GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

ホリエモンと産経新聞(下)

2月15日にも書いたが、2月18日の産経新聞の社説である「主張」を見て「もう少し触れてみたい」と思ったのでもう一回触れることとする

 

gooddays.hatenablog.jp

 

朝日新聞社発行の週刊誌である「AERA」の2月21日号に、「堀江フジサンケイ支配」と題した特集記事があり、そこには以下のような言及があったらしい。

 

あのグループにオピニオンは異色でしょ。

芸能やスポーツに強いイメージがあるので芸能エンタメ系を強化した方がいいですよ。

新聞がワーワーいったり、新しい教科書をつくったりしても、世の中変わりませんよ。


また、「堀江氏は正論路線にあまりお金はかけたくない」という解説がAERA編集部によって付記されているらしい。


ところで、堀江氏は産経新聞社の「正論路線」を十分に理解しているのだろうか。

なお、同社説において「正論路線」についての解説と、堀江氏に対する意思表明が記載されているので以下に引用する。

 

いうまでもなく産経新聞は「正論路線」に立脚している。
これは冷戦時代のさなかに策定された「産経信条」(昭和45年)の「民主主義と自由のためにたたかう」にもとづき、西側陣営にたって、社会主義国イデオロギーや軍拡路線、非人間性を批判してきた路線を指す。
冷戦は西側陣営の勝利に終わり、日本の言論の中でも「モノをいう新聞」としての産経新聞のもつ重みは増してきていると認識しこそすれ、これを修正するつもりはない。

中略

「正論路線」の否定は産経新聞が果たしてきた憲法改正論や、また中国報道や歴史観の歪(ゆが)みの是正、あるいは北朝鮮による拉致事件報道に対する挑戦である。 これらは二十年、三十年単位で積み重ねてきた結晶であって、「あのグループにオピニオンは異色でしょ」の一言で一蹴(いっしゅう)されていいものではあるまい。
同時に路線の否定は大型コラム「正論」の180人におよぶ執筆陣にたいする冒涜(ぼうとく)でもある。

中略

氏が「エンタメ新聞」を発行したいのなら、豊富にあるという資金を注ぎ込んで新たに発刊すればいいだけのことではないか。
なにも産経新聞に乗りこんで路線を変更させて、成就するという乱暴きわまりない構想を打ち上げる必要はないし、読者も正論執筆陣の知識人も、そして歴史もそれを許さないであろう。

中略

利益をあげることが最大の目的である一般事業会社とは当然異なり、より大きな公益性と社会的責任が伴う。
それだけの資格があるのかどうか、静かに自らに問うてほしい。


うむ、毎回ながらの痛快な産経節!

いつもはこの矛先はほとんど”宿敵”朝日新聞へと向けられるのだが、この日ばかりはホリエモンにガブリと噛みついている。

ホリエモンは「正論路線」を「エンタメ・経済紙路線」に変更したいという意向を数年来にわたって持っているそうだが、産経ファンの私としては、「彼はこの路線がコアファンによっていかに強固に支持されているかということや、その歩みの重さを十分に理解していないのだろう…」と思わざるを得ない。

確かに、それほど一般層に認知・理解されていないからこそ、産経新聞は5大全国紙の中で万年最下位という不名誉な座に居続けているのだと思われるのだが、読売や朝日のようななりふり構わぬ勧誘活動を全くしていないので、心の底から読みたい人ばかりがとっていると思われる中で、近年の部数の伸び率が全国紙の中で第1位と、実は正論路線は確実に世の中に浸透していっているのである。


とはいえ、私もデイトレーダーという自分の職業ゆえに日経新聞を精読せざるを得なくなり、産経新聞の購読を休止したのだが、石原慎太郎氏の「日本よ」や曽野綾子氏「透明な歳月の光」のような超硬派コラムはものすごく読みごたえがあるので、「曽野さんはこの件をどうやって斬ってるんだろう」というふうに産経新聞の紙面が無性に気になることが多い。


とはいえ、学生の頃やサラリーマンの頃には日経新聞はつまらなくて仕方がなかったのだが、今となってはおもしろくてもう手放せなくなっているのは皮肉である。

経済重視の新聞としては日経が一番、保守派御用達の新聞としては産経が一番ということできれいに色分けでき、その時のニーズによってどちらにするかを選択できるのが良い。


…ということで、「産経をエンタメ・経済路線にする必要はない!」と思う。