受け止められるらしいのだが、日本社会やクリントンがモニカ・ルインスキー事件でもめたアメリカ社会はせちがらいものだ。
「浮気に対して怒るのは本人の奥さんとその関係者だけであるべきで、世間が青筋立てて怒ることではないだろう…」と私は思っているのだが、そんな私が甘いのだろうか…。
また、最近辞任したNHKの海老沢勝二元会長が顧問になったことで十数万件のクレームの電話が入ったそうだが、「確かに、受信料を払う身としては不満はあるのだろうけど、エビジョンが顧問になることで、あなた本人の生活にどの程度の不利益が起きるのか?」とこちらが逆に聞きたいと思ってしまう。
テレビでちょっと気に食わないシーンがあっただけで、ものすごい数のクレームの電話がテレビ局に殺到するというが、それも同じである。
その他にも部外者のクレームのせいで世の中じゅうが右往左往しているように思われるが本当に情けなく思う。
「お客様は神様」が行きすぎて客がつけあがる世の中になってしまっているのと同じく、匿名のクレーマーがこの上なくつけあがる世の中になっている。
ところで、クレーマーを突き動かす情念は一体何から出てくるのだろう。
まずは嫉妬だろう。
嫉妬とは人間の持つ感情の中で最も醜い感情だと私は思うのだが、このような醜い人間に世の中がいちいち右往左往させられるのだからたまったものではない。
確定申告漏れや失業保険の不正受給もほとんどは密告でバレるらしいが、人間とは本当に醜いものである。
この種の情念を作り出すその他の種類の感情には、お茶の間的・独善的な正義感やウサ晴らしの感情などが思いつくが、まあ、ろくな感情がその情念の原因になっていないように思う。
仮に社会悪を純粋に憎む批判精神から来るものであってもその手段があまりに小汚い。
しかし、クレーマーはものすごく粘着的な性格をしているものと相場が決まっているから、「ハイハイ、ごもっとも…」と言っておかないと、復讐のために恐ろしいばかりの情念を燃やしてきかねないから、その処理は腫れ物に触るがごとく行われなくてはならないのがやっかいである…。
それにしても、クレーマーという粘着質の醜い人格を持った人間に世の中が振り回されている模様を眺めるのは全くおもしろくないものだ…。