初めての台湾旅行
2010年3月12日から3月14日まで2泊3日で行ってきた。
以下は旅の写真です。
参加したのはサーチャージや成田空港関連諸費用込みで一人4万円程度のツアーである。
夕方便発の午前便帰りだとこの半額なのだが、午前便発の夕方便帰りだったのでこの程度の価格となった。
最初はまだ行ったことがない韓国に行こうと思ってツアーを探し始めたのだが、韓国はまだ寒いので、同じく行ったことがなかった台湾にした。
そうそう、最初に重要なことを書いておくが、台湾に行くときには絶対に成田空港で両替をするべきではない。
成田空港ではドルやユーロのようなメジャー通貨以外はぼったくりとしか思えないような非誠実的なレートでしか取引をしていないからである。
僕は一部を成田空港で両替をしていって痛い目にあった。
台湾に行くときは全額日本円をそのまま持って行くことをオススメする。
僕がここに書いておくことで、成田空港のぼったくりなレートが少しでも改善されることを望む。
まあ、全く効果ないだろうけど…。
飛行機
行き
朝の混雑にはち合わせるのが嫌なので特急ではなくスカイライナーを使う。
僕も30代の大人なのだから、いつまでも特急で行くことはないだろう。
飛行機は9時40分に飛ぶのだが、成田空港に7時40分に着くために家を6時に出る。
本当は1時間前に着けば十分と思うのだが、そうすると二人隣で座れなくなる可能性もあるので、そういう意味で2時間前に行くほうが安全だろうと思ってそのようにする。
何が楽しくてこんな早くに家を出なけりゃならんのだ!クソ成田!と毎度と同じ悪態をつき、往復で一人4,000円近くするスカイライナー代とともに嘆く。
しかも9時40分に飛行機が動き始めたのにこの空港にありがちな待機時間がとてつもなく長く、実際に飛行機が飛んだのは10時30分になってである。
しかし、僕の感覚的に飛行機は4時間を超えると急に長く感じるのだが、台湾は3時間程度で着くのでとても近く感じる。
その点で台湾へのフライトは実にすばらしい。
両方とも日本で機内食を積み込んでいると思われるのにアメリカ系キャリアとの違いはなんなんだろ。
着陸からイミグレーションおよび荷物受取り終了までは40分とわりかし優秀。
ところが、旅行会社から人数が揃うまでの待ち時間が結構長い乗り合いバスに乗せられて、免税店に連れていかれて40分も過ごさせられるのには閉口した。
帰国前ではなく、まだ入国したばかりだったので、僕らはその時間中免税店には居ず、集合時間までずっと外の街中を散策していた。
また、市街から空港まで車で1時間かかるのにも少し遠さを感じるが、まあ、成田空港と比べればかわいいもの。
というわけで、家を出たのは6時なのにホテルにチェックインしてフリーの身になったのが15時半すぎだった。
免税店に立ち寄っている間、40分ほど既に散策したとはいえ、午前発のツアーにしたのにこんなに時間を取られるとは…トホホ。
帰り
16時50分発の飛行機なのに集合時間は12時50分というオニ早ぶり。
夕方帰り便指定の意味ってあんまり無くない?なんて悪態をつきたくなるうえ、行きの際にわかっていたとはいえ、こちらの神経を逆なでするかのように帰りも免税店に立ち寄るハメになる。
無駄すぎる展開に怒りも湧こうものだが、この時に買おうと思って何もおみやげを買っていなかったので、土産の品を一気に買い込む。
土産物の価格は大体チェックしておいたので、価格については納得の上で購入することができた。
しかし、台湾で遊ぶだけ遊んで、食べるだけ食べて使った金が、土産代8,000円程度を別にすると、自分達用の買い物は全くしなかったこともあって、二人で2万円ちょっとしか使わずに終わった。
物価が安いってすごいっすね。
それと比べて、東京と成田空港をスカイライナーで移動するだけで8,000円もかかるのはどうなんだろと残念に思う。
しかも、成田空港に着陸したのが20時40分だったのに、飛行機を降りるまでこの空港独特の待ち時間のために相当待たされて、終電が近くカリカリしていた人も多かったと思うが、成田空港を出発したのが22時、家に着いたのが23時半過ぎという難行ぶりだった。
台北で13時前に集合してから帰宅するまで9時間もかかっているわけだが、こういう時間ってどうにかならんのかなといつも思う。
僕は東京の東側に住んでいるから成田空港まで遠いとはいってもまだ近いほうだし、朝も8時過ぎまで寝られるからまだいいけど、翌朝に早く起きなきゃいけない人にとっては苦行以外の何物でもないだろう。
この空港いい加減にしてくれ!っていう文章で締めるのが嫌だから冒頭に帰りの飛行機の感想も書いといたわけです。
街歩きの感想
西門
台北西側にある若者たちが集う街で、原宿や渋谷のような雰囲気だが、新市街や忠孝復興駅近辺のエリアと違って高級感や近代的な感じはあまりなく、気取りがない街だった。
だから日本からやってきた観光客にとっては最高に楽しめる街だと思う。
いわゆる「哈日族」の聖地もここらしく、風景とタイミングによっては「ここは日本か?」と思うほどだが、活気はこちらのほうが断然上で昔の渋谷みたいな活気。
ただ、若者がごったがえしてたむろしている様子や、街中に流れる大音量の音楽などが苦手な人には楽しめないかもしれない。
また、紅楼劇場の裏側にはオシャレなバーがたくさんひしめき合っていて違った表情も見せている。
ところで、今までアジアのどの国に行ってもファッションや髪型や肌の色や顔の特徴の違いで、日本人の女の子を見ればすぐにわかったのだが、台北ではそれがわからない人が多いことにビックリした。
パートナーには違いがわかるらしいが…。
まだ韓国に行っていないからなんともいえないが、おそらくは台湾人が最も日本人に似ているのではないかと思う。
ちなみに、それまで顔や体型に関しては中国人よりもベトナム人が最も日本人と似ていると思っていた。
そうそう、台湾人と日本人が似ているとは言ったが、これはあくまで見た目の話で、やはり、屋台で豪快な食べ物を食べている様子や、大声で話す様子や、怖いもの知らずの交通マナーなどを目にすると生きるエネルギーの強さで到底かなわんなあ…と思ってしまうのであった。
龍山寺付近
西門のさらに南西方向にある龍山寺界隈はディープな感じが漂っていて、個人的には大好きな界隈だった。
特に華西街観光夜市やその付近の路地はいかにもといった感じのディープな雰囲気が漂っていてGOOD。
どの店もわけのわからない生き物を扱っているが、中には大きなヘビを飼っている横にかわいいウサギを飼っていて、大きなヘビの体のところどころが太くなっていて「もしかして、このヘビ、このかわいいウサギちゃんを…?ひょえ~!」と思わせる店まであって、見ているだけで…というか、逆に見る以外の領域に踏み込めないのではあるが、とても楽しめた。
また、龍山寺は台湾最古にして台湾で最も格式のある寺院らしいが、それだけに建物にしても雰囲気にしても見学する価値は十二分にあると思った。
寺院の周辺の薬草を売っている街はおもしろかったが、衣類を売っている問屋の商品はかなりイケてなかった。
市政府付近
龍山寺から地下鉄に乗って立ち寄ったので反動が激しすぎたのだが、日本でも似た事例を探しづらいぐらいにフューチャリスティックな街だった。
みなとみらいやお台場ができた当時は似たようなものだったように思うが、今となっては両者とも古くなってきたし、規模もこちらのほうが上である。
日本のように開発のための合意に手間とコストがかかる国ではこういった大開発は不可能で、日本の場合、どんなに本気になって開発しても古くて小さな店や民家が立ち退かずに残るからなかなか真似できんわな…。
日系のデパートも多いが、ランドマークの台北101の存在感は言うまでもない。
台北101からは台北市の美しい夜景を見ることができたが、やはり近くの市政府付近の夜景は美しかった。
また、台北101の中にあるショッピングモールの集積度にも目を奪われた。
忠孝復興駅~國父記念館付近
台湾では最もお金が落ちそうな感じが漂う繁華街だが、日本の政令指定都市の繁華街そっくりな様相。
このエリアは特におもしろいわけではないが、妙に「ホーム」的な安心感があった。
ところで、台北市の人口は大阪市と同程度の260万人程度だが、大阪の都市の規模は360万人程度の人口の横浜市をはるかに上回るわけで、当然ながら台北市よりも大阪市のほうが大きいと思う。
感覚としては台北市は人口360万人の横浜市や220万人の名古屋市と同程度の規模の都市なのではないかと思う。
また、パリ市も人口は220万人程度だが、実際のパリ市の規模はかなり大きい。
パリ市も台北市も面積が狭いために人口があまり多くないように見えるのだが、都市圏全体で見るとかなりの人口になる。
台北市には周囲を取り囲むかたちで人口400万人近いの新北市があるため、基隆市も入れて台北都市圏として700万人の人口を擁しており、かつ、その隣に人口200万人で空港がある桃園市がある。
永康街付近
グルメとファッションの街といった感じだが、新しいというよりは古さを残す街で、なかなか味のある店が多いのではないかと思えた。
夜しか見ていないからあまり知ったふうなことは書けないが、規模は小さいし、特徴もそんなにはないように思うので、時間がない場合は必ずしも行かなくて大丈夫かなとも思えた。
迪化街
龍山寺付近もいい感じに古かったが、ここはもっといい感じに古い。
古くからある問屋街で、漢方や乾物を多く取り扱っているので陳列されている商品の種類も膨大ならば、内容もかなり濃い。
でも、臆病者の僕には何も買えないし、何をどう買うのかもわからない。
買おうが買うまいが、また台湾に来てもこの空間の雰囲気と臭気は体感せねばなるまいと思う。
迪化街の発音は「ディーホアジエ」と言うのだが、思わず中国人っぽく発音を連発してしまう。
中正紀念館・二二八和平公園・総統府付近
行政施設とモニュメントが並んでいる場所で、立派な建物に感嘆するのみで、特におもしろくはないが、観光に来て見ずに帰れる場所ではないと思う。
中正紀念館のある台湾民主公園や二二八和平公園では休日に立ち寄ったためか、演奏や歌唱や武術やダンスなどをして過ごしている人が多くて、彼らを見て楽しめる。
饒河街観光夜市
初日の夜に立ち寄った台北101から近く、タクシーですぐだという理由でこちらの夜市に立ち寄ったが、400メートル程度の長さに2本の道が入っている作りになっていて、往復すればほぼ全てを見ることができるのだが、人が多いのとゆっくり考える余裕がなさそうなので、胡椒餅以外のものを口にすることなく立ち去ってしまう。
士林夜市に翌日に行こうと思ったが、小雨がパラついていたのと、永康街や西門で夜を過ごしてしまって時間がなかったのと、国立博物院の帰りに昼間に士林に立ち寄ったこともあって士林夜市には行かず…。
こちらは次回の課題にする。
故宮博物院
国民党政権が中国の秘宝をゴッソリ持ち出し、それを展示しているというのだから質・量ともに圧倒される。
量にも圧倒されるとはいえ、展示されているのはごくごく一部なのだろう。
火事場泥棒的な持ち出しだったのだろうとはいえ、文化大革命の前に持ち出したのだからこの持ち出しは大功績だと思う。
展示物の中でも清朝時代のヒスイの彫刻の白菜と瑪瑙類の鉱物の彫刻の角煮ばかりがクローズアップされるのだから、見る人のレベルもだいたいそんなものなのだろう。
故宮博物院というから「故宮」という言葉が一人走りしてしまうが、台湾の「故宮」は別に何もないような場所に作った博物館といった様相で、建物のすごさのようなものは感じない。
とはいえ、世界に恥じない博物館であろうとする意図は十分に感じられる場所で、「故宮」という言葉さえ頭におかなければとても現代的かつすばらしいハードの博物館である。
そして、「故宮」という言葉を想起したとして、あの圧倒的な規模と威容で迫る北京の紫禁城とハードを比べてはいけないということについても言及しておく。
その他の所感
物価
ホテルつきのツアーで旅行をすると主な消費は食事・交通・サービスとなるが、交通とサービスについては、地下鉄の値段は60円ぐらいだし、タクシーの初乗りも200円程度、マッサージも30分で1,200円程度と日本よりべらぼうに安い。
まあ、タクシーとマッサージの料金については昔にも日本がいかに高いかとバンコクの回で怒っているので、今回は何も言わないが、食べ物に関してもこちらは半額以下だと思う。
一人当たりのGDPは日本の40,000ドル程度に対して台湾は15,000ドル程度だが、購買力平価で見ると日本の33,000ドル程度に対して30,000ドル程度となるようで、数年で抜かれる予測らしいが、実際、こんなものだと思った。
海外旅行でお互いの国を行き来さえしなければ、日本人と台湾人の生活物価水準には実感できるほどの差はないのではないかと推測する。
むしろ、食べ物の購買力に関していえば日本より台湾のほうが上だと思う。
台北のとある甜品は150円程度で提供されたが、あれと同じ質・量のものを東京で提供するならまず500円は取るだろうから、あの甜品に関していえば、日本の一人当たりのGDPは50,000ドルぐらいあってくれないと困るということになる。
小籠包も8個入りで240円程度だったが、東京だったら700円は取られると思う。
食べ物が激安なのとは逆に、街に貼られている不動産の売買情報に目をやるとマンションは東京より台北のほうが高いような気すらする。
これはバブルなのではないか?と思うような物件の価格だったのだが、どうしてなのか謎が残る。
しかも、台湾の建物は一見味があるようにも見えるのだが、細部を見ると日本の建物ではなかなかないようなアラが多々見つかってしまい、質は低いように思った。
台湾も地震国であるだけに不思議である。
文明?
台湾は十分に文明的な国だが、やはり中華民族だけあって、食堂から発される強烈な臭気や衛生環境・交通マナー・建物や家の個々の美観などにおいては全く文明的な印象を持てない。
もちろん、日本も台湾も家の美観に関しては世界最悪クラスだが、日本の家は清潔そうに見えるものの、こちらは清潔そうに見えない。
今となっては日本より一人当たりのGDPで日本を超えてしまったシンガポールでも、10年以上前に旅した際に同じ感想を抱いた。
いくら外観を綺麗にしても、建物に入ると中国的なカオスが建物内に充満していて洗練とは対極のたたずまいを見せているのだ。
中国系の人というのはどんなに豊かになろうと、東南アジア諸国で社会の所得の上位層を形成しようとこのカオスを身にまとって生きる人種なのかもしれないとは常々思っているところである。
もうひとつ、どうしても文明的と受け入れ難く思ったのは、トイレットペーパーの扱いについてである。
尻を拭いたトイレットペーパーですらトイレに流してはダメで、隣のゴミ箱に捨てるように…というようなことをバスの添乗員に言われたのだが、これには日本人の多くが閉口したであろう。
紙がつまるタイプの物なのか、パイプが細くてつまるのか、両方の説があるようだが、これは先進国にあるまじきことだと僕は思う。
話は脱線するが、東南アジアや南アジアの多くの国ではトイレットペーパーを使わずに水で尻を洗うが、これもGDPがいくら上がっても変わらないのか気になる。
でも、今やウォシュレットがないと尻を拭いた気になれない僕のような人間にとっては、「実はこの方法、やったことはないけど、もしかすると理に適っているのかも?」と思うこともあったりするのだが、紙をかまさずに尻に触れる勇気は出ない。
アジアは似てる?
タイもベトナムもマレーシアもシンガポールもインドネシアも香港も台湾も街を歩いて思うのは、街の雰囲気がとても似ているということだ。
僕は「アジアは一つ」というような言葉に違和感を覚えている人間だが、これらの街は実際に歩いていてカオスな感じや建物の作りや感じがとても似ているのだから「アジアは一つ」だわな~と思わざるを得ないのだ。
特に街が発する臭いが似ているという点については似ていることの最大の証左になるように思う。
これらはすべて中国系の住民がもたらした影響であると断言できると思うのだが、もはや、先に述べた国々の文化や生活スタイルというのは中国とのミックスカルチャーであって、オリジナルなものはなかなか存在し得なくなっているということなのだろうと思う。
日本も中国の影響を大きく受けている国だが、やはり日本はこれらのアジアの国とは一線を画しているように思う。
臭いから全然違うわけで、やはり、長年の鎖国と華僑の少なさが中国との生活文化の断絶を生んだのだと個人的には確信している。
韓国・フィリピン・ミャンマー・ラオス・カンボジア・モンゴルはまだ訪問していないが、必ず訪問するであろう韓国では、そういった視点での検証もせねばなるまいと思っている。
なお、バングラデシュ以西のコーカソイドが住む地域を「アジア」だとか「東洋」という枠に画一的に当てはめて扱うことに対して僕個人は強い違和感を持っているのでその旨は付記しておく。
【追記】
韓国・フィリピン・カンボジアにはその後に訪問したが、韓国は比較的中国人の影響が少ないように思ったが、逆に日本から受けた影響がかなり強いと思った。
やっぱこれ!