私が意見を最も支持している人物の1人は大前研一氏である。
前回、「抜本的な改革をできる人に権力集中型・大統領型の首相をやってもらいたい」と書いたが、もし、仮に、「誰かにそれをやってもらいのなら誰がいい?」と聞かれたとすれば、私は「大前研一氏にやってみてもらいたい」と答えるであろう。
大前氏が言っていることはラディカル過ぎるし、すべてが正しいとは到底思えないし、社会ではどちらかといえばキワモノ扱いをされているような気もするので、崇拝しているとかそういう種類のものでは全くないのだが、そうとはいえ、私は高校生の時から氏のファンで、著書はほとんど読んでいるから、私の大前氏注目暦は相当長い…。
氏であれば絶対に妥協することなく大改革をやってくれるように思う。
なお、氏はかなり前に、「ロウアーミドルの衝撃」という本を出版されたが、そこに載っている本質をついた意見のごく一部を要約して以下に載せる。
正しい対策というのは、物事の本質をついてからこそ施すことができるというものである。
- サラリーマンは給料が減り、勤務時間が増え、リストラにおびえながら生活している。
また、日本の労働者の3人に1人は非正規社員になるほどにパートや契約社員を増やした。
そこまでやって、企業は業績を回復させたと言っている。 - モノをあまり必要としない高齢者の増加、在庫を必要としない生産方式への転換、将来への不安からモノよりカネを握っておこうとする消費者心理が消費をしぶらせているだけである。
それに、世界に比べて物価が高いのに「デフレ」などとと呼ぶのはふざけている。 - 学校教育は優秀な教師が衛星放送をすれば済む話で、教師はそれでは埋められない個別の子供の質問への返答や情操教育や進路指導に当たるべきである。
- 日本人は食べ物の国産志向などをはじめとして数多くの偏見を持っているため多くのことで損をしている。
首都圏の東低西高な路線価格表は偏見のマップのようなもので、交通的に木場より断然不便な田園調布のほうが地価が数倍する。
海外のダウンタウンなどと違って木場は治安面などでの問題がないのにも関わらずである。 - 自給率にこだわるが、どちらにせよ石油がなかったら農業はできないし、作物は出回らない。
シンガポールには農民が一人もいないから、逆に世界でもっとも良質で安いものが自由に手に入る。
農民への保護こそ邪魔である。 - 農地は海外の広大な土地を安く買い上げても良い。
オーストラリアで米を作れば日本の476倍の効率で作ることができる。 - 日本の許認可制度は世界でも非常に遅れていて、例えば、建築基準法のせいで世界標準の何倍もの住宅コストがかかる。
それでいながら、建築基準法を守っている建築が地震で壊れても役所は知らん顔をする。
実際に大前氏が首相になる可能性が0%なら、氏が自民党員もしくは民主党員になる可能性も0%だから、こんな希望を述べてもナンセンスなのであるが、氏の本を読んだことがない方は一度ぐらいは読んでみてはいかがかな?とは思う。