GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

「格差社会」について③ ストロー東京

 

地方出身者が東京の大学を出て東京に就職することによる損失

大都会よりは地方都市の生活のほうがゆとりがありそうな気がするというようなことを前回述べたが、「とはいえ、大都会からUターンしての就職なんて簡単にはできないだろう…」と勝手に想像してしまう。 

仮にUターン就職をできたとしても多くの場合では、「給料は高いが生活費も高い大都会での生活」と、「生活費は安いが給料も安い」地方都市での生活を天秤にかけるような感じにならざるを得ないのであろう。

もちろん、「マイナス面も多いが、刺激が多く洗練されていて開放的な大都会の暮らし」と「刺激はないけどゆったりとしている地方都市の暮らし」という構図も存在する。


地元で就職活動をしたこともないくせに、Uターン就職に関して勝手にそのような想像をしてしまっているわけだが、そもそも、東京の大学に進学した人が新卒時の就職活動を地元で行った場合、地元の国立大出身者あたりと比べて著しく不利になるような気がするので、東京の大学を出た人はどうしても東京で就職する可能性が高いということになる。


もちろん、就職前の学生からすれば東京での仕事のほうがおもしろそうに見えるであろうことや、優良大企業が東京に多いこともそれを促す大きな要素といえるだろう。


ところで、前々回、さんざんに悪態をついたが、首都圏の大学を出ておのおのの地元に帰った私の友人の実に8割は公務員になっている。


サンプルは少ないが、このことだけでも「地方都市では就職しづらい」「地方都市の民間企業には就職する気が起きない」ということの証左となるのではないだろうか…。


「地方都市は暮らしやすいとしても希望にかなう仕事があまりない」というのが現実的なところなのであろう。


また、首都圏に大学が集中するという事実は首都圏に若い人口が集中する主な要因になっているのだといえる。


地方で消費して育った子供が東京で生産活動に回るのだから、地方が衰退するのは目に見えているともいえるわけである。

そして、この事実が地方への利益分配における大きなエクスキューズとされてきてもいる。


東京に本社が存在することで増幅する格差

日本の大企業の半分が東京に本社を構えているから東京に集中するわけで、このことは大きな問題である。

国中に大企業の本社が散らばっているアメリカとは大違いである。


そのせいもあって、愛知県のように経済的に元気のある地域は例外でしかなく、多くの地域は首都圏と比べて構造的な格差が出る。


大会社の本社が集う東京都が、法人事業税・法人都民税の二税のおかげで、地方交付税交付金無し、かつ、低地方債率でも財政的にやっていけるのも無理はないのである。


地方が衰退するのは必然で仕方のないこと

とはいえ、この危機的な財政と高齢社会の中、公共事業によって地方にお金をばらまくのも間違っている。

むしろ、民主主義国家ならば、田舎に偏在した一票の格差を正常な状態に是正して、もう少し大都会の住民の意向を政策に反映させるようにしたほうが良いぐらいであろう。


これから人口が減っていくのだから、衰退する田舎は逆にどんどん集約・衰退させたほうが将来に禍根を残さないというものである。


公共事業でしか生きていけないような地方は、そうでなくなるように努力されるべきか、産業の誘致でもされるべきなのであろうが、資本主義社会では本社をどこに置くのも、どこに工場を設立するのも自由なわけだから、誘致して産業が来なかったとしてもそれはそれで仕方なく、以前のようにこれに官僚や政治家が介入しすぎるべきではない。


そして、その地元に産業がなかったとしてもそれを不必要な公共事業などで助けるのは断じて間違っていると思う。


回復の見込みのない延命処置を続けてきたことこそが罪だったわけであり、簡単に言ってしまえば、「その地方は衰退しても仕方ない」としか言いようがないように思うのだ。


極端な話をすれば、100人しか住まないような島に何億円もかけて橋を作ることや、雪深い村落をいつまでも食わせることが民主主義的なことではないということである。


政治がそのようににべもないことを言っては話にならないから、少しずつそのような方向に進めていっているのであろう。


とはいえ、それにしても地方出身の議員が発する「地域格差」に関する意見というのは、単に自らの選挙区を意識して発せられているだけで大義を持って発せられている意見ではないように思うのだが、逆を言えば、選挙だけは地方に住む住民や利益団体にとっての大きな武器であり続けるわけである…。


また、補足しておくと、地方の没落について小泉政権ばかりが叩かれる世の中だが、例えば、地方都市にシャッター通りを作った最大の要因は1998年に大店立地法が制定されて深夜まで営業する大規模店舗が続々と出現した結果によるものである。


そして、「中心市街地が衰退して残念」と多くの人に思われながらも、この法律のもたらした結果が多くのカスタマーに絶大な支持を受けていることはその結果が如実に示しているのだが、人間とはこのように言行不一致な生き物なのである。

 

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