GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

定額制について② 「情弱」が支えるコンテンツ業界

情報弱者を指してそのように言うらしい「情弱」という言葉は好きではないが、今回はこの言葉を使うのが適当だと思うので使う。

もちろん、スマホ代という固定費を渋って、月額3,000円程度で利用できる機会が訪れる半年前までガラケーで通した僕も情弱の一人である。

 

無尽蔵にお金があるのならば別だが、誰しも知らないというだけの理由で無駄な出費はしたくない。

しかし、多くの人が知っていることを知らないがために、もしくは、熟慮もしくは検討することを面倒くさがるがために損をしている人が少なからずいて、彼らのおかげでコンテンツ業界はやっていけているのだろうとつくづく思う。

クレジットカード業界がリボ払いの人に支えられ、スマホの無料のソーシャルゲームが課金者によって支えられているのと同じで、コンテンツ業界は情弱の人によって支えられているのだ。

以下に、これは情弱かもしれないと僕が思う例を挙げる。

 

  • dマガジンと紙の雑誌
    月額400円で200誌以上の雑誌が読めるdマガジンに400万人近くが加入している世の中で、雑誌を買ってこの200誌を読む人は情弱としか言いようがないだろう。
    確かに雑誌は紙のほうが読みやすいが、PCやタブレット端末で読めばほとんど違いがない。
    また、確かに読めないページもあるが、それでもメリットは桁違いである。
    紙資源を無駄にすることもないし、家にモノが溜まるのを防ぐことができる。
    ちなみに書籍に関しては個人的には圧倒的に電子書籍のほうが読みやすい。
    照明の角度を全く選ばないからだ。
    紙で売りつつ、定額制サービスにコンテンツを提供するなどということは提供側もやりたくないに決まっているが、少額ではあっても分配金欲しさと、乗らないと置いていかれるという心理、業界全体で合従連衡できないことなどから、ゲーム理論的に「加入するしかない」という解が出てしまって苦々しくもこれに応じているのだろう。
    相当メジャーな媒体がこぞって提供していることに悲哀を感じずにはいられない。
    これだけ読めると個人的にもお気に入り雑誌を巡回するだけで大変である。

  • 音楽定額制・YouTube・CD
    CDが売れないという以前に、SpotifyAWAApple Music・LINE Music・Google Music・Amazon Prime Music ・YouTubeでいくらでも聴けるのにどうしてCDを買うのかナゾ。
    音源に異常なこだわりがあってMP3では聞きたくないという人は仕方ないが、それ以外でCD屋でコンテンツを売るほうも買うほうも情弱であろう。
    購入するにしてもCDよりダウンロード購入のほうが廉価だが、もはやダウンロード購入すら情弱側に移ってしまった。
    AmazonがPrime Music Unlimitedを始めて4,000万曲聴けるようになるようだが、Echoプランなら月額380円、年額4,560円。
    CD2枚を買う金額で一年音楽聴き放題とは恐れ入る。
    というか、Amazon Primeの100万曲でも持て余すのに、4,000万曲ってなんすか?
    どのサービスも大体4,000万曲だが、世界的にどういう経緯でこれを可能にしたのかを知りたいぐらいである。
    とはいえ、僕が試しに調べたところによるとやはりJ-POPは弱い。
    お気に入りのアーティストで検索してもオルゴールミュージックなどが引っかかる残念ぶり。
    最もJ-POPに特化した400万曲が聴けるレコチョクでもやはり聴けないものは聴けない。
    サザンオールスターズなどはほぼ無理だが、聴けないものは無視して聴ける曲を聴けばそれで十分。
    ちなみにサザンは既に大抵は持っているから問題なし。
    日本の音楽業界の知的財産権を守り抜く姿勢は悪くないと思うものの、どうも日本はCD販売ビジネスに固執している気がするのだが、ガラケー液晶テレビ東芝・電子決済・金融業・戦局など、何事に関しても他国より決定が遅くて転換点が遅いのが日本の特徴でもある。
    関係ないけど、JASRACの欲ボケぶりにも腹が立つばかりだし。
    安室奈美恵ベストCDミリオン云々と報じるマスコミにも寒さを感じるのは冬が近づいているからだけではない。

  • Amazon PrimeビデオやレンタルDVDとDVD購入や映画館
    Amazon Primeビデオで相当な数の映画を観られるし、Netflix・dTV・HULU・U-NEXT・GYAO!だともっとすごい。
    それにそこになくてもWeb上もしくはTSUTAYAなどでレンタルすれば安く視聴できる。
    こうなってしまうと、映画館に行って1,800円も払って観ることにもったいなさを感じるように思うのだが、シネコンの業績がそんなに悪化しているとは聞かないからこれは僕の価値観がズレているだけだろう。
    多くの人は、今の10,000円と1週間後の10,100円だと前者を取るが、365日後の10,000円と372日後の10,100円では後者を取るらしい。
    僕は迷うことなく両方とも後者を取るタイプの人間だからかもしれない。
    楽しみを後に延ばすことがさして苦にならないタイプなのだ。

  • 図書館とKindle Unlimitedと書店
    Kindle Unlimitedは1年続けて200冊ぐらい読んだが、おおむね読みたい本は読めたと思うのと、ラインナップがしょぼいのと、素人が書いたどうでも良い本やエロ関連の本ばかりが上に上がってきて検索性が低いのと、図書館に読みたい本がいくらでもあるために一旦休止した。
    これは図書館という定額制をはるかに上回る強敵がいたということでもある。
    っていうか、専門的で価値のある書物を読む機会を万人に提供するために存在するのならともかく、最近の図書館の出版側に対する営業妨害ぶりは受益者ながらあまりにも酷いのではないかと思う。
    また、こんなことが起きたら書店はおろか出版ビジネスが崩壊するし、本のありがたみがなくなるので絶対にそうなって欲しくないが、雑誌や音楽のように定額で世の中に出る本を読めるようになったらすごいだろうなとは思う。
    といいつつ、僕は10冊借りられる図書館でも、本に追われるのが嫌なので借りるのは2冊程度に抑えるようにしているし、いくらでも読める状況そのものが今読んでいる本を読む上で邪魔になったというのもKindle Unlimitedを止めた理由なので、あまり読め過ぎるのは考えものである。
    あと、先述の通り、紙資源の節約とモノが溢れることを防げるのと、再販制が適用されないKindleのほうが廉価だしポイントもつくので、Kindleで買える本を紙で買うのは今の僕には考えられない。
    前は書店で買って書店を支えようと思ったし、そのようにブログにも書いたのだが、モノが増えるのが病的に嫌いな性格なのでどうしても仕方ないのだ。

  • WEBニュースと新聞
    新聞には定額制という概念はないが、インターネット上に無料提供されるニュースソースで十分という人が多く、若い層の購読率を見ると新聞の将来は明るいとは到底思えない。
    とはいえ、新聞社自体は相当な余剰人員を抱えているので潰れるとまでは思わないが、新聞販売店の未来はお先真っ暗である。
    読売と産経のサイトはほぼ誰でも見ることができ、朝日・毎日・日経のサイトにはデジタル版購読者用のカギがかかっているが、ニュースアプリやポータルサイトを見れば済む話なので、デジタル版購読者は恐ろしく伸びていない。
    見出しの大きさで記事の価値を判断できる点と興味のない内容も目に入ってくる点が新聞の長所だが、無料のテレビ離れすら進む世の中にあって、毎月4,000円以上払ってまで購読しようと思う人が少なくなるのは仕方ない話である。
    僕も少し前に長らく続けてきた新聞購読を止めたが、今のところ困っていない。
    ただし、本当の意味で情弱な人こそソースの信頼度の高い新聞に目を通したほうが良いと思う。

  • テレビ
    今の時代に視聴率という指標の存在する意味がさっぱりわからない。
    録画してCMは完全飛ばしで見るのが僕にとっての今の時代のテレビ視聴の基本であって、生で観る人のことを全く理解できないからだ。
    生で観てCMもつけっ放しにする人がいるから多額のカネを投じてCMを打つのだろうが、そう考えるとCMを観る人は時間を大切にしないという意味で基本的に情弱なのではないかと思う。
    ちなみに、ラジオのCMはものすごく残る。
    ラジオのほうがいいのではないかと思うぐらいである。

ここまでコンテンツを無料や定額で手に入れられる、また、新しいものが出なくても別に困らないほどに過去の蓄積だけでお腹いっぱいになる時代にあって、提供側にとってもコンテンツにお金を使わせるのは大変だろうが、お金を使ってくれる人がいるからコンテンツ産業は成り立つのである。


でも、僕は払っている人の多くを情弱だと思う。


それと、ろくに知識もないくせに、このようなことをまとめた僕も最初にも述べた通り、もちろん情弱です。

 

gooddays.hatenablog.jp