劇団四季の「キャッツ」を観に行った。
「クレイジー・フォー・ユー」は全く期待せずに行ったら意外にかなりおもしろく、キャッツ」はかなり期待して行ったらおそろしくつまらなかったといったところである。
浅利慶太氏は「キャッツが成功しなかったら劇団四季は解散していた」というようなことを言っておられるから、私としても、「キャッツ」が大成功してくれたそのおかげで四季が存在しているわけだから万々歳だし、劇団四季だけで6,000回ぐらいの超ロングラン公演をしていて、のべ500万人ぐらいの人が観ている作品を指して「おそろしくつまらない」と言うのは気が引けるが、私にとってはそうとしか思えないのだから仕方ない…。
もちろん、これだけのロングラン公演が続いているからには、おそらく多くの人にとってはすばらしい作品なのだろうが、私にとってはそうであった。
私は、全体的にすばらしい「ライオンキング」や、高井治氏の圧倒的な力を拝める「オペラ座の怪人」の大ファンであり、劇団四季のことが大好きな人間である。
でも、「キャッツ」を観ている途中に何度「金返せ」と言って席を立とうと思ったことか…。
確かに、早水小夜子さんの歌う「メモリー」や、その他のハーモニーは最高だったし、ダンスは上記の2作品を圧倒的にしのぐすばらしさを持っていた。
キャッツが何故につまらなかったのかと言えば、「キャッツ」のストーリーは意味不明というかストーリーが無いに等しいからである。
一応、24匹の猫の中から1匹の「ジェリクル・キャッツ」を選ぶ舞踏会をやるという内容で、要は、24匹の中のほとんどの猫がそれぞれのダンスを披露して、最後に1匹が選ばれて終了…って感じのストーリーなのだが、なんと、猫のダンスとダンスの間につながりが何もないのである…。
ちなみに、こういうストーリーだったということに気づいたのは本当に最後になってからなのであるが、「なんの脈略もないダンスを分散的に見せられて何を楽しめというのだ?」とツッコミを入れざるを得ないのだ…。
それなのに他の客は異常なまでに盛り上がっている。
拍手のタイミングとか盛り上がり方の質といったものから、他のミュージカルよりも圧倒的な固定層の高さをうかがわせたため、私だけが全く浮いているように感じた。
当然ながら、客席に来た猫が握手を求めてきたので一応握手したけど、長ったらしいエンドロールの間、拍手なんぞ一切する気にはなれなかった。
劇団四季のスタッフの音楽とダンスは超一級品だったわけだし、アンドリュー・ロイド・ウェーバー巨匠の音楽も良かったわけで、良く考えれば、ただただ、T・S・エリオットの作った作品が自分にとって最悪だったというわけだわな。
しかし、「同じ作品を観てこうも抱く感想が違うとは俺は普通じゃないのか?」とも思ったが、どう考えてもそうは思えない。
…というわけで、とにかく、総括すると以下のような理由で戸惑いの感情しかわかないまま会場を後にした。
- 何もわからずに初めて観てストーリーを理解できる人は少ないと思う。
- 理解できたとしてもかなりどうでもよいストーリーであるメイクにものすごく時間をかけているのだろうが、個人的にあのメイクが嫌いである。
- しかも、どう見ても猫に見えない。
- 他のどのミュージカルよりも固定度の高そうな客の盛り上がりが不思議すぎる。
- セットが終始同じで変化を感じない。
- 円形のキャッツシアターに期待していたけど普通の劇場のほうが好きかも。
- 私は猫派ではなく犬派である。
- 猫を主人公にする必要性を何一つ感じない。
まあ、これらは私個人の感想なのであまり気にしないでください。
あと、このうっ憤を晴らすために「美味い物でも食べよう…」と思って帰りに五反田のキャッツシアターから品川の「なんつっ亭」までトボトボと歩いて行ったのだが、また売り切れて閉店していた。
これで2度連続である。
まことについていない一日である…。