GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

HERO'S 2回戦&準決勝感想

放映時は機上の人だったが、Sさんがビデオを録ってくれたので結果を知らずに見ることができた。

 

この前のPRIDEは映像で見る前に結果をインターネットで見てしまったのだが、私の希望しない結果になったから、結果的にはリアルタイムで見なくて良かった。

しかし、今回のHERO'Sは私の希望する結果に終わったので、結果を知らないままビデオを見ることができて良かった!

 

しかし、K-1MAX日本予選にしてもHERO'Sにしても、PRIDEヘビー&ミドル級のように「真の世界最強」を決める戦いとはいえないけれども、それぞれの選手の背負う思いや人間模様が交錯する日本人同士の戦いというのは、ある意味、「真の世界最強」を決める戦いよりも興奮しますわな…。

 

今回のHERO'Sはそういう意味では最高の大会だったと思う。

ダントツの人気を誇る両雄が決勝に進出して大晦日対決を行うという出来過ぎの展開に興奮しないはずがない。

しかも、所選手も高谷選手も宮田選手もその名を汚すことのない戦いが十二分にできたし、これらの選手よりも幾分か結果が求められる宇野選手も「あれじゃ~しょうがないよな…」といえる結果に終わったのも良かった。

しかしながら、須藤選手とKID選手の決勝なんて、お互いに背負うものが大きすぎるだけにかなり興奮をそそられますわな…。

 

ただ、今回の大会を見て、「規格外のパワーを持つKID選手だけは別として、ナチュラルな70kgの選手には軽いままじゃ明らかに勝てんわな…」という事前から想定していたことを再確認するに至った。

減量してなんとか70kgに落とせるという選手は須藤選手と宇野選手と宮田選手だけだったわけで、KID選手と所選手とレミギウス選手は65kgぐらいだし、ホイラー選手もアブダビコンバット65kg級の選手である。

高谷選手にいたっては全日本キックの62kgリミットのライト級トーナメントに昨年出場していたぐらいだから、いかに体格面で不利だったかがわかろうかというものである。

でも、その割に善戦したよな~。

 

体重はK-1 MAXの70kgに体重を合わせたのだろうが、そういう意味での選手のセレクト具合に偏りがあったように思わなくもない。

これは本質に関わることではないのだが…。

総合の選手は身体がゴツイので、キックボクサーより体重の割に身長が低いが、K-1 MAXでは174cmの魔裟斗選手は身長が低い部類に入るのに、HERO'S では175cmの須藤選手が図抜けて身長が高い。

ちなみにボクサーはローキックに対する打たれ強さを求められないからキックボクサーよりも体重の割に身長が高い。

体重階級制スポーツにおける体重の持つ意味って大きいと思うんだけどなあ…。

 

それでは各試合の感想を手短に述べる。

 

須藤元気 VS 宮田和幸

宮田選手が上手くなっていたのにビックリした。

レスリングではやはり二枚も三枚も上手だった。

打撃も武田幸三選手と試合をしたことがあるだけあってかなり良かった。

「今回は筋持久力を上げるトレーニングをしてきた」というがレスリングの試合時間が終わる頃にやっぱりのスタミナ切れ…。

あの筋肉の鎧は白筋ばかりなんでしょうな…。

しかしながら、落ち着いて極めきる須藤選手の地力はすごいとしか言いようがない。

 

高谷裕之 VS レミギウス・モリカビュチス

高谷選手も打撃には定評がある選手だが、打撃はレミギウス選手のほうが一枚上手。

「でも、レミギウス選手の打撃がいくら強くてもザンビディス選手とは違うな…」とわけのわからないことを思いながら見る。

パウンドのないZSTルールで活躍しているレミギウス選手に高谷選手の容赦ないパウンドが炸裂し、簡単に試合がストップしてしまった…。

この試合に関してはレミギウス選手のほうが有利だと思っていただけに最後のあっけなさにはビックリした。

まあ、試合の途中でレミギウス選手の底が知れた面もあったといえばあったのだが…。

 

山本“KID”徳郁 VS ホイラー・グレイシー

KID選手の異常なまでのパンチ力とパンチを繰り出すタイミングの上手さ具合にはド肝を抜かれた。

ああいうパンチを出す選手って本当にイヤだよな~。

どんなにガードをしているつもりでももらっちゃいそうだもん。

それでもザンビディス選手は全くもらわなかったが…。

でも、そんなことよりKID選手の異常なまでのパワーはもっとイヤだわな…。

 

宇野薫 VS 所英男

すばらしい試合だったが、全体を通じて一方的にペースをつかんでいたのは宇野選手のほうだった。

しかし、所選手もすばらしいパフォーマンスを見せたのでそういう意味では良かったのではないだろうか…。

宇野選手の地力のすごさを見せつけられた試合であった。

 

須藤元気 VS 高谷裕之

両者とも打撃も寝技もできるが、この体重差では須藤選手の有利は否めまいと思っていたものの、まさかあのように怒濤の関節技で極めきるとまでは思わなかった。

レミギウス選手ならともかく高谷選手では須藤選手相手だと不利だわな…。

しかしながら、「須藤さんってすごく決定力があるな~」とほとほと感心してしまう。

 

山本“KID”徳郁 VS 宇野薫

人気・実力共に兼ね備えた者同士の夢のカード。

どちらも相譲らぬ展開ではあったが、打撃ではKID選手のほうが一枚上手だったかな…。

あのようなカットで終わってしまってもったいなかったが、「逆に両者とも大きなものを失わずに済み良かったかもと…」余計なことを思ってしまう…。

そういえば、宇野選手の左ローキックがかなり効いていた気がするが、総合ではローキックの重要性は低いわなあ…。

 

…と各々の試合の感想はこういったところだが、大会後の前田スーパーバイザーの総括には強い違和感を覚えた。

もちろん、過去にスパーリングをさせてもらったことがあって、また、ジムで会えば挨拶とちょっとした会話をする顔見知りでもある須藤選手のことを私自身が強く応援しているからというのもあるといえばあるのだが、「スーパーバイザーがここまで言うことはなかろう」と思うのである。

前田氏は総括の大部分に須藤選手批判を展開していたが、その内容の抜粋は以下の通りである。

 

元気クンの戦法なんですが、あれが行き過ぎるとどうなのかなと正直思いましたね。

相手のミスを誘って、相手がバランスを崩したところで攻撃をする。

彼がトリックと言ったらそれまでだけど、たぶん海外での試合だったらイエローカードですね…元気クンは。

「もっと積極的に行きなさい」と。

昔より戦法的に相手のバランスを崩すようにするのが多くなっているが、行き過ぎはどうかなと思う。

相手の選手がかわいそうだなと感じましたね。

宮田(和幸)クンもちょっと惜しかったと思う。

彼(須藤)の戦術に乗っかっちゃったなと。

審判団にもっとしっかりしてほしいなと思う。

というのは、全員があれをやっちゃったらどうなるんだろうかって、すごく考えるんですよ。

本当につまらないものになっちゃうと思う。

ただまあ、試合のリズム・リズムを切る分で、間隔では許せるけど、1から10までアレになると「ちょっとキミ、それはズルイんじゃない」と言いたいですね。

自分は選手経験者なんで、選手の立場になって考えると、ああいう戦い方をされると「ちょっと、どうなのかな」って思いますね。

決勝はもう正々堂々と、変なトリックとか小細工なしにやってほしい。

それがHERO'S 初代チャンピオンの義務であり、今後、後に続いていく者のためにも、スポーツマンシップに則った試合をしてほしい。

今日みたいに元気クンが前に出ずに下がって、たまにチョコチョコ攻撃するような「魚釣り戦法」だと、すごい試合がつまらなくなる。

あの戦法がダメとは言わないが、あまりにも相手のバランスを崩すことを狙いすぎると、「それは違うんじゃない」と。

攻守うまいこと混じりあったなかでやらないと。

一方的に相手のミステイクを待っているとのは、それは試合とは言わない。(「“試合”とは“試し合い”」という説明をした後の発言)

決められたルールの中で勝てば良いわけで、つまらない勝ち方をすればそれはそれで人気がなくなる。

 

私はキックボクシングにならば多少は意見を言えるものの、総合に関しては素人なので前田氏の「選手の立場になって考えると…」という部分がひっかからなくもないが、「限られたルールの中で反則以外の方法で勝利をもぎ取るためにさまざなな作戦を駆使するのは悪いことなのか?」と思ってしまう…。

 

逆に、須藤選手の戦い方はそのままずるずると行ってしまえば確実に判定負けを喫する戦い方であり、逆にあの戦い方だと試合中に見せ所を作らない限り勝利を呼び込めないハイリスクな戦い方であるともいえはしないかとすら私などは思うのである。

最近のK-1でろくに有効打を与えもせずにアグレッシブポイントで勝ちをおさめるパターンが多いことに辟易としていた人間としてはなおさらそう思ってしまう…。

 

しかも、地味な戦い方をすれば使ってくれないのがテレビ局の酷いところなのに、須藤選手は逆に絶大な人気があって、映画やCMなどでも活躍しているのだから、他の選手より逆に見事なものだと思う。

だからこそ、他の選手は須藤選手の首を刈りたいだろうし、須藤選手は負けると失うものが大きすぎるから負けることを極度に恐れる気持ちも人一倍強いだろうと想像できてしまうので、試合前の緊張感は他の選手の比ではないだろうとも思うのだ。

しかも、今回はどう見ても足の怪我のせいでかなりパフォーマンスが落ちていたが、本当に大変だったんだろうなとも思う。

実はちょっと前までびっこひいて歩いてたもんな~。

 

また、須藤選手の自己プロデュースの上手さには「これこそがプロ!」というべきものがあり、まあ、私は須藤選手のパンツにあしらわれているチェ・ゲバラに限っていえば共感を抱かないが、そのプロデュース力にはいつも脱帽してしまう。

 

さらに、余計なことを言わせてもらえば、プロレスを見るのが嫌いな私にとっては「リングス」だとか「前田日明」というブランド自体にあまりピンと来ないんだよな~。

とはいえ、リングスはガチなわけだし、ヒョードルノゲイラを見出した前田氏の眼力には頭が下がるのではあるが…。