シエラレオネという国があるのをご存知だろうか…。
統計を見る限りでは“世界で最も豊かでない国”だと思う。
世界に53ヵ国ある英連邦の一国でもあり、1961年に独立した元イギリス領のこの国は、500万人以上の人口に対して、医者がわずか50人しかおらず、男性の平均寿命が33歳、女性の平均寿命が36歳の国で両方とも世界最下位である。
ここまで平均寿命が低いのには乳幼児死亡率が高いからであるともいえ、3人に1人の子供は5歳までに死ぬという。
乳幼児死亡率も最下位であり、ちなみに日本の乳幼児死亡率は200人に1人である。
なお、国民のうち約1万人が反政府ゲリラRUF=革命統一戦線に手足を切断され、100万人がホームレス状態にあり、政府と反政府ゲリラの戦いは内戦停戦後の今もなお続いているという。
また、シエラレオネは世界8大難民流出国の1つで世界3位の難民流出国らしい。
まさに「終わっている」としか言いようのない惨状である…。
ところで、農村地帯は食べるのにも困る状況なのに、首都のフリータウンは活気にあふれているらしいが、首都というものはどこの国でもそのようなものである。
また、この国はダイヤモンドが豊富なことで知られているのだが、それが紛争の原因となり、また、反政府ゲリラの財政源となっているから悲しくなる。
また、元々肥沃な土地を有していてコメを中心とする農業の盛んな国だったというが、今は荒れ放題である。
一人当たりGDPは最下位から4位の146ドルだが、購買力平価では最下位なので、事実上の最下位である。
そんな飲まず食わずの国に限って子供をたくさん生むから人間というのは不思議なものである。
シエラレオネの出生率は6.5で世界14位、人口増加率は世界4位なのだが、人口増加率の上位3ヵ国はソマリア・リベリア・アフガニスタンであり、ハッキリ言って「世界の中で最も不幸な4ヵ国を挙げたらこの4ヵ国なのではないか…」と言いたくなるような国々でもあるわけで、こんな国でより多くの子供が生まれていることを考えるだけで辛くなる…。
この国がこんなことになってしまったのは1991年から2000年まで続いた内戦によるところが大きいのだが、反政府軍によって誘拐された子供がコカインなどの麻薬によって恐怖心を無くした軍隊に育てられたりしたらしく、その少年少女らの心の傷は今でも残っているという。
なお、シエラレオネのダイヤモンドは隣国のリベリアが独占的に密輸して世界中に売っているようである。
国連はリベリアからのダイヤモンド購入を禁じているものの依然として密輸が続いているという。
これは「紛争ダイヤモンド」と呼ばれている。
また、反政府ゲリラRUFはリベリアにおいてゲリラの特訓を受けているらしい…。
しかし、リベリアの国民も同じように内戦の苦しみを味わっているのである。
なお、リベリアの識字率はシエラレオネをさらに下回る20%である。
「こんなに悲惨な国が他にあるか?」と言いたいところだが、南アフリカを除くアフリカ中南部の国以外はこんな国ばかりだから心底参る…。
なお、HIV感染者はシエラレオネが7%なのに対し、ボツワナなんかは39%もいるようである。
アフリカの国が貧しいのは内戦・部族間の争いをはじめとする政治的な理由が大きいのだろうが、ヨーロッパの支配政策だけが原因だとは絶対に思えない。
その必要性もなかったのかもしれないけれど、そもそもアフリカ中南部というのは歴史上文明らしい文明を持ったこともないわけだが、彼らには国家を健全に統治する素養が根本的に備わっていないのかもしれないと人種差別的なことを思ってしまったりもする。
まあ、そもそもそういったロジックで白人から植民地にされていたわけなのだけれども…。
ところで、2005年現在、シエラレオネに滞在する日本人は8名で、日本にいるシエラレオネ人は41人なのだという。
こんなに遠すぎる国のことだから普通に生活していて考えることはほとんどないわけだが、考えたり調べたりしてみるととても重苦しい気持ちになる。
私は世界中の国々をもっともっと旅したいと思っているが、どう考えてもアフリカ中南部に対してはこのような暗いイメージがつきまとうし、文化的にもほとんど魅力を感じないのでこの地域に行きたいとは全く思わない…。
本来、こんなことは自分の中でだけ考えていれば良いことであり、ブログを読んでくださった方にわざわざ伝えるべきことではないのかもしれないが、なんとなく今日はシエラレオネのことを書いてしまった…。