2018年11月7日に「試合が成立するはずがない」と述べたのだが、試合がきちんと成立したことに驚いた。
実際にメイウェザーが手にしたファイトマネーは10億円程度とどこかに書いていたが、仮にこれが正しい額ならRIZIN側がギリギリ支払える額だろうし、広告効果や相乗効果を考えるとRIZINにとっても悪くない商売だったといえるのかもしれない。
ラウンド数などが違うとはいえ、メイウェザーがUFCのコナ―・マクレガーとボクシングの試合をした時と比べて10分の1以下の額で受けたということになるが、単純に10倍以上リスクが小さな試合と思って受けたということだろうと思う。
また、判定無し・戦績不算入のエキシビションマッチとすることで両者の戦績に傷がつくのを防いだのも賢い契約だったといえるが、これはメイウェザー陣営の思いやりだったのだろうと思う。
そもそも、ボクシングの階級が17階級もあることに対して、誰もが多すぎると思うところだろうが、それだけ細かく設定しないと試合にならないからそのように細かく分けているわけで、フェザー級の選手がウェルター級のトップの選手に挑んでも絶対に勝てないことは競技を知っている者には誰にでもわかることである。
知っている者には誰にでもわかることを、あたかも奇跡があるかもしれないというように煽るのが商売というものであり、大人の事情というべきものなのだろうが、競技を知っている者は事故が起こらないことだけを切に願っていたであろうと思う。
もちろん、俺もその一人である。
実際に事故が起こったらどうするつもりだったのかはわからないが、事故が起こらなかったので万々歳である。
天心選手は足を使って逃げずに真っ向勝負を挑んで、技というよりも重さにぶっ飛ばされた感じだったが、光るところは見せられたと思うし、メイウェザーの圧倒的な凄みを見られたという意味でもエンターテインメントとしては確かにかなり楽しめた。
猪木とアリが試合をした時にはあり得ないような変則ルールになったが、相手のリスクに見合ったファイトマネーを用意できないRIZINおよび天心選手側はルールと体重差をそのまま受け入れて試合をすることを受け入れたわけで、負けることはわかっていてもそれ以上のリターンが得られると思ってそれを受け入れたのだから、周囲がごちゃごちゃ言う話でもなかろうとも思う。
また、ボクシングが最も洗練された格闘技であり、ビッグマネーが動くメジャースポーツであることを自任しているボクシング関係者は順当過ぎるこの結果に対して、「そうだろう。そりゃそうだろうよ」と思ったに違いないと思う。
とはいえ、17階級が必要なことまでは認めても、WBA・WBC・IBF・WBOという4団体が存在していたり、暫定王者やスーパー王者があるところに関しては誰もが素直に認めたくないだろうと思うし、もちろん俺もそうなのだが、それもまた大人の事情で統一されないままなのである。