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世の中をかいくぐって逆張りの人生を歩む俺の意見

RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2017までのRIZIN所感

栄枯盛衰があって、すっかり地上波から姿を消した格闘技の放送だが、一時、FC琉球の運営をしていた榊原信行氏が格闘技界に復帰し、旧PRIDE陣でRIZINを立ち上げ、テレビ映えのする高田延彦氏らの功績もあって久々に地上波放送の再開に成功し、ここ数年、大晦日での放送が続けられている。

PRIDE地上波放送消滅の原因となった暴力団の追放や、PRIDEを吸収後に消滅させたUFCとの競業禁止契約の期間が過ぎての再立ち上げと思われるが、年末の視聴率は6%台だったようで復活とは程遠い印象である。

往年の格闘技ファンとして大晦日の放送を見た感想を列挙しておく。

  • 立ち上げ直後は昔懐かしい選手を用いて往年のファンを誘い、その後も、女子プロレス選手やタレントの子供などの話題性のある選手を用いてマス層を引き寄せようとしている。
    コアなファンには納得できない面もあるだろうが、テレビというメディアには常にわかりやすいキャラを起用することを最優先する面がある。

  • 総合格闘技の大会なのに、打撃でKOする勝ち方ができ、圧倒的な戦績を誇る選手を起用したいとの意向が働いたと思われ、立ち技で圧倒的な戦績を誇る那須川天心選手RENA選手を起用したと思うのだが、TV放送で反響が強かったのか、他の総合格闘技の選手を差し置いて立ち技の両選手がだんだんとテレビ的には中心選手として扱われるようになる。

  • 両選手は立ち技で類まれなる実績を残しているが、総合格闘技で同じような実績を残せるとはとても思えず、それでありながら至宝の選手を簡単には負けさせるわけにもいかず、さらに、視聴者を白けさせるわけにもいかず、そのあたりをギリギリ調整したマッチメークを続けているものと思われる。

  • ボクシングの井上尚弥選手と並んで日本格闘技界の至宝と思われる那須川選手に対しては、キックボクシングルールでも視聴率が取れる、総合格闘技ファンが集う会場の観客の同意が得られると考えたのか、急ごしらえのキックボクシングトーナメントが開催され、圧倒的な勝ち方で優勝した。
    しかし、このトーナメントにラインナップされたメンバーで頂点を決める妥当性については大きな疑問が残る。
    とはいえ、世界タイトル戦まで黒星がつかないように育てられがちで全勝選手が多いボクシングと違って、途中で非情にもタイ人のムエタイ選手を当てられて黒星を喫することが多いキックボクシングの世界には全勝の選手というのが極めて少なく、全勝かつ、ここまで劇的なKO勝ちを続ける那須川選手はたまたま同時代に誕生した井上尚弥選手と並んでポテンシャル・実力・実績いずれにおいても日本格闘技界における最高のスター選手であることは間違いないと思う。

  • 総合格闘技ルールで勝ち続けるには限界のあるRENA選手は、キックボクシングルールでなく総合格闘技ルールのトーナメントへの参加となったが、優勝をしたのは、昨年あたりに「女子高生ファイター」として取り上げられた浅倉カンナ選手となった。
    小学校1年生よりレスリングを開始し、柔道・柔術の経験もあり、総合格闘技の基本が叩き込まれているという意味ではRENA選手よりもキャリア十分といえるわけで納得といえば納得。
    見た目の華やかなRENA選手が引きこもりからの格闘技挑戦だったのに対して、浅倉選手は格闘技の英才教育を受けたエリートの様子。
    あと、20歳なのに昨年女子高生ってどういうこと?と思ったのだが、2回留年しているようで高校5年生だったのね…。
    このトーナメントのマッチメークがRENA選手が勝てるか勝てないかギリギリのところでなされているかどうかについてわかるほど女子格闘技の選手を知らないのだが、テレビ的には予想外の出来事だったのではないかと推測する。

  • 視聴率とは別に、来場するファンの心をつかむ必要があるので、それなりのメンバーをそろえた本格的なトーナメントは必要で、テレビ映えするキャラではなさそうなものの圧倒的な強さを見せつけている堀口恭司選手のような選手こそ総合格闘技RIZINの真のエースとしてマスに注目されるようになって欲しいと思う。

  • 地上波放送があるからこそ那須川選手やRENA選手はRIZIN参戦を続けるのだと思うが、本来のキックボクシングルールでキャリアアップして欲しいというのが多くのコアなファンの願いだと思う
    それに対して、総合格闘技ルールでどんどん行って欲しいと願うコアなファンは少ないだろうと思う。
    キックボクシングに関して言うならば、テレビ東京でレギュラー枠のある「新生K-1」やTOKYO MXテレビでレギュラー枠のある「KNOCK OUT」のほうが、下部組織の充実やマッチメークの適格性において勝っているのだが、コアなファンの心をつかむには競技性を高めなくてはならず、逆に、ゴールデンタイムの地上波放送に起用されるようにプロモートするには話題性を高めなくてはならず、これらには相反する要素が求められるため、PRIDE・K-1時代のようなムーブメントが起きて多額の資金が動かない限り、RIZINは話題性先行のイベントであり続けるのだろうと思う。
    PRIDE・K-1が蒔いた種が育ち、あの頃にテレビを見ていた少年少女が格闘家になったため、層は今のほうが断然厚いように感じるだけにもったいないとも思う。