GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

自動運転と自賠責保険のスキーム

自動運転車で事故を起こした時に、誰が刑事責任を取ればよいかがはっきりしないと、技術だけが先行しても政治家や省庁が簡単には導入を認めんだろうなと漠然と思っていた。

それどころか、それがはっきりしないから日本車メーカーは海外勢のようにはそこに前のめりになれずにいたのだろうとすら思っていた。

 

ところが今日、実用化が迫る自動運転の車が事故を起こした場合の保険金の扱いについて、国土交通省の研究会が大枠の方針をまとめたようで、自賠責自動車損害賠償責任保険は、これまでと同じように保険金を支払い、事故の原因がシステムの欠陥にあった場合は、自動車メーカーなどに損害賠償を求めるとのことだった。

 

「そうか!運転者がいないから懲役刑は無しで、車の所有者もしくは搭乗者から保険料を取り、保険会社が被害者に支払い、あとは保険会社が保険料を決めたり、メーカー等との交渉などをすれば解決とあらかじめ決めてしまえば済む話なのか」と思うとともに、そんなことすら思いつかなかった自分の頭の悪さにかなり驚いた。

このスキームでいけば、ドローン配達、自動宅配等も可能になるのかと想像すると同時に、轢かれたら被害者と保険会社相手の裁判になって刑事訴訟も含め懲役刑無しでカネで解決される世の中になるのかと思うと同時に、懲役刑無しで全ての加害責任を負いきれるのかなとは思ったが、今回のようにあらかじめ決めを作っておけばいいのかとも思った。

 

今回の件が、仮に日本国内だけでの話だったら日本の省庁は加害者の懲役刑責任の所在不確定を理由に自動運転を絶対に許可しなかったのではないだろうかと穿った見方もしてしまう。

 

過去にも述べたことがあるのだが、日本では長らく、どうしてこれを守らなくてはならないのかがわからないような規則ばかりが書かれている旅館業法によって民泊ビジネスは激しく制限されてきたし、タクシー事業者の認定や取り締まりをする法律や規定があり、タクシーの料金は他国に比べて異様に高い。

 

ところが、民泊ビジネスもライドシェアビジネスもグローバル標準のサービスが日本に乗り込んでくると省庁も重い腰を上げて考えるようになった。

民泊ビジネスは特区だとか、宿泊日数のキャップを設けるというかたちで部分的に認めるにいたり、ライドシェアのほうはタクシー業界の必死の抵抗によって、ハイヤーを用いた配車までの利用となっているようである。

 

もちろん規制や許認可のそもそもの目的は利用者の便益にあり、役人の権益のために誕生したわけではないし、旅館業やタクシー業の自由度が高まると、旅館業法やタクシー事業者関連の許認可や法律を守っている既存の事業者がバカをみるので、どこかに規制を設けざるを得ないのだろうが、自由化を求める内外の勢力による「日本の省庁は頭が固い」という意見や世論がいい意味での圧力になって世の中が適正化されていくことを望みたい。

 

まず、多くの人が不可能と思うような技術やビジネスモデルを情念ともいえるような熱意で実用レベルに持っていき、それと同時に、世界中のどこかの国に利用を認めさせ、事例を作った後にそれを切り口にして他の国の規制を切り崩しにかかるグローバル企業の石を穿つような情熱の強さにはいつも恐れ入る。

 

日本には、理容室と美容室、保育所と幼稚園、異常に遅い速度規制、ナイトクラブの照度、外国人技能実習制度、日照権の厳しさなどなど挙げだしたらキリがないほどに意味のわからん規制や許認可や制度がたくさんあるので、適正化されていくことを期待したいと思う。

 

ここまで書いて言うのも難だが、面倒くさがり屋の僕は民泊よりホテルを使うと思うし、5キロ程度なら無条件に歩くため、タクシーはそもそも年に1度も使わないし、車を持つ予定も全くないので何もかも僕には関係ない。

 

【追記】

後で考えてみたけど、僕が知った情報は上の文章の内容のみの情報でしかなく、あくまでこれは自賠責の件での話し合いであって、刑事責任や懲役刑のことは話し合っていないと考えるとそこまでは解決していないのかもしれないと思った。