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夏の正しい乗り切り方

リー・クアン・ユー元首相は「シンガポールにとって最も大きな20世紀の発明は冷房」と述べたという記述を目にしたことがある。
先進国の多くが高緯度地帯にあるのは、冬を乗り切るために備蓄が必要だったというのもあるだろうが、暑くて仕事にならない地域で発展が遅れたというのもあるであろう。
暑い地域が先進国になっていくためには冷房は必須ということを如実に示す言葉である。


東南アジアも日本の夏も冷房がないと乗り切れるものではない。
中には冷房嫌いな人もいるが、オフィスで生産性の高い仕事をしていく上で冷房は必須である。
それなのに学校に冷房がないことが多いのは矛盾しているとしか思えないが、これに関しては暑さに耐えうる身体と精神力も鍛える必要があるという面と予算の面の両方があるであろう。
そして、暑すぎて勉強にならない時期にはきちんと夏休みというご褒美が用意されてて、この経験の積み重ねが夏という言葉に対してついついポジティブなイメージを持ってしまう要因となっている。

夏休みというこの上なく甘いご褒美と、夏という季節を売り出すためのマーケティングのせいか、夏という言葉をポジティブにとらえる誤解しがちなのだが、これは過酷な夏を乗り切るための日本人の知恵なのかもしれない。

夏休み以外にもビーチ・プール・花火・祭り・盆踊り・浴衣・アウトドア・キャンプ・バーベキュー・ビアガーデン・風鈴・スイカなどなどといったポジティブな言葉で我々に勘違いを促してくれる。
でも、実際はこれらは幻想に過ぎず、夏は外に一切出ずに冷房の効いた室内で過ごすのが最も快適な過ごし方である。
家でエアコンをつけて、天井のファンで心地良い風を起こせば秋のリゾート地にいるのと同じぐらいに快適に過ごせる。


僕は、ビーチ・プール・花火・祭り・盆踊り・浴衣・スイカ・風鈴・アウトドア・キャンプ・バーベキュー・ビアガーデンは一切無視する。
夏はよほどのことがない限りどこにも出かけないし、街も歩かない。
風鈴は近所迷惑だし、窓を閉めているのでそもそも使わない。
スイカは食べたいときには食べるがそもそもそんなに好きではない。
秋の果物のほうがずっと好きだ。
夏以外は歩数確保のために自転車をなるべく使わないようにしているが、夏は徒歩移動も止めて、運動不足になろうと移動は全て自転車で貫く。
冬は意外と外に出かけて歩き回るのだが、これが僕流の夏の乗り切り方である。

常夏とか南国という言葉も、その言葉と夏休みを勝手に結びつけていいイメージを抱いてしまいがちだが、両方とも本当はめでたくもなんともない言葉である。
言葉に騙されてはならない。

プラハの春」は春から夏に向かっていくような出来事を表すのかもしれないが、池上彰氏によるとアラブ世界において春というのは酷暑に向かっていくあまりポジティブでないイメージがあるらしい。
そして、チュニジアから発生した「アラブの春」はヨーロッパ世界と違って決して良い結果を生んだわけではなかった。

実際、ヨーロッパの夏は快適そのもので、夏が全季節の頂点と位置づけられている。
だからこそサマータイムというものを用いて夏を満喫し、最高のシーズンにバカンスを取って楽しむのだが、日本の夏休みは真逆で、暑くて仕方がないから休みというとんでもない発想である。
人生を楽しむということにおいて二歩も三歩も後ろを歩いている国のなせる業である。

もちろん、個人の自由なのだが、お盆あたりに夏休みを取っても有意義に過ごす方法を考えづらい。
どこに行ってもクソ暑くて混んでいて、僕にとっては大きく理解に苦しむ休みの取り方である。
文化・宗教的背景があるから仕方ないのかもしれないが、一番暑い盆と一番寒い正月に渋滞と混雑を作って大移動で帰省して集まって疲れて何もいいことがないと思うので、こんな行事をスルーしてそれぞれが快適な季節に帰省すべしと思うのだが(僕は宮崎は春、長野は秋に帰省している)、人の行動というのはまことに不思議で、僕は大抵の人の裏をかくから色々と楽できているのだろうとも思う。
酷暑と混雑の花火大会になぞ一切行かないという思い切りも必要であり、全てを合理的に考えて行動すれば余計な苦労の多くはカットできるのである(花火大会は春か秋にやればいいのだ)。

そもそも、連続有休を夏にとる必要性は低く、年に1度は5日なり10日なり20日なりの連続の有休を取ることを義務づけるなどして休みを分散すべきなのであり、不快なシーズンである夏に限定するのは愚の骨頂である。
そして、願わくばゴールデンウィークやシルバーウィークといったバカげた休日もいち早く廃止して欲しいのだが(一年で一番いい季節に混雑のために出かける気をなくして引きこもりを余儀なくされるので)、人生を楽しむことがとことん下手くそな日本人のことだからそれは実現しないだろうと思う。

ところで、ポーランドの夏は快適だったのだが、何故か、北部ヨーロッパの人には夏に地中海を目指す人が多い。
何故に自国がベストシーズンのときに暑い南国に行くのかとアジア人の僕には謎にうつるが、それだけ彼らが太陽に飢えているのだろうと思う。
といいながら僕もそのことについては最近やっと気づいたのだけど、夏にヨーロッパに行くならば北に行くほうが快適に楽しめる。

夏休みの甘美な想い出に刷り込まれた夏のイメージに騙されてはならない。
まあ、多くの人は騙されていないと思うが。