GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

東横イン不正改造で逆に思ったこと(上)

最近は企業の不祥事がすぐに表になることが多いが、それに対する社会的制裁も強くなっている。

 

もちろん、その原因には、社会の二極化や長く続くデフレのせいで弱い立場にある企業の体力がなくなってきたことや、市場主義経済へ参加するプレイヤーが増えたりボーダレス経済化する過程でメガ コンペティション=大競争時代に突入していることによる日本社会の疲弊があらわれているという面がかなりにおいてあるのであろう…。

 

とはいえ、卑怯なマネをしたら、それ以上の対価を支払うことになるうえ、社会的責任や刑事的責任を負わされることは悪いことではない。

特に、ライブドア事件耐震強度偽装事件のように取り返しのつきようのない悪質な事件については現行の刑罰では軽すぎるような気がする面もあるので、もっと厳しく裁かれて欲しいとすら思う。

 

たまに、企業による不良製品の回収っぷりや在庫の廃棄っぷりに対して、度を越しているように思わなくないこともないが、「とにかく誠意を見せなければ社会的な制裁が怖い」ということで、企業はどんなにコストをかけてでも誠意を見せようとする傾向にある。

また、個人的には不祥事が増えたというよりは、隠すとろくなことにならないという理由によって、不祥事が表沙汰になる件数が増えている面も強いのだろうと思ってはいる。

 

厳しい社会的制裁こそが、これまでの日本社会にはなかったフェアネスの概念をより社会に浸透させているといえるわけであるから、たまに不祥事に対して強すぎる社会的制裁が加えられることについて、「いじめすぎだよな…」と個人的に思うことが全くなくはないながらも、全体としては悪い傾向ではないように思っている。

 

ところで、つい先日、東横インが不正に障害者用の客室や駐車場や誘導用点字ブロックを検査後に撤去して客室や事務所などに変更するという悪質な事件が起きた…。

 

もちろん、大企業であれば大企業であるほど、法令は遵守すべきであり、それを破った際にはそれなりの責任を負わなければならないとは思う。

とはいえ、この事件については個人的に同情できる面が全く無くもない…。

 

確かに、この件は身体障害者の利益を損ねる不正改造だったから、特に責めにあいやすい不正だったし、建築基準法容積率にすら違反するようなことをやっていたというのだから許されるべき行為ではなかったと思う。

 

しかし、後になって社長が発言の取り消しおよびお詫びをしたが、これらの施設は「年に2~3回しか使われることがなかった」のだという。

裏を返せば、法令や行政は、この程度にしか使われもしない身体障害者用の客室や駐車場の設置を強要していたというわけだが、予約時に「一般用の客室を用意する」と事前に断ってソフト面の努力で対応しても別段身障者からの不満もなかったと東横イン側は弁明している。

「これで何の問題がある?」と思うのは私だけだろうか…。

 

このことで、私が何を言いたいのかというと、法令を破ったことの悪質さのみがクローズアップされる片側で、法令や規制や役所の裁量というのは細かすぎるということが全くクローズアップされないことに対して不満があるということである。

 

そして、その細かさこそが日本社会の高コスト体質を生んでいるのであり、少しでも質の割に料金の安いサービスを提供しようとする企業の努力を摘んでいるといえる面もあるということである。

東横イン東急インと名前も紛らわしいうえ、悪質な面を持ち合わせながらも、そういった企業努力を続ける最右翼だったわけで、私も利用者として何度もお世話になったことがある。

安いビジネスホテルなだけあって、調度品などは安っぽいものばかりであったが、私はそのような部分に金をかけずに安くする姿勢に好感すら持っていた。

まあ、今回の事件によって東横インなどが牽引してきた宿泊施設の低価格化にちょっとした歯止めがかかる可能性も無くはないだろう。

 

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