GOODDAYS

  世の中の歪みをかいくぐってひたすら逆張りの人生を歩む俺の意見

女性に格闘技を教えること

女性にキックボクシングを教えることで、常日頃から考えていることと、最近思っている感想がある。

 

まず、常日頃から思っていることに関して書く。


僕は、女性に格闘技を教えることと男性に格闘技を教えることとの間にはちょっとした違いがあると思っている。

格闘技を学ぶ一次的な目的としてまず思いつくことは「強くなるため」という目的だが、男性の場合、ほとんどの人にそれが当てはまるのに対し、女性の場合はそうでないことが多いからである。


あたりまえの話だが、女性というのは男性と違って基本的に暴力的な意味での闘争本能がそれほどない。

だから、女性には実際にケンカなどに強くなりたいという願望がほとんどないし、強くなるということを魅力に感じる女性は少ないように思う。


男は子供の時には誰しも「ケンカの際には負けたくない!」と思うものだし、ケンカが強かったらイジメにあうことはまずないし、そのほうが色々と得であることを嫌というほど学んで育つ。

大人になればケンカが強くてもほとんど利益はないが、それでも基本的にその本能が失われることはない。

その本能を失っているのは元々弱すぎて自分が強くなることをあきらめきった男性だけであろう…。

しかし、女性はそうでないから、口ばっかりは達者になるが、相手を物理的に痛めつけることに快感を覚えることはそれほどないと僕は思っている。


なので、男性に教える場合は、「強くなりたいだろ?」というテーマを共有することができるので、多少の苦行・荒行やひたすら地味~な練習を押しつけることができる。

また、男ならば多くの人がカッコいいシャドーボクシングというものに憧れるので、「カッコいいシャドーボクシングができるようなるようがんばれ!」と言って激励することもできる。

まあ、これは女性にとっても同じように思ってくれる人も多いのだけど…。

そして何より、実際に殴りあったり蹴りあったりする攻防の楽しさと、それが上手くなっていくことによって得られる満足感・充足感はそこらへんの球技をやるよりよっぽど上だと思うので、それを実感させることで楽しさを教えこむことができる。


しかし、女性の場合はスクール・習い事形式で連帯感を持たせて教えるのが向いている気がするし、男性の場合は、各自に考えさせながら自由に練習をやらせてみて壁にぶち当たった時に救いの手を差しのべるというやりかたのほうが向いている気がするので、そういう意味では多くの人数に教える場合は女性相手のほうがやりやすい。


ところで、対人で打撃系格闘技を実戦的にやろうとすれば、痛さや生キズはつきものだし、お互いの顔を殴り合わないことには始まらない…。

そんなことは百も承知で打撃系格闘技を始めようとするほとんどすべての男性は、ジムに入ってもほとんど全員が「ゆくゆくは試合をやってみたい」と希望する。

しかし、顔にケガでもしたら大変なことになるうえ、そもそも闘争本能がそれほどない女性の場合はあたりまえではあるが、そうではないことがほとんどである。

教えるほうにとってはそのことが最もジレンマとなるところで、格闘技の一番おもしろいところをやらせるわけにはいかないという苦しさがそこにつきまとってしまう…。


強くなりたいというわけではない人がキックボクシングを学ぶ場合、「やせる」であるとか「スタイルが良くなる」であるとか「ストレス解消したい」といった理由が各々に存在するのだと思うのだが、やはり「強くなりたい」という一次的な目的と比べるとそれらの目的は副次的なものだし、インパクトに欠けるように思う。


だから、そういった目的でキックボクシングをやっている人には、「『練習そのものが楽しい』であるとか、『日に日に上達していくことに楽しさを見出せる』であるとか、『連帯感を味わえる』などといったベネフィットを与えてあげなければ長続きしないかもしれない…」という危機感を持って指導に取り組んでいる。


確かに、キックボクシングを続けると、水泳や寝技系格闘技によって培われるマッチョな筋肉ではない、細くても引き締まった筋肉を培うことができる。

また、ミットを蹴るという行為はダンスなどをするよりもハードに自分を追い込むことが可能であるし、水泳よりはキックボクシングのほうが楽しいとも思う。

しかし、単にカロリーを消費したいのなら水泳にかなうものはないし、スタイルを良くしたいなら筋トレを効果的に行うほうが目に見えて効果が出そうだし、カッコいい動きを身につけたいならダンスという代表的なジャンルがあることは否定できない。

先に述べたような副次的な目的を達成するためにはこのように色々な選択肢があるわけである。


しかし、それらの目的を達成するために、あえてキックボクシングという僕が愛してやまない競技を選んでくれて、それを通じて各々の目的を達成しようとしてくれているわけだから、やせていることを実感できる程度にはカロリー消費もさせてあげたいし、基礎代謝も高めてあげたいし、柔軟でしなやかな身体になるように柔軟体操などをふんだんに組み込みたいし、カッコいいパンチやキックが出せるように上手くしてあげたいと強く思ってしまう。

だから、基本的に何事にもやる気のない僕のようなタイプの人間であっても、教えるときには自然とテンションも上がってガゼンやる気が出てくるのである。


最初に書いた「最近思っていること」というのは、まさにこのことで、各々がどういったベネフィットを得るためにやっているかを僕自身が理解できていないのにも関わらず教えているのに、「もっと上手くなろう…」として一生懸命に練習についてきてくれている様子を見るとすごくうれしく感じてしまうのである。

「『強くなりたい…』という以外の目的でやっているのであっても、この競技をこんなに一生懸命にやってくれている…」ということがなんとも言えずすごくうれしいのである。

また、数多くの生徒さんに教えることができるのもうれしいし、皆が上手になっていく様子を見るのもなんとも言えずうれしく感じる。

インストラクターをやることで最近はこういった喜びを感じている。

 

バンコクにて