GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

八百長事件で俺が思ったこと

八百長が警察からのタレコミで発覚したというが、「刑事事件でもないのにどうしてそんなタレコミが許されるのかわからん」というのが、俺が最初に抱いた所感だった。

 

でも、それについて論じる者は誰もいなかった。

俺の考えることは今回もマイノリティー的意見なのだろう。

 

賭博もそうだが、八百長もやっぱり日常茶飯で、とはいえ今更認めるわけにはいかないだろうからトカゲのしっぽ切りで終わるのだろうと想像する人は多いだろう。

連日にわたって八百長事件を断罪する新聞だって、実際に販売できていないが発行部数を多く見せるために刷っているだけの押し紙の存在は認めていない。

多少の八百長によって経済的不利益を被る人はほとんどいないが、押し紙は広告を出すうえでのベースとなる数字なのだから経済的な影響が大きい。

でも、賭博も八百長押し紙も今更認めるわけにはいかんのだ。

 

俺が相撲を観ていてテレビをつける度にいつも恐怖に思うのは、あの土俵の高さであり、頭と頭が音を立ててぶつかることのある立ち合いであり、スーパーヘビー級もいいところの150キロ近い男が素手で繰り出す張り手の恐ろしさである。

キックボクシングの経験豊富な俺ですら頭突きや張り手をまともに食らったらたぶん死ぬ。

いくら鍛えているとはいえ、あの体重で頭から土俵下に落ちて大ケガしないかいつもヒヤヒヤするし、頭と頭がぶつかったり掌底を食って普通でいられるか気になってしょうがない。

相撲好きのばあさんは牧歌的にあれを観ているのかもしれないが、少なくとも柔道や相撲や取っ組み合いの経験がある男ならその恐ろしさが「鍛えているから」で片づけられる種の恐ろしさでないことぐらい容易に想像がつくだろう。

 

打者は野球を毎日できるが、先発投手は毎日投げられない。

サッカー選手もせいぜい週に2回試合に出るのが限度だ。

ボクサーは数ヵ月かけて試合の準備をする。

力士は15日連続で相撲を取るが、あれをやっていて壊れないのかいつも不安になる。

稽古で何番も取るというけれど、稽古と本割ではリミッターがかかっているか外しているかの違いが確実にあるから同列では論じられない。

 

とはいえ、リミッターを外しているとはいっても毎日完全に外していたら長くとらないうちに壊れてしまうのではないかと俺は思う。

八百長ではないにせよ、倒れじと最後まで粘ろうとするなら頭から落ちるまで相手に食らいつかなければならないだろうし、立ち合いが9割を決定するのだからダメージが蓄積して脳がバカになるリスクがあっても低い体勢で頭から当たっていかなければならないだろう。

実際、ヘルメットをつけたアメフト選手でも脳障害が社会的問題になっているという。

仮に一番で全てが決まるなら、頭から当たるだろうし、本気で張り手を出すだろうし、投げ合いになったら足や手でかばったりせず頭から落ちるまで粘るだろう。

でも、15日にわたってそれをやっていたらおそらくは身体が持たないと俺は思う。

また、7勝7敗の時と6勝8敗の時ではその本気の度合いも違うだろうし、この一番で十両から転落するという時もその本気度は違うだろう。

無気力相撲八百長がいいとは全く思わないが、力士の世界は勝敗が全てを決める番付の世界で、ガチだろうと無気力相撲だろうと八百長であろうと結果が全て自分に返ってくることを自覚している者たちがやっている取引だし、その責任は当人たちが取っているのだろうし、毎日本気でやっていたらおそらくは壊れてしまうであろう世界なのだから、多少の星の貸し借りぐらいは考えられるだろうよと思う。

 

今回問題になった金銭の取引について肯定的意見を言うつもりも全くないし、悪質だと思うが、売るほうも勝敗で結果責任を負い、買うほうも金銭の支払いという形で負担をしており、相撲に対する信頼を裏切った罪はあるとはいえ、情報漏洩やインサイダー取引のような経済的損失を他にもたらす罪ほどには悪質と言いきれないのかもしれないとも思う。

 

話題は変わるが、ガチガチにガチの総合格闘技の世界ではヒョードル皇帝が負けた。

年齢も身長も俺と一緒かつ、あのぷよぷよした体型で筋骨隆々の男たちを次から次へと葬ってきた皇帝には最後まで無敗伝説を作って欲しかったが、よもやの連敗で伝説が崩壊した。

伝説の継続を期待していた者としては残念でうなだれてしまう。

それがガチの世界の厳しさというものなのだろう。

 

それに比べてヒクソン・グレイシー氏の引き際は見事だった。

氏はいつの間にか引退していたのだが、「400戦無敗」のまま引退できたのだ。

とはいえ、俺がまともに観たのは高田氏・高田氏・船木氏と戦った3戦しかないのだが、最初に高田氏とやる前に400戦無敗と言っていて、船木氏とやった後も400戦無敗と言っていたけど、403戦無敗じゃないの?という疑問は残ったままだった。

戦いそのものはガチでも戦績がガチなのかは誰にもわからないままである。