GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

意外と話題にならない菅発言

別に天皇崇拝者ではないけど、この前の菅氏の発言にはさすがに驚いた。 しかし、今ひとつニュースにならないのは何故なのだろう?

 

共同通信記事からの抜粋だが、民主党菅直人前代表は2005年5月8日午前、フジテレビの報道番組で、日中間の歴史認識問題に関連し「戦争をした責任を、日本人がどう判断するかが問われている」と指摘、日本人自身による戦争責任の明確化が不十分だったとの考えを強調した。

その上で昭和天皇の責任に関し「(敗戦時に)天皇陛下は退位した方が良かった明治憲法下で基本的には天皇機関説的に動いていたから、直接的な政治責任はない。しかし象徴的にはある。政治的にも象徴的にも、ひとつのけじめをつけるべきだった」と述べた。

私はこの番組を見ていないし、どのような流れの中で「天皇陛下は退位した方が良かった」と発言をしたのかはわからない。

 

しかし、この発言はなかなか大胆な発言だと思った。

 

私は1976年の生まれだからそれ以前の激しい闘争の生きた歴史についてはわかっていないが、少なくとも私に物心がついた頃からは、天皇陛下の話題となると、イギリスにおける王室報道などとは違って、マスコミですら一切の批判を自粛するモードに入っているというか、共産党日教組や“プロ市民“の方でもない限り、日本社会がそういうタブーを作り上げていたように思うが、この発言は一気にそれを突き抜けた発言だったように思う。

 

そして、このことが数日経った今を持ってあまり話題になっていないように感じるのは私があまりテレビを見たりしないからなのだろうか?それとも、あまりこの発言が世間から関心を持たれていないからなのだろうか? 右は日本国核武装論者の西村慎吾氏から左は岡崎トミ子氏まで、多士済々の民主党ではある。

 

その主張のブレは自民党における安倍晋三氏あたりと野中広務氏や河野洋平氏あたりのブレなんかより全然大きい。

しかし、発言の内容もさながら、発言の時期を考えると、前代表ともあろう人物が、このような発言をするのはすごいと思うと同時に、「この人のバランス感覚は政治家として大丈夫なものなのかいな?」と漠然と思ってしまった。

今のように近隣国との外交関係が微妙な時期に、こうした利敵発言をすることにどうしても強い違和感を覚えてしまうのだ

確かに、天皇陛下を退位させて政権の連続性を完全に立ち、ドイツのように過去を全否定してしまえば、今のように複雑な国際事情を抱え込まずに済んだのかもしれない。

しかし、国家事業で民族殲滅を狙ったドイツと、日本とではあまりに立場が違いすぎる。

 

先日も、以下のようなことがあったばかりなのだ…。

 

最近、韓国の盧武鉉大統領が、日本の戦後処理をドイツの場合と比較して批判した。

しかし、ドイツのユダヤ人団体はナチスドイツは、悪質非道極まるもので、他との比較・相対化は許されない」と退けた。

 

それに、天皇陛下が象徴として残ることになったことには皇紀の2660年とまでは行かなくとも1600年は続いている天皇家の存続を国民の多くが強く望んだことや、戦勝国アメリカとの協議の結果など、さまざまな歴史的経緯やコンセンサスがあって現在のようになっているのに、今頃になって過去の積み上げを反故にするようなことを、国家に対して責任のある立場にある菅氏のような人物の口から発されると「結局あんたもそれが本音だったのね?」と強い懐疑心抱いてしまう。

私は、民主党外交政策などに不安を覚えながらも、自民党の内政政策が気に食わないので、選挙では民主党に投票し続けているが、こんなことではどうすればいいのかいな?と思ってしまう。