GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

サウスポーが苦手なチャンピオン

先日、小國以載選手と岩佐亮佑選手の試合をテレビで観た。


ボクシングIBF世界スーパーバンタム級チャンピオンの小國以載選手は昨年の大みそかに22戦22勝22KOの奇跡的なパーフェクトレコードを持つドミニカのジョナサン・グスマン選手に判定勝ちしてチャンピオンになった選手で、岩佐亮佑選手は先日王座陥落した山中慎介選手と伝説的な名試合をしたこともあり、どうして世界チャンピオンになれていないのかが不思議なぐらいのすばらしい選手で、この試合は接戦になるだろなと思って観ていたのだが、結果はあまりに一方的な展開で岩佐選手が新チャンピオンになった。

 

試合後の岩佐選手のコメントを読むと、1Rの立ち上がりに小國選手が一気に来てその際の右が危ないと気づいて慎重に対応したこと、ポイントを大量にリードされた小國選手が途中捨て身で来たところにつき合いそうになったところをセレス小林会長の指示で回避したことなどがターニングポイントとなっていることはわかったのだが、やはり、観ていた側としてはあまりに一方的な試合のように映った。


世界チャンピオンレベルの選手だから当然、対サウスポーの練習は十二分にしているのだが、オーソドックス対サウスポーの試合はセオリーではお互いの前足を踏み合うぐらいの気持ちでオーソドックスは左に回ろうとするものだが、小國選手は右に回されてしまっていて、もちろん、世界戦レベルになるとセオリーを崩して敢えて右に回ることもあると思うのだが、この試合に関しては、右に回ってしまって被弾しまくっていたので、とてもそうは思えなかった。

本人がサウスポーを苦手なピーマンに見立てて試合前にかじるパフォーマンスをしていた通り、よほどサウスポーが苦手なのだなと思った。


実際、小國選手のレコードは19勝2敗1分なのだが、1分けは対オーソドックスであるものの、2敗の相手はともにサウスポーの和氣選手と岩佐選手だった。


本ブログの「キックボクシング技術入門」でも対オーソドックスと対サウスポーで別々に書いているのだが、ボクシングにしてもキックボクシングにしても相手がサウスポーだと、別競技と思えるぐらいに違う戦い方が必要になる。

しかし、天才が集う世界戦レベルだとサウスポーへの苦手意識を克服してしまうものなのか、ここまでサウスポーが苦手な様子を見せられることはなかった。


でも、対オーソドックスでは全勝で22戦22勝22KO男のグスマンにも勝ってしまったのに、対サウスポーの初防衛戦ではボロ負けの完敗を喫し、これらが全く別のスポーツであることを新鮮に思い起こさせてくれ、間違っても野球で左投手が極端に苦手な打者とか聞いて胸が締めつけられることはないのだが、ボクシングという命を削るスポーツにおける小國選手のその何ともいえない儚さには良くわからないけど胸が締めつけられてしまった。

試合後に引退表明した小國選手の「最後の試合が岩佐君で良かった」というコメントも一際さわやかに感じた。


ついでに書いておくと、西岡氏、長谷川氏、山中選手といった最近の名チャンピオンにはサウスポーが多いようである。

ちなみに、内山氏はオーソドックスで、井上選手もオーソドックスだが怪物なのでスイッチもする。