GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

旅をしていて桁違いに心を打たれた情景を列挙する

勝負や試合に勝っただとか、ベストを尽くせただとか、何かを成し遂げただとか、曲が弾けるようになっただとか、大儲けをしただとかいう瞬間に最大の幸福感を得ることができるという人々もいると思うのだが、達成感の少ない俺の人生経験においてとてつもない幸福感を感じた瞬間を分析するに、そのほとんどは能動的な体験から得られたものではなく、受動的な体験から得られたものである。

これは俺自身が幸福感を得るうえでの必勝法であり帰納的方法論として昔から強く自覚していることである。

俺の最大の趣味は「知ること・学ぶこと・気づくこと・考えること」という能動的とも受動的ともとれることであるが、知ることで嫌な気持ちになることもたくさんあるので、これは幸福感を得る必勝法にはなりづらい。

 

最も幸福感を得やすいことは何かと聞かれると、美味しいものを食べることや旅をすることなども思いつくので本当に悩むのだが、自分のなかでは「ベストシーズンの晴れた日に美しい自然にふれること」ということにしている。

幸福感を得るために夏以外の晴れた日には可能な限り散策に出かけるし、旅先もベストシーズンを迎えている場所から選ぶようにしている。

東京都内において最も好きな時期は桜の時期と紅葉の時期だが、桜だと千鳥ヶ淵が圧倒的だと思うし、紅葉だと根津美術館六義園自然教育園で見るのが最高だと思う。

もちろん、大都会の東京で見られる自然には限界があるのでドライブに出かけて現地の探勝路を散策することも多い。

お気に入りのドライブルートは多々あるのだが、特に好きなのは以下の4ルートで、4ルートとも年に一度は行きたいと思っているし、大抵は毎年訪問して強い幸福感を得ている。

ベストシーズンにほぼ毎年同じような場所に行っても飽きずに強い幸福感を得られてしまうのだから「1年という長さの絶妙なことよ…」とつくづく思う。

 

 

毎日の生活のなかにおいては、近所の浜離宮庭園の森を散策したり、東京のあらゆる街を散策したりすることによって季節の移ろいを感じたり、緑の中で深呼吸して受動的な幸福感を得ている。

…というわけで、森に行ったり、街を歩いたり、桜や紅葉が美しい名所に行ったり、大好きな探勝路を歩くことによって自分の幸福感を満たして生きているのだが、旅先で場所・気候・気分・希少度が完璧にマッチすることによって得られてしまう幸福感のなかには日常生活では得られないレベルのものが存在する。

「涙が出そうなほどの…」と述べるのは恥ずかしいのだが、それぐらいなまでに桁違いに心を打たれた情景を列挙してみることにした。

もちろんこれらは絶景集ではなく、偶然に桁違いの幸福感を得てしまった情景を思い返して列挙しただけのものである。

京都・金沢・尾道だって、パリ・バルセロナ・香港だって大好きなので、挙げたくてしょうがなかったのだが、今回の基準に関しては自分の心のボルテージに素直に従うことにした…。

 

 

国内の情景

f:id:gooddays-shumai:20200814182946j:plainうちのご主人とつき合うことにして数日後に初めて出かけたドライブ。紅葉の季節に夜中に出て、朝焼けに染まる赤富士と日の出を見たのだが、あまりに美しすぎて一生忘れられない想い出となった

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182932j:plain道東の小清水原生花園。知床方面の雄大な景色を眺めている時に何故か「生きてきたなかで今が最高に幸せな瞬間かも…」とふと感じだのだった。何故、そう感じたのかはわからないのだが、その時に感じたとてつもない幸福感の余韻は10年以上経った今でも残っている。あの時の俺の脳みそのドーパミンを検出してみたい…

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182916j:plain先に述べたお気に入りの4つのドライブルートには頻繁に行くし、挙げたらキリがないので、それらからは挙げまいと思ったのだが(既に赤富士を挙げているのだけど…)、何もかもがあまりに完璧な時に訪れた奥日光の湯滝は挙げずにはいられなかった。青すぎる空、赤すぎる紅葉、美味すぎる空気、異常な量のマイナスイオンのせいである

 

f:id:gooddays-shumai:20200816151403j:plain高校の時の修学旅行で蓼科のスキー教室に行くまで雪を見たことがなかった宮崎市出身の俺の雪山への憧れはいつになっても半端ではないのだが、そんな俺にとって立山黒部アルペンルートは絶景の山盛り盛り過ぎみたいな存在だといえる。南国出身者がここで支柱が1本もない1.7kmもの長さのロープウェイに乗って大興奮できないようではもうどこに行っても興奮できないだろう…

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182442j:plain阿蘇の外輪山は世界で最も大きい噴火口なので小さな島国にあって世界規模に雄大な光景なのだが、そんな桁違いのスケールを眺めつつ、野焼き後に生える美しい新緑の草と、草を食む牛の群れと、春の朝もやを見ていると小さなことなんて本当にどうでも良くなる

 

f:id:gooddays-shumai:20200816145218j:plain何故なのかはわからないが、函館が好きで、秋ばかりに出かけているから他の季節の函館はあまり知らないのだけど、秋の函館が好きすぎて、この街に立っているだけでたまらない気持ちになる。街を歩き回って、函館山に登り、谷地頭温泉に入り、車でトラピスチヌ修道院トラピスト修道院立待岬・大沼・日本海追分ソーランラインのどこを走っても幸福感が上昇しすぎるので、ある意味危険です

 

f:id:gooddays-shumai:20200816201735j:plain暑いのが嫌いで、人混みは大嫌いで、テキ屋も好きではないので、基本的に祭りというものが嫌いなのだが、岐阜県郡上八幡の「郡上おどり」は別。踊りの会場を毎晩変えて行われるのだが、踊る人々が本当に楽しそうに踊る様子を眺め、水辺の美しい情緒ある街並みをそぞろ歩きすれば猛烈に幸せな気持ちにならないはずがありませぬ…

 

建築物が織りなす情景

f:id:gooddays-shumai:20200814182742j:plainチベットのラサの聖地ジョカン(大昭寺)から眺めたポタラ宮ポタラ宮とジョカンは中学生の頃からずっと世界で最も行きたい場所だった。ついに来られたという達成感と予想を上回る美しい光景を目に入れて、「もう人生に悔いはない…」とラサの澄み切った空に昇天してしまいそうな気持ちになった

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182231j:plainサン・ピエトロ大聖堂の巨大な内部の大きさも、ドームに登って見た下界の景色も、ミケランジェロの「最後の審判」も他の世界遺産とは根本的にレベルが違いすぎるのだが、キリスト教徒でもないのにミサ中に空から放たれたこのレーザービームを見て信徒になってしまいそうなレベルの荘厳さを感じた…

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182248j:plainスペインはグラナダアルハンブラ宮殿イスラム建築の粋とも言われる宮殿だが、この美しい宮殿と、6月になっても雪をまとっている美しいシエラネバダ山脈と、周囲に広がる沃野を目にして、頭の中にタレガの「アルハンブラの思い出」のトレモロが延々と鳴り響いた…。この乾ききったアンダルシアの大地に白雪をまとうシエラネバダ山脈があり、そこからもたらされる雪解け水がグラナダの街と沃野に恵みをもたらし、さらにアルハンブラ宮殿の噴水を演出し、その噴水をイメージしたトレモロの名曲が生み出されたのである

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182606j:plainティムール王朝の都にしてシルクロードのオアシス都市であるウズベキスタンサマルカンドのレギスタン広場は「すごいぞ~すごいぞ~きっとすごいぞ~!」とめっちゃ期待を込めて行ったのに、現物はもっともっとすごかった…

 

街並みの情景

f:id:gooddays-shumai:20200814182305j:plainロッコマラケシュに着いてジャマ・エル・フナ広場の喧騒を見た時に、風土・宗教・文化・エスニック感・アフリカンなリズムの何もかもがあまりに日本とは違いすぎる異国オブ異国ぶりに度肝を抜かれた。長時間のフライトと鉄道移動を経て肉体的には疲れ切っていたのにむしろ気持ちは激しく高揚したのだった…

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182637j:plain「観光用に川に提灯を浮かべ、街を提灯で飾っているだけっしょ?インスタ女子向けの街だわな…」と舐めてかかって出向いたホイアンの夜の光景は忘れ得ぬほどに感動的な情景でございましてすっかり参りました…。アジアそしてベトナムの良さが妖艶な雰囲気を作っているうえにムーディーな生演奏まで鳴り響いていました。すっかり感動してやられてしまった心身をアジアお約束のタイ古式マッサージで癒したのも含めて最高の夜でございました…

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182217j:plainバックパッカー時代からの故郷と思っているカオサン通りに行くとどうしてもテンションが上がって幸福度ボルテージが満タンになるのでございます…。学生の頃は1泊数百円の冷房無しドミトリーに長期間泊まるたくましさ(と貧乏さ)があったのだが、5つ星のコンラッドホテルに泊まる旅行であっても、帰巣本能が働いてこの安宿街に足が向くのでございます

 

f:id:gooddays-shumai:20200814191034j:plainヴェネツィアサントリーニ島は世界で最も美しい場所だと思う。「世界屈指の美しい街に今いるんだ!」という感傷に浸る。それだけでもうお腹いっぱい


f:id:gooddays-shumai:20200814182800j:plainヴェネツィアサントリーニ島は世界で最も美しい場所だと思う。アブダビアテネで飛行機を乗り継いで家のドアから30時間もかかって泊まるホテルにたどり着いたのだが、その苦労を上回る美しさがある

 

自然が織りなす情景

f:id:gooddays-shumai:20200814182407j:plainビーチマニアでもスキューバダイビングが好きなわけでもないので経験値が低いのだが、なんだかんだでグアムの海が一番きれいだと思う。家族で結婚式を挙げた翌日のホテルのビーチ。シチュエーション的に最高の幸福感に包まれないと頭おかしいっしょ!

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182427j:plainエロティックと言っては失礼なのかもしれないが、バリ島ほどに妖艶な文化がある地はないと思っている。その妖艶な文化と大音量のクラブ音楽と暖色系のライティングと美しすぎるサンセットが織りなすサイケデリックなレギャンビーチの光景が生み出すトリップ感はちょっとヤバい。もちろん薬物は使用しておりませぬ…

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182353j:plainワイ島をドライブしていると雄大な景色に圧倒される。島なのに大きな大陸を横断しているかのような気持ちになる。道も走りやすいので慣れない右側通行でも全く気にならない。太平洋の海洋底から測ると10,203メートルの高さがある“世界最高峰”のマウナケア山(標高4,207メートル)と、富士山の53倍の体積があって世界で最も体積が大きい山であるマウナロア山(標高4,169メートル)の麓を走っていると思うだけでこの地理マニアは興奮するのである

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182849j:plainライン川の絶景を眺めつつビールを飲みながら船で上って、リューデスハイムという異常にステキな街に到着。ステキな宿にチェックインし、近くのリフトに乗ってぶどう畑の山の上に登る。山の上にはステキな広場があり、机と椅子があり、白ワインやクレープが売られているではないですか!白ワインを右手に、甘いクレープを左手に持ちながら下界の絶景を眺めると例えようのない幸福感が湧き起こったのでした。うちのご主人もそうだったと回顧しております…

 

文化による情景

f:id:gooddays-shumai:20200814182726j:plain世界の名だたる美術館も含めて美術館や美術展に数多く行っているほうだと思うが、名画を見て強く感動するほうではないし、本物であろうと複製であろうと感想が大きく変わるほうでもない。でも、ウィーンのベルヴェデーレ上宮にあるクリムトの「接吻」の実物を観た時は強く心を打たれてしまった…

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182710j:plainクリムトに続いてウィーンにて。世界で最も美しいオペラ座だと思うウィーンのオペラ座で観光客向けのコンサートを聴いた。ヨハンシュトラウス1世の「ラデツキー行進曲」の際に観客含めて皆で叩くお約束の手拍子の楽しいことといったらない。隣のホテルザッハーのザッハトルテも含めて、ウィーンという街に漂うハプスブルク王朝の文化ってたまらない。なので、これまで3度もウィーンに訪れている次第で、ヨーロッパの都市では単独最多の訪問回数なのです。バロック建築もウィーンのバロック建築が一番好き

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182154j:plainベルギーのブリュッセルを訪問した際に「オメガング」という祭りがあることはおぼろげに知っていたのだが、街を散策している途中で急に周囲の人が中世の格好をした人ばっかりになり、急にタイムトリップしてしまったような感覚になって、おもしろくて仕方なかった

 

f:id:gooddays-shumai:20200814182205j:plain「オメガング」のクライマックスは世界で最も世界で最も絢爛な広場とも言われるグランプラスにて行われる。ろくに知りもしないで来たのにこんなに大きな祭りに入り込んでしまって興奮しないわけがないっしょ!