JR西日本福知山線脱線事故の被害者の方々にお悔やみ申し上げます
兵庫県尼崎市のJR西日本福知山線脱線事故における死者の数は96人にのぼり、まだ取り残されている人がいるというから、このままいくと100人を超えそうですらある。
それにしても列車がぶつかったときのエネルギーはとんでもないエネルギーだった。
1両目はマンションに突っ込み、斜め45度の角度で地下駐車場にもぐりこんでいて、2両目は最も死者が多く、また最も大きくへしゃげてしまっていて、3両目・4両目あたりでもかなりのけが人を出したようである。
初めは「救助おせーな」とも思ったが、あれだけすごいと捜索活動に時間がかかっているのもしょうがないのかなという気もする。
ところで、今回の大惨事にはさまざまな原因が取り上げられている。
レール構造、運転手の適性、運転士へのペナルティー教育の異常な厳しさ、オーバーランへの処分の重さ、遅れを取り戻そうとあせってスピードの出しすぎたこと、過密ダイヤおよびダイヤの正確さを重視しすぎる体質、安全装置の「ATS-P」が装備されていなかったこと、軽量化されすぎて強度が弱くなった車輌への懐疑、置き石などなど複合的かつ数多くの問題が取り上げられている。
真相がわかってくるまでにはもうすこし時間がかかるだろうし、私のような何もわかっていない人間があれこれ言っても野暮なのでこれらについては何も言わない。
JR西日本福知山線脱線事故から考えたJR運賃考
私がこれらとは別にいつも思っていることは、JR線は私鉄と比べて料金が高いということだ。
そして、大都市近郊ではJRの路線の多くが私鉄と競合している。
その中で、たいていの場合、価格では私鉄、速度ではJRに軍配が挙がる。
すなわち、JRはどうやらスピードで勝負するしかない体質になっているように思ったのだ。
関西に行ったときに、JRと阪急線の運賃の差がかなりあった記憶があるのだが、事故が起きた路線でも、宝塚から大阪方面へ向かう路線という意味では見事に阪急線と競合している。
だから、余計にスピードアップに必死にならざるを得なくなったのだろう。
実際に首都圏にはなく京阪神にある「新快速」はものすごく速かった記憶がある。
また、スピードが速いといえば、首都圏のJR線についていえば、東海道線とか埼京線というのは、本を読んだら酔ってしまいそうなぐらいに速いように感じる。
また、一般的にJRのダイヤというのはかなり正確だ。
余程ダイヤを守ることに神経をすり減らしているのだろう。
ここからちょっと余談を述べるが、毎回毎回終点への到着時刻が遅れる私の住む沿線の西武池袋線とは大違いである。
所沢→池袋間は昼間は急行で23分なのに、朝ラッシュ時の上り線は45分ぐらいは平気でかかるからなあ。
西武線は京王線や東急線と違って運賃は高いわ、特急料金は取るわ、夏の冷房は効いていないわ、先述のとおり毎回遅れるわ…でろくな鉄道路線ではない。
しかし、池袋始発なこともあって、各駅停車は空いており、その長所だけで他の短所をすべてカバーできる。
ところで、JRは普通の乗車料金が高いのに、特急料金や急行料金までも別に徴収する。
また、「青春18きっぷ」で旅をしたことがある人ならわかると思うが、特急料金や急行料金がかからないように移動しようとするとかなりの苦労が生じる。
わざと各駅や快速だけでは接続できないようにダイヤを組んでいる区間が本当に多い。
日本47都道府県をくまなく旅している私がそういうのだから間違いない。
ものすごく移動時間のかかる高速バスの人気が根強いことを考えても、安さへのニーズが高いことぐらいは簡単に想像がつくのだからどうにかならんかな~と思う。
JR側の言い分としては、「民営化以来、運賃面の努力はしている」「JR西日本は早期退職制度などでこれまでも組織のスリム化には積極的に務めてきた」「都会はともかく田舎ではその料金でないと採算がとれない」というのが考えられるだろうが、「じゃあ、ドル箱の都会の路線ぐらいは安くしろっちゅうの!」と思う。
確かに、ドル箱の東海道新幹線を抱えるJR東海や首都圏を抱えるJR東日本と違って、頼みの関西圏が私鉄王国なこともあってJR西日本が大変なのはわかる。
過疎地のJR九州やJR四国やJR北海道がもっと大変なのもわかる。
しかし、田舎の穴埋めをするために高い料金の設定や過密ダイヤの設定やスピードアップを図らなくてはならないことを余儀なくされているのなら、田舎に住む人にその費用を請け負ってもらうべきで、田舎の人には高い運賃でガマンしてもらうのが筋であろう。
それにしても、日本という国は公共料金をはじめとする官業のコストが高くてホント困るわい。
需要のなさそうなところに開業している第3セクターの東葉高速鉄道とか埼玉高速鉄道の料金の高さはJRの比じゃないし…。
余談
あと、ここからは余談だが、初乗り料金というものがある限りJRは他の私鉄よりも有利なのだが、初乗り料金が高くつくシステムをどうにかしてくれないかとはいつも思う。
実際に東京メトロと都営地下鉄間で乗り継いでも初乗り料金をほとんど取っていないようだし、それぐらい利用者の立場で考えてくれても良いように思うのだがそう考えるのは甘いのだろうか…。
現に、私が東京から横浜みなとみらいに行くときは「JRは高いから…」という理由で、渋谷で東急東横線に乗換えて桜木町へ向かっていたのに、「横浜高速鉄道・みなとみらい線」とやらが新しくできたために東急線の桜木町駅が廃駅になり、その分、運賃も上がったことから「こんな路線いらんがな!」と思ったのは私だけではあるまい…。
今度みなとみらいに行くときはJRを使うと思う。
それでもJRのほうが20円高いのでムカつくのだけど…。