GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

K-1 WORLD GP in PARIS大会感想

開催&TV放映からかなり経ったが、最近にはないほどすばらしい大会だったので一応簡単に感想を…。

 

まずはセーム・シュルト選手があっけなく優勝したトーナメントからだが、今回は4名の選手のがんばりが目立った。

 

まず、一番ビックリしたのが、ナオフォール“アイアン・レッグ”選手である。

ファーストコンタクトのローキックからタダモノではないことはすぐにわかったのだが、まるで軽量級のムエタイ選手のような身のこなしで、ちょっと重量級の選手にはなかなか見かけないような技術力を発揮していたのにビックリした。

その動きはまるで、K-1ヘビー級ではなくて後楽園ホールでのキック興行にて試合をするバンタム級あたりの日本人トップランカーやムエタイファイターのようであった。

パンツの捲り方までタイ人っぽいのにもウケた。

しかもこの選手、ムエタイ選手と違ってパンチが多彩かつかなり上手い。

これは楽しみな選手が出てきたものだと久しぶりにビックリした。

アジス・カトゥー選手って相当強い選手なのに彼を圧倒したうえで1RKOで勝つなんて普通じゃないぞい!

 

でも、平均的にすべて良い選手、特にディフェンスが上手い選手というのは、マーティン・ホルム選手あたりがそうであるようにいつのまにか使ってもらえなくなるのがK-1 GPの辛いところなのだが、この選手は使って欲しいものである。

アーネスト・ホースト選手やガオグライ・ゲーンノラシン選手とはまた違った意味で技術力を楽しめる稀有な選手である。

 

日本人ヘビー級ファイターとして前から私が高く評価をしている内田ノボル選手がアレクセイ・イグナショフ選手を退けるという快挙を成し遂げたのにはビックリした。

イグナショフ選手は足を怪我していてほとんどキックを出せなかったようだが、体重を絞りこんだ彼をほぼ封じきってみせたこの勝利の意味はこの前のマイケル・マクドナルド選手からの勝利と同様にかなり大きいといえるだろう。

 

フレディ・ケマヨ選手もものすごく技術力のある選手でビックリしたが、彼もナオフォール選手と一緒で今後が楽しみな選手である。

しかし、ノブ・ハヤシ選手はあまりに何もできなかったなあ…。

 

シュルト選手と1回戦を戦ったピーター・ボンドラチェック選手も強かった。

シュルト選手の攻略法の断片は十分に見せられたのではないか…と思った。

 

それより、石井館長から嫌われまくっていたためにK-1から干されていたシュルト選手が今回から完全にK-1へ再び復帰したようだ。

彼は絶対に総合より立ち技のほうが向いていると思うのだが、グラウベ・フェイトーザと一緒で完全に優勝候補であると言えるだろう

まあ、彼が優勝したらこの上なくつまらないと個人的には思うのだけれど…。

煽り画像では「最凶大巨人」だとかそういったふれ込みで紹介されていたが、「凶」というのはハリトーノフ先生にああいう目に遭わされたから「あんたの運勢は凶」という意味なのかな?と苦笑したがどうやらそうではなさそうで、全く説得力を感じなかったなあ。

 

ワンマッチも熱かった。

角田信朗選手の相手が立ち技経験のほとんどないマーベリック選手だったとはいえ、右フック一撃で相手を沈めるとは思わなかった。

マケボノとやったときに「加圧式筋トレばっかやるより戦略練れよ!」と強く思ったものだが、今回は筋トレの甲斐が見事に出たといえよう。

しかも右フックはダブルで出ており、かなり上手いパンチだったなあと思った。

 

…とここまで名試合が相次いだのだが、ベストバウトはもちろんジェロム・レ・バンナ選手とシリル・アビディ選手の因縁の試合であろう。

練習では技術がありそうなそぶりを見せておきながら、試合になると慌てふためいてまともに試合らしい試合ができないアビディ選手が今回に限っていつもの数倍がんばったことが名試合になった理由であったといえよう。

台本でも用意されていたのではないかと思いたくなるぐらいに良い試合だった。

フィニッシュも5Rの残り10秒ぐらいでKOだなんて偶然にしては出来すぎである。

 

しかし、バンナ選手の試合は観ていて熱くなる試合が多いが、それはひとえにバンナ選手の危うさによる一面が多いといえよう。

どんなにバンナ選手がリードしていても、バンナ選手もまたグラスジョーだから倒れそうでしょうがなくて観ていられなくなって白熱するのだ。

私がこれまで見たK-1 GPの試合の中でのベストバウトは同じパリ大会でのバンナ選手とマーク・ハント選手との試合だったが、パリ大会というのは本当に名試合を製造するものだとほとほと感心する。

 

しかし、あのタンコブのデカさは普通じゃないだろ!

試合後に血を抜いたらコブが半分の大きさになって、そのまま車で帰ったというからそれまたふつうじゃない!

でも、あのコブの大きさには思わず笑いが出てしまったわいな…。