GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

格闘技はマイナースポーツ扱いだが、競技名は日本語発祥なのである

前回総合格闘技の興行について、「コアなファンの心をつかむには競技性を高めなくてはならず、逆に、ゴールデンタイムの地上波放送に起用されるようにプロモートするには話題性を高めなくてはならず、これらには相反する要素が求められる」と書いたのだが、格闘技について思っていることを久々に述べることとする。


総合格闘技もキックボクシングも国民体育大会に採用されていないスポーツであり、このようなスポーツは一般的にマイナースポーツとされるのだろうが、暴力の許されない現代社会において、スポーツという枷をはめ、感情のもつれのない合意のもとに行うケンカのようなものである格闘技は本能的に人を熱くさせるために、一定の支持を得るのだと思う。


格闘技にせよボクシングにせよ、ドクターの監視下にあるとはいえど、明らかに試合をしないほうが身体に良い競技であり、選手の今後の健康に対する責任を本人以外に誰も負っておらず、後先を考えない儚さというのも人を熱くさせる要因だと思う。


国体に採用されている武道・格闘技は、毎年実施のものでボクシング・レスリング・相撲・空手道・柔道・剣道・フェンシング・弓道ライフル射撃クレー射撃があり、隔年実施のもので銃剣道なぎなたがあるようである。

オリンピックや国体に採用されるようなスポーツは公益法人一般財団法人のアマチュア全体を一元的に統括する組織があり、選手がプロ格闘技に出ることを許可している日本レスリング協会のような例を除いて、日本相撲協会と日本相撲連盟、日本ボクシングコミッションと日本アマチュアボクシング協会のようにプロとの区別が図られている。

こういったスポーツは一般の新聞において試合結果が掲載されているように見受ける。


それに対して、総合格闘技やキックボクシングというのはプロもアマチュア団体が乱立しており、全体を一元的に統括する組織は存在しないし、プロテストの基準も団体によってまちまちである。

僕が大学時代にキックボクシングをしていた際に属していた全日本学生キックボクシング連盟などは数少ないキックボクシングのアマチュア組織の一つである。

また、アマチュアキックボクシングの多くはプロ団体のアマチュア部門として存在している。

このようなスポーツにおける優勝者の地位というのは客観的に担保しにくいために一般的に新聞に記すような公式結果として扱わないことにしているのだろうと思う

例外的に閉鎖的な団体が行っているのにメジャーの地位を占めているのは、関東学生陸上競技連盟主催の箱根駅伝と、東京六大学野球連盟主催の東京六大学野球であろう。


競技性を高めて、話題性やドラマ性を無視するならば、全てのアマチュア競技はそれを完全に満たしているだろう。

しかし、多くのアマチュア大会の会場が閑散としているとおり、話題性やドラマ性がないとコアなファン層とマス層の両者の支持を得ることは難しく、いくら野球やサッカーのようなメジャースポーツであっても単なるプレーのみの鑑賞だけでは実際に競技経験がある人以外には正確に理解できないだろうからプロスポーツとして盛り上げていくのは難しいだろう。

というわけで、プロスポーツにおいては見せ方と演出の工夫という要素が極めて重要となる。


前に個人で調べたところ、キックボクシングジムの数はボクシングと同程度かそれ以上あると把握したのだが、キックボクシングのジムというのは相当な数があり、キックボクシングのアマチュア競技者数は相当多く、プロ選手の数も全団体を合わせれば相当いるように思うが、競技をせず健康目的でするのであればどのスポーツよりも健康に良いぐらいなものの、いかんせん、競技をするには安全性に問題があることもあって小学校・中学校・高等学校におけるアマチュア組織がほぼ皆無、かつ、前述の通りコミッショナーもないので一般的なスポーツとして認められていないまま現在に至っている


昔、新聞にK-1の結果が載っていた際にスポーツ面ではなく社会面に載っていて、総合格闘技K-1という言葉が使われていたのだが、この言葉には目を疑った。

新聞もしくはある水準以上の雑誌で用いられる言葉というのはブログなどで用いられる言葉と違って必ず用語の使用基準があり、校正も入るのだが、十把一絡げにして意図的に貶めるためにこの用語を使っているものと個人的に断定したからである。


とはいえ、本来は本家であるキックボクシングのことをK-1と言われるぐらいにキックボクシングという言葉がマイナーな言葉なのだから仕方ないとも思ったのだが、K-1が断じて総合格闘技ではないということぐらいは調べれば素人にもわかることであり、新聞社のようなプロが用いた場合には意図的に使用したと理解したのである。


今回はこの辺で切るのがいいと思うのだが、以下、若干冗長になるのだけれども、競技名に関する用語についての解説と僕の見解を記しておくこととする。


ところで、kickという動詞boxingという名詞をくっつけたキックボクシングという言葉がそもそもおかしな言葉だと僕は思っている。

キックボクシングウィキペディアによると以下の解説がなされている。

日本のボクシングプロモーター野口修ムエタイの試合ルールを参考にして考案した、日本発祥の打撃格闘技である。リングを使ったプロ打撃系格闘技全般の総称を指すこともある。


キックボクシングはあくまでムエタイを元に日本で生み出された言葉であり概念なのだが、この言葉は世界標準となった。

パンチを極端に軽視するムエタイとそうではないキックボクシングとでは判定基準や勝敗の考え方が異なるが、世界標準となっているのはキックボクシングの判定基準である。

なお、一部ではキックボクシングではなく、Thai BoxingやThai Boxという言葉が用いられている。


次は格闘技についてのウィキペディアでの解説。

格闘技(かくとうぎ、挌闘技とも)は、主に自分の体での攻撃、防御を行う技術、もしくはスポーツ、あるいはそれを基にした興行のことである。
また単に格闘(かくとう)、格技(かくぎ)、体技(たいぎ)、マーシャルアーツ(martial arts)などとも呼ばれる。
狭義では、素手で組み合ったり、手足で打ち合ったりする形式の競技(en:Hand to hand combat)のことである。


次は総合格闘技についてのウィキペディアでの解説。

総合格闘技(そうごうかくとうぎ)は、打撃(パンチ、キック)、投げ技、固技抑込技、関節技、絞め技)などの様々な攻撃法を駆使して勝敗を競う格闘技の一つである。
略して「総合」と呼ばれることもある。英語では「混合格闘技」を意味する「Mixed Martial Arts」、略称は「MMA」と呼ばれるが、この言葉は1984年ロス五輪のレスリング金メダリストで、プロレスやUFCの解説も行っていたジェフ・プラトニックが日本の「総合格闘技」という言葉を参考に造語したといわれる。


こちらはキックボクシングと違って日本語で作ってしまったがために、国際的には総合格闘技を参考に造語されたMMAという言葉に置き換わってしまった

最後に、ダメ押しにマーシャルアーツについてのウィキペディアでの解説。

マーシャルアーツ(martial arts)は、日本語の「武芸」を英訳した言葉
文字通り、「武の」(martial)「芸」(arts)のことを指す。
これが転じて、レスリング、ボクシングといった西洋文化に根を持つ術技体系以外の拳法、格闘技全般を指す言葉として用いられる。


これまた日本発祥の言葉のようである。

Mixed Martial Artsというのは直訳すれば「混合格闘技」というよりは「混合武芸」といったことになるのだろうか。

獰猛極まりないMMAとは似ても似つかぬ直訳となってしまうのだが…。


人間の本能を刺激するからこそUFCなどで巨額のマネーが動くものの、アマチュアコミッショナーが整備されていない格闘技は日本でも世界でもマイナースポーツ扱いなのだろうが、競技名はいずれも日本語発祥なのである

 

夕陽に向かってキックを入れる