散歩と家の前のコンビニと週に2度のスーパー以外の外出先のない籠り生活の中で俺は以前以上に趣味のGoogleマップ旅行を楽しんでいる。
特に欧米の美しい街や見知らぬ街を見て歩いていること多い。
37ヵ国を旅していてもまだアメリカ大陸に行ったことがないのだが、カナダに6年住んでいたうちのご主人の賛同が得られずに行けていないだけで、本当はすごく行きたいと思っているということもあり、Googleマップでアメリカの街を見て歩くことが多い。
とはいえ、見事に碁盤の目のような街ばかり、かつ、市街地以外はモータリゼーション化された街並みが多いので単調といえば単調なのだが、何せ国土が広いので多様性を楽しむことができる。
しかしながら、我が国と欧米の街並みの美しさの違いにいつも唖然としてしまい、我が国の街並みの景観の醜悪さに悲しい気持ちになるばかりである。
もちろん勝手知ったるアジアの都市もランダムに見て回っている。
ダナン・ホイアン・フエには1年前に行ったけど、かれこれ20年以上行けてないサイゴン(ホーチミン)のことが急に気になったとして、サイゴンの様子を見てみてあれこれ考えてみたとする。
Googleマップで街を見て歩きながら以下のようなことを思う。
「サイゴンの(バックパッカー街の)ファングーラオ通りやデタム通りどうなってるかな?」
「あーこの辺懐かしいな」
「この辺に(バックパッカー御用達旅行会社の)シンカフェがあったはずだけど今はないんだな~」
などと懐かしがりつつ、「さて、何をしよう?」と現地に行ったつもりになってやることを頭に思い浮かべてみる。
「この辺で激ウマのバインミーを食べて道をぶらぶらして…」
そう、大した観光地もないなか、一通りの観光地を見て回った後は、ぶらぶらと無為に歩くこと以外にすることがないというのがアジアの都市での過ごし方の特徴なのだが、現地においてはそれでいいのである。
しかし、におい(匂い?臭い?)や暑さや湿気を感じないままGoogleマップ上で美しくもないアジアの街を見て回り続けるのはちょっと物足りなく思うかもしれない。
ヨーロッパの場合は見どころが尋常ではなく数多くあり、一ヵ所一ヵ所の質ですらアジアの名所より格段に高く、街並みも美しいのに対して、宿泊費や食費がそれなりにかかることが多いので、現地ではパフォーマンスを追求せざるを得ないが、Googleマップではそういったことを考えずに心行くまで街歩きを楽しめるので実にすばらしい。
話は戻るが、20年以上前のサイゴンのようなアジアの都市の安宿の宿泊費はシングルで500円程度、屋台などでの食費も一食30円程度と激安だったので暇人にとっては金銭的なパフォーマンスを追求する必要がなかった。
また、見どころの数も質も大きく劣るし、街並みも全体の感じだとか雰囲気をつかめさえすればわざわざ隅々を見て歩くような街でもないため、だらだらと無為に過ごすという行為そのものを楽しむのだが、異国から来た若者が街中に一人で立っていると現地の人が次から次に話しかけてくるので暇つぶしには事欠かなかった。
アジアの都市の見どころの質がヨーロッパより劣るだなんて失礼だという意見もあるかもしれないが、これに関しては事実を述べているだけとしか述べようがない。
でも、現地の人とふれ合える度合いはタイム・イズ・マネーの先進国と暇そうなおっさんがそこらに立っている途上国とでは全く違うし、飯もアジアのほうが断然安くて美味い。
20年以上前の東京ではバインミーなんてあまり食べられなかったのだけど、今の東京では750円ぐらい払ってとても美味しいバインミーにありつける。
それでも、当時のサイゴンではその20分の1出せば食べられたので二重に美味く思えたし、腹が溜まるまで立て続けにいくつでも食べられた。
新型コロナウイルスをほぼ抑え込んでいる今のベトナムを途上国と言っては失礼というか、時は過ぎて20年のアジアと今のアジアとでは全く違う風情になってしまったわけで、今や世界中がタイム・イズ・マネーになってしまったし、こっちも若者一人ではなく中年夫婦で歩いているので街の人からあまり話しかけられなくなった。
でも、昨年行ったサマルカンドで街の人が話しかけてくる度合いは本当にすごかったな~。
このようにGoogleマップで行ったことのある街を懐かしがって歩くが楽しいのは当然だけど、行ったことがない街を歩くのもすごく楽しい。
そして、Googleマップ旅行をやっていると時間がいくらでも経ってしまうのが泣きどころなのだが、外出自粛中の今の時期であればそれも構わないだろう。
なお、概して先進国ではGoogleマップでの街歩きが楽しめ、途上国ではまだ街歩きが楽しめないようになっているのが残念だが、そのうち楽しめるようになることに期待したい。
おまけだけど、以下は、Googleマップで行けない場所の写真である。
サハラ砂漠にあるモロッコのエルフードという街のロバの駐車場へはGoogleマップでは歩いて行けない。ちなみに40度ぐらいの気温だったのだが、それでもロバは写真のようにず~っと動かずに市場に商売に行ったご主人の戻りを健気に待っている
ウズベキスタンのヒヴァの街も中世にタイムスリップしたようなすばらしい場所なのに、Googleマップでは歩けない。心地良く抜ける風の気持ち良さも写真ではわからない
チベットのラサのバルコルの夜景。残念というか当然ながら中国国内はGoogleマップで見て歩けないが、チベットでの高山病の辛さが写真ではわからないのはラッキーかも…
ギリシャのサントリーニ島の場合、車で通れるところならばGoogleマップで歩けるのだが、こういう美味しいところまでは入って行けない