音楽の趣味が合うということはそれだけで男女問わずその人に惚れこんでしまうかもしれないほどの効果を持つ。
私の場合、サイモン&ガーファンクルが好きな人とはケンカする気がしないし、ビージーズやダイアナ・ロスが好きなヤツはムーディー好きなヤツだと思うし、ビートルズが好きなヤツはみんな同士だ。
ちなみに、今、私はビリー・ジョエルの「素顔のままで」を聞きながらこの文章を書いている…。
仮に、「サンタナとか高中正義が好き!」っていう10代の女の子がいたとすれば、その子を尊敬するだけでなく、その子が育ってきた環境にすら畏敬の念を払うだろう。
音楽の趣味が合うということはその人の人となりや深みさえ反映させるような気がする。
あくまで独断だが…。
それに対して、これまでの歴史などをふまえずに現在進行でサプライサイドから供給される曲に反応するのヤツには共感できない。
もっとも、音楽自体に全く反応しないよりは反応するヤツのほうがマシだが、現在生み出されている曲にも良い曲があるのは事実であるとはいえ、良い曲に出会える確率について単純に考えると現在流されている曲を聴くよりも過去をさかのぼって今でも廃れずに残っている過去の曲を聴くほうが断然手っ取り早いと思う。
だいたい、いいメロディーなんて既に使われちゃってるんだから。
洋楽はともかく、邦楽だって昔のほうがいい曲が多いように思うのは私がオヤジ趣味だからというわけではないだろう。
美空ひばりでもテレサ・テンでも小田和正でも誰でもいいけど、昔の曲は思い出があるとかないとか考慮しなくても聴いているだけで泣けてくる曲が本当に多い。
それに、過去の音楽を洗いざらい聴いてみようとする人の好奇心とか向上心にはものすごく共感を覚える。
そんなものは独学で聴いてもいいし、音楽を知っている人に聞いてみてもいいのだ。
私の場合、iTunesに現在で6,387曲ほど入れているが、良い曲に出会うためにそれだけ回り道をしたということでもある。
弟は弟で音楽の趣味はそんなにかみ合わないけどヤツもジャズと邦楽を中心に7,000曲ぐらい持っているというが、これだけのバックボーンがあればさすがに認めざるを得ない。
ウチの親父は昔の映画音楽やスタンダードが好きだったし、母はポールモーリアのようなポップクラシカルな音楽が好きだったので、私も子供の頃はそちらから聴いていたが、やがて自分で手当たり次第に色々と聴くようになった。
音楽だけじゃなくて映画なんかもそれと同じで、映画館に最新作を観に行き、レンタルビデオで最新作をバンバン借りるのに、「サウンド・オブ・ミュージック」や「ラスト・エンペラー」を見たことがないというヤツももったいないなあと思ってしまう。
でも、今、観に行きたい映画は多い…。
そして、過去の名作を踏まえて今現在に貪欲に観ている人はすごいと思う。
私は日頃、クラシック音楽ばかりを部屋に流す程度にクラシック音楽が好きだが、とっつきにくいクラシック音楽でも何らかのきっかけがあれば聴き始められるものだ。
「のだめカンタービレ」からクラシックでも、「ストロベリー・オンザ・ショートケーキ」からABBAでもなんでもいいから、若い人にはそういうきっかけを大事にして欲しいな…と思う。
まあ、俺も若い人に語るほどの資格はない若造だが。