明日は自民党総裁選である。
安倍晋三氏の「美しい国へ」と小沢一郎氏の「小沢主義(オザワイズム)」を両方とも発売直後に読んでいたのだが、その感想をそろそろ書いとかないと…。
「美しい国へ」のほうは私にとってはしっくりとくる内容で、歴史認識といい、日米同盟に対するに認識といい、朝日新聞批判といい、教育論といい、良いことが書いてあるという感想を持った。
地域社会から国家をバイパスし、一足飛びに地球市民にいってしまう考えの人が、なぜか多い。(95ページ)
偏狭な、あるいは排他的なナショナリズムという言葉は、他国の国旗を焼くような行為にこそあてはまるのではないか。(99ページ)
日米同盟における双務性を高めてからこそ、基地問題を含めて、わたしたちの発言力は格段に増すのである。(133ページ)
憲法という制約を逆手にとって、きれいな仕事しかしようとしない国が、国際社会の目に、ずるい国だと映っても不思議はない。(141・142ページ)
国家間で問題が起きると、かつての戦争に対する負い目から、じっとこらえて、ひたすら嵐が過ぎるのを待つという姿勢をとってきた。その結果、ともすると、あたかもこちらに非があるようない印象を世界にあたえてきたのである。(150ページ)
就任したら簡単には言えなくなるだろうが、このようなことを一国の首相になる人間が就任直前に述べるというのはある意味痛快である。
しいて気になる言葉があるとするならば、これぐらいかな…。
たしかに自分のいのちは大切なものである。しかし、ときにはそれをなげうっても守るべき価値が存在するのだ、ということを考えたことがあるだろうか。(108ページ)
政治家はともかく、一般民衆にそれを求めるのは酷であろうとは思ってしまった。
安倍氏は小泉純一郎首相よりも断然右寄りであるとともに、全体的に説明不足感が強かった小泉首相と比べると考え方や主張に一貫性がある。
とはいえ、小泉氏ほどの実行力・独断専行力を備えているかという面も未知数でもある。
それに対して「小沢主義」はツッコミどころが多かったなあ…。
安倍氏より後に出版したのに明らかに安倍氏の本より全然共感できなかった。
前に何度も述べたことがあるが、13年前、私は小沢氏の強烈な支持者だった。
高校生の時に「日本改造計画」を読んで感動もした。
しかし、この人は与党に与したり、極端な純化路線を取ったり、野党共闘路線を取ったり…といつもやっていることが支離滅裂だから、全然信頼できなくなった。
周りが変に持ち上げているだけのような気がするのだ。
だから、私は、前原誠司氏が代表を務めていた時までは一貫して民主党に投票してきたのに、小沢氏が代表に就任したことを機会に民主党の支持をやめたのだ。
…んなわけで、この本の感想は次回に述べます。