GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

トランプ式逆ギレの総決算としての泥仕合について

アメリカ大統領選はあまりに事前に予想していた通りの泥仕合となっている。

この諦めの悪さこそトランプ氏の「らしさ」の部分だろう。

トランプ氏の稀有なキャラクターは4年間にわたって見る者を相当楽しませてくれたし、「そんなこと言われたら何もできなくなるじゃん!」「それじゃリベラルという名の不自由だ!」と言いたくなるような過激なポリティカル・コレクトネスだとか、Black Lives Matterの陰に隠れた犯罪行為や過激行為を見ているとうんざりするというか、被差別対象になりがちな日本人でありながらそうした方面ではむしろ共和党側にシンパシーを抱きやすく思えてきたし、何より己の肉を断ってでも中国に厳しく対処するトランプ政権の姿勢は多くの日本人の共感を呼んできたように思う。

むしろ、日本の右寄り界隈では対中政策という一点でトランプ支持という流れになっていた。

 

確かにこの4年間、アメリカ・ファーストでありディールという名の逆ギレによってアメリカは数々の成果を得ることができたが、いくらアメリカがジャイアンであっても逆ギレで世界を動かすのは4年間が限度だろうと思っていた。

イラン核合意離脱・パリ協定離脱・TPP離脱・NAFTA見直しといった逆ギレ政策が生んだ世界各国との亀裂はあまりに大きかったし、トランプ氏がこのまま再選しても対中国という点についてでさえ、次の展望を描けないように思う。

経済制裁があっても中国から世界およびアメリカへの輸出額は減っていないどころか増え続けているのである。

中国の横暴に対して経済面や軍事面で圧力をかけることも必要だが、次の段階として先進国を中心に人権や知的財産や環境面で圧力をかける方向にシフトチェンジするべき時にアメリカのトップがトランプ氏では逆効果になりかねなくなっている。

 

確かにトランプ氏は公約のほとんどを達成した稀有な大統領である。

また、イスラエルアラブ諸国の国交樹立というのはトランプ氏でなければノーベル賞ものだったろうにと思うのだが、そうならなかったのはそれだけ多くの敵を作り過ぎてしまったからだろう。

アメリカが世界においていかに突出したパワーであるとはいえ、EU諸国と合従連衡しない限りは中国やロシアへの圧力が中途半端なものになることが明らかになっている以上、逆ギレ路線には限界がある。

 

また、新型コロナ禍における最重要対策はユニバーサル・マスキングなはずなのに、マスクをしないという無謀かつマッチョな態度で新型コロナ禍に臨み、その結果として世界最多の死者を出し、挙句の果てにトランプ氏まで新型コロナに感染するというありさまはあまりに稚拙で、世界中の人々から呆れられてしまい、アメリカの威信に大きな傷がついた。

第二次世界大戦後、常に世界をリードしてきた国とは思えない有り様である。

 

トランプ氏が息をするように虚言を口汚く吐き、駄々っ子のような人格であることが明らかになっても、その弱点をかき消すかのような稀有ともいえる魅力的なキャラクター性とマッチョさと愛嬌で半数近くのアメリカ人は彼を支持し続けてきたのだが、その反面、トランプ氏のもとからバノン氏・ボルトン氏・ティラーソン氏・マティス氏など側近の者が次々と去ったという事実もあるわけで、大衆を熱くさせるロックスターではあっても身近な者からはあまり好かれるタイプではないのだろうと思う。

身近な者から好かれない性格というのを簡単に述べると、気分屋・短気・傲慢・わがまま・嘘つきのいずれかの要素があるか否かということだと思うのだが、トランプ氏の場合は全てがあてはまりそうであり、愛嬌だけでカバーするには近ければ近いほど難しいのではないかと想像する。

 

しかし、こうした欠点だらけの人格と振る舞いの大統領が次々と馬脚を明らかにし続けてきたのに、4年経っても半分近くの国民が熱烈に支持をし続けているという事実は、トランプ氏が支持者におもねるポピュリズム政策を打ち出し続けてきたにせよあまりに重い。

格差による分断や行き過ぎたポリコレがトランプ氏という鬼っ子を生んだわけだが、この分断はちょっとやそっとでは解消できなくなってしまっている。

日本がほぼ単一民族国家ということが大前提としてあるが、ここまで国を分断し、あんなに虚言を口汚く吐く人物がトップだったらすぐに呆れられるだろう。

圧倒的な権力基盤に立っていた安倍氏の言葉は多少の嘘はあれど常に丁寧だったし、狂気ともいえる逆ギレ力で政権を運営した小泉氏の言葉には嘘がなかったし、それ以外の首相を見ても麻生氏がべらんめえ口調で、森氏のリップサービスが過ぎていた程度である。

 

また、日本人の感覚では選挙方法ぐらいは国民としての法の下の平等の観点からきちんとしたものに統一できんのかと強く思うが、これは国の成り立ちやそもそもの考え方が全く違うと考えるしかないのだろう。

氏名も名前・名字の順、住所の書き方も日本と逆、国の名前もUnited States of AmericaだとかUnited Kingdom of Great Britain and Northern Irelandという語順の国なわけで、「自分は日本人で、この県の、この市に住んで…」という思考回路とは逆なのである。

言葉の作りについてはヨーロッパ諸国の言語全体に言えることで、この原則をヨーロッパに当てはめるわけにはいかないのだが、まさにUnited Statesというわけである。

選挙時に有権者を何時間も並ばせることになろうと、郵便投票の期限がまちまちだろうと、あとで訴訟を起こされかねないような選挙制度になっているのは変じゃないかと言われようと、州ごとに違っていて別にどこ吹く風ということなのだろう。

 

アメリカ人には潔いことを美徳とするさわやかな面もある気がするが、法に則って訴訟合戦を繰り広げて、時にとんでもなく思えるような判決が出るのもアメリカらしさといえるわけで、法律云々よりも卑怯を憎み、潔いことを良しとする日本人のメンタリティーとは良くも悪くも違うとしか述べようがない。

 

ところで、このところトランプ氏の両手を左右に振るダンスがマイブームになってしまっているが、やっていてノリノリになるとはいえ、いかんせんカッコ悪いので早くこの癖を取らねばと思っている。

 

f:id:gooddays-shumai:20201106130820j:plain水曜日はすごく天気が良かったのですが、千葉ポートタワーから最高の日没と富士山を望めました