GOODDAYS

世の中をかいくぐって逆張りの人生を歩む俺の意見

K-1 WORLD GRAND PRIX 2004 開幕戦 in 東京 [2004/9/25]

 

各試合ごとの感想

スーパーファイト ●曙 VS ○レミー・ボンヤスキー (3RKO・ハイキック)

この試合のマッチメイクは、自分がK-1で通用しないことをただ一人、本人だけがわかっていない曙の蛮勇を徹底的に生かしたマッチメイクであった。

普通に考えて、十に一つも勝ちが見えないマッチメイクを堂々とするところあたりが心にくい。

K-1を相撲を超える格闘技として仕立て上げようとする魂胆なのかどうかはわからないが、このことが相撲関係者にとってはかなり不愉快な出来事であろうことは想像に難くない。

 

曙は唯一の攻撃方法であり、おそらくはこれ以外には何のとりえはないのではないかと思わせるパンチですら、ボブ・サップ選手のように迫力のあるものを繰り出せるわけでもなく、スピードも遅く、ガードも下手なため、サンドバックに向かって攻撃をするかのようにボンヤスキーの選手攻撃を食らって、しまいには鮮烈なハイキックで失神KO負けを喫し、何もいいところなしに終わる。

思わず、曙や旭道山の張り手を見て「体重の重いお相撲さんの張り手にはさしずめボクサーもかなうまい」と思い、「相撲最強説」の幻想をほのかに抱いていた少年時代の自分をモノクロームで思い出してしまった…。

ただ、ボンヤスキー選手の強烈なミドルキックや膝蹴りをもろともしなかったことで、「北斗の拳」の「ハート様」よろしく、ボディー攻撃が効かないというもう一つの長所については実証できたと言えるのだが、残念ながら顔面攻撃やローキックをすればKOできてしまうことも再び実証してしまった。

特に、今回は、ボブ・サップ選手やジェロム・レ・バンナ選手のような規格外の破壊力を持たなくてもKOできてしまうことまで実証されたのが痛い。

また、顔への攻撃による失神KOは2度目なわけで、図らずも決して打たれ強くはないことまでも露呈してしまった。

 

曙は、吉田秀彦選手のように「過去の栄光にすがりつかない挑戦者」として登場したが、今となっては、男を挙げまくった吉田選手とは違って、単なる相撲の面汚し兼視聴率稼ぎ以外の何者でもなくなってしまった。

また、柔道は強く、相撲は弱いということが実証されたのも痛い…。

ただ、ボブサップ戦ではヒキガエルのような倒れ方をしたかと思えば、今回は見事なまでに完全な大の字に倒れ、これについては、思わず、「本当に華のある倒れ方をする男だ…」と苦笑してしまった。

なお、谷川氏は曙を総合格闘技で試そうとしているようだが、動きが遅い曙が倒れたところを縦横無尽にポジションチェンジされた上で、簡単に回り込まれて腕ひしぎ十字固めを決められそうであろうことは火を見るよりあきらかだし、また、胴回りが太すぎて自分の身体すらまともにコントロールできない曙を総合格闘技に参入させるべきではないように思う。

「曙さんよ…、あなたの主義主張には反するかもしれないが、あなたが活躍できる場はもうプロレスしか残っていない!」と言いたいのだが、こんなに視聴率を稼いでくれる男をK-1側が簡単に見限るはずもない…。

 

開幕戦 ○ガオグライ・ゲーンノラシン VS ●アレクセイ・イグナショフ (延長判定2-1)

いやー恐ろしいことが起きたものだ…。

前回は、「中迫バブルもついに崩壊」なんて言っていたけど、今回もガオグライ選手がやってしまった…。

試合の出来にムラがあるとはいえ、まともに試合をすれば最強なのではないかと思われるアレクセイ・イグナショフ選手をミドル級戦士であるガオグライ選手が攻略してしまうという歴史的快挙を成し遂げた。

もちろん、KOなんてできるわけないのだが、オンエア部分を見る限り、ヒットアンドアウェーで攻撃を繰り出し、横に回ってかく乱し、キックをムエタイの真骨頂ともいえる芸術的なスウェーバックでキックをかわす戦い方を繰り広げていたのだが、これしかないとは言いながら、この上なく技術差がないとできないこの戦い方で見事に判定勝ちを収めた。

私も軽量級のものすごく出入りの上手い選手とマススパーリングをすると、なかなか攻撃が当たらずに「このマススパーリングを判定したらもしかしたら負けかも…」と思いながらも、「いざ、試合したらパンチ力の差があるから負けるわけがない」と思っていたものなのだが、ガオグライ選手は実際の試合で屈強を誇るイグナショフ選手に対してそれを成し遂げてしまった。

ところで、私がこの試合を通じて、声を大にして言いたいのは、「この試合を唯一オンエアしなかったフジテレビのセンスのなさには呆れんばかりだ」ということである。
確かに、ガオグライ選手はK-1MAXブアカーオ・ポー・プラムック選手やガオラン・ガウイチット選手と比べてもルックス的に地味である。

まあ、タイ人ではサゲッダーオ・ギャットプートン選手が断トツで地味だが…。

しかし、「視聴者は高度な技術の応酬など求めていない」と言わんばかりのこの行動は、十年以上に渡ってK-1を放送し続け、視聴者の目を肥やしてきたハズのフジテレビにとっては自己否定につながりかねない行動だと言わざるを得ない。

実際、目の肥えた視聴者はこの試合こそ最も見たかったハズなのだから…。

打撃格闘技放送暦の短いTBSが、K-1MAXでブアカーオVSジョン・ウェイン・パー戦を省略したが、それと同じ暴挙である。

 

そして、ガオグライ選手はいつのまにか伊原道場に「移籍」していたようだが、このあたりはさすがは伊原会長らしいツボの押さえどころである…。

しかしながら、おそらくはガオグライの入場シーンからベッタリと横について、「今日も思いっきり映っちゃうぞ」と張り切っていたであろう伊原会長の姿がテレビでオンエアされなかったことは、本人の張り切り具合が容易に想像できるだけに無念であったろうという思いを禁じえない…。

 

ガオグライ選手は絶対にK-1MAXに出して欲しい。

いや、K-1MAXの発展を考えるならば絶対に出すべきである。

ここで普通にミドル級選手がガオグライ選手に勝つようであれば、ミドル級のレベルの高さを存分に世間にアピールできるので、TBSにとってはこの上なくおいしいことであるに違いない。

 

しかし、試合の出来にムラっ気のあるイグナショフ選手はこの試合には「たまたま負けた」だけで、男を下げたとは私には思えないのだが、それは、イグナショフ選手がKO負けやかみ合った試合における判定負けをしたことがなく、いついかなる場合でも最も余力を感じさせる選手であることは間違いがなく、底の知れない潜在能力をいまだに感じるためであろう。

 

開幕戦 ●天田ヒロミ VS ○レイ・セフォー (判定0-3)

この試合を見て思ったのは、「これで、セフォー選手の勝ちと思うかな~?ドローでもいいだろ?」ということであった。

体格で劣る日本人が、ハードパンチャーで異常なまでに頭部が打たれ強いセフォー選手のような選手に勝つには、パンチの打ち合いには一切つき合わずにローキックやミドルキックで距離をとって有効打を稼いで判定勝ちを狙う方法以外にないと思われる中で、真っ向からパンチで勝負を挑み、技術および有効打の数で上回った天田選手は本当に立派だった思う。

むしろ、セフォー選手のほうが、時折キックを見せたり、最近はマンネリ化して飽きてきた無意味なパフォーマンスを苦し紛れに出して、逃げに走っていたのに対し、天田選手は終始、積極的に戦っており、その姿勢面でも評価できたと思う。

確かに、一発の破壊力に勝るセフォー選手のほうが微妙にダメージを与えていたかもしれないが、これで天田選手の判定負けにしてしまうのはあんまりだと思った。

中には2ポイント差がつけられている場合もあり、なおさらそう思った。

また、天田選手はいつになく充実した身体で試合に臨んでおり、そこからもモチベーションの高さがうかがえただけに残念だと思った。

審判陣は、どこか日本人選手をナメきっているところがあるセフォー選手に「パフォーマンスを決めても得点にはなりませんよ」という鉄槌を下すべきであったのに、何故か、セフォー選手に「遠慮」して、セフォー選手の勝ちにしてしまい、結果としてパフォーマンスを肯定してしまう結果になったことも残念である。

はっきり言って、セフォー選手が「効いてないよ」というパフォーマンスをしたら、「いくら有効打が多くても効いていないことにされてしまうんかいな…」と審判に対して疑問を抱かざるを得ないのである。

さらに言わせてもらえば、過去に行われたピーター・アーツ選手とセフォー選手の試合もセフォー選手の勝ちになったが、絶対にアーツ選手の勝ちだったと私は思う。

また、確かに、以前は毎回かみ合う試合をしていたセフォー選手が、「近年、たびたび、精彩を欠く試合をしたり、無意味なパフォーマンスを苦し紛れに出すようになってきたな…」と思って久しかったのだが、そこで、長嶋一茂氏が、「セフォー選手は毎回、誰とでもかみ合う試合をしますね」と言ってくれたのには、「さすが一茂…」と思わず苦笑してしまった。

しかしながら、フジテレビにはこの人の解説で試合を見るほうの身になって欲しいものである。

藤原紀香氏や長谷川京子氏の言うことのほうが余程まともなのが本当に痛い。

まあ、TBSもキックボクシングの解説に”畑”違いの畑山隆則氏を使い続けるアホさ加減なのだが、これなどはキックボクサーは社会的に認知されていないと考えるからなのだろう…と思うと誠に残念である。

せめて、K-1MAXには武蔵選手あたりを解説に使ってやって欲しいものである。

 

開幕戦 ●ジェロム・レ・バンナ VS ○フランソワ・ボタ (3R終了後TKO・タオル投入)
開幕戦 ●マイティー・モー VS ○ゲーリー・グッドリッジ (1RKO)
開幕戦 ○武蔵 ○アーネスト・ホースト ○ピーター・アーツ

ジェロム・レ・バンナ選手はK-1で最も人気のある選手で、私自身としてもかなり思い入れのある選手であるが、今回もメインイベントに抜擢された。

よせば良いのにボタ相手にキックをあまり出さずにパンチを打ち合い、まさかの右カウンターを食らってダウンを喫してしまった。

 

試合を終始に渡ってコントロールできていたこともあって、かろうじて判定ドローになったが、その後、左腕を痛めた様子はないのに、戦意を喪失したのか、謎のタオル投入棄権という残念な結果に終わってしまった。

4戦4敗のボタ選手にK-1参戦初勝利を献上しただけでも十分に痛かったが、試合前のインタビューでは「つぶし合いだ」と威勢良く言っていた割には簡単に棄権したのが本当に残念であった。

バンナ選手には「今開幕戦のメインイベンターとしての自覚はあったのだろうか?」というと疑問をつけざるを得ない。

 

それに比べて、マイティー・モー選手は紛れもない本物である。

堀啓選手がいいところまで攻めながらKO負けを喫したときは、堀選手のふがいなさを嘆いたが、実はとてつもなく強かっただけなのだ…。

しかしながら、サモアンの打たれ強さと腕力には脱帽である。

バンナ選手のように打たれ弱い選手だとこういう選手には勝てないのだろうな…とつくづく思ってしまう。

 

武蔵選手、アーネスト・ホースト選手、ピーター・アーツ選手は順当に勝ち上がったが、中でも武蔵選手は昨年の準優勝以来、完全に自信をつけたようで、安定度が増し、本当に頼もしく思えた。

人間、自信をつけると「こんな試合で負けてられるか」という意地が出るので、良い方向に作用することが多いのだろう…。

 

バンコク市内にて