GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

K-1 WORLD MAX 2004 世界王者対抗戦 [2004/10/13]

 

各試合ごとの感想

須藤元気 VS ●マイケル・ラーマ (2RTKO・顔面へのヒザ蹴りによるカット)

マイケル・ラーマ選手は自分にパンチしかないとわかっていたため、予想以上の圧力で一気に間合いを詰めて攻めて来た。

そのため、この試合に限っては須藤選手は日本人相手の場合と違って、パフォーマンスを見せる暇もなかった。

回転して後ろを向いたところに追撃をかけて後頭部を殴りに行くのはラーマ選手が初めてだったのではないだろうか。

それほどアグレッシブな選手であった。

しかし、須藤選手の「仮想ラーマ」を意識してスパーリングパートナーを努めた自分と実際のラーマ選手とでは全然圧力が違ったであろうに違いなく、「申し訳ないことをしたなあ」と思ってしまった…。

また、ラーマ選手は「ボディー・スナッチャー」という異名を取るだけあって、2Rに繰り出した数発のボディー打ちには光るものがあった。

ラーマ選手対策としてボディーを徹底的に鍛えていた須藤選手をして「効いた」と言わせていたので相当なものだったに違いない…。

2Rのヒザ蹴りによるカットでメインイベントが終了したので、ちょっと消化不良感があったように思えるが、1Rにバックブローでダウンを取っていたので一応は完勝といえるだろう。

しかし、バックブローでダウンは取ったし、左ローキックも効いていたのに何故か「薄氷の勝利だったな」という感じがちょっと残ったのは不思議だが、それほどラーマ選手がボディー打ちで善戦したということだろう。

ところで、ラーマ選手はあくまでWBC北米インターコンチネンタルチャンピオンという肩書きで、マイナー世界タイトルに挑戦したことがあるというだけにすぎないのにアナウンサーが「相手は世界チャンピオンですからね…」と訳のわからないことを言っていたのには、ゲストの畑山隆則氏も苦笑していたに違いない…。

それにしても、練習の時の須藤選手と試合の時の須藤選手は、別人のような動きを見せており、「本番に強い」と言われるだけあるなあ…と感心してしまった。

 

小比類巻貴之 VS ●アルバート・クラウス (判定3-0・クラウスは1Rに飛びヒザでダウン)

小比類巻選手は武田戦と同じくして顔面への飛びヒザ蹴りで完勝したが、パンチを主体とする選手は前傾姿勢で、しかも蹴りに対しては上体をあまり動かさない選手が多いので飛びヒザ蹴りが入りやすいとはいえ、大一番の舞台でこのような大技を入れる小比類巻選手は立派だったと言わざるを得ない。

その後の展開も、きちんと作戦を練っていたようで、クラウス選手のペースには全く巻き込まれることのないまま判定まで持っていった。

いつもより手数も多かった気もするし、完全に小比類巻選手の作戦勝ちであった。

クラウス選手は最近、良くない内容の試合が続いているだけに次あたりが正念場となるだろう。

 

武田幸三 VS ○ブアカーオ・ポー・プラムック (再延長判定0-3・武田は再延長に左フックで2ダウン)

武田選手は意外と善戦して延長2Rまで持っていったが、蹴りではなく左フックで2回ダウンを奪われて判定負けに終わり、「5Rさえなければなー、しかもブアカーオからパンチでダウンを取られちゃしょっぱいでしょ~」といった印象を強く残した。

ブアカーオ選手に思ったほどの前蹴りを出させずに善戦したとはいえ、ブアカーオ選手の左ミドルキックが武田の右手を見事に封じたので、内容的には武田選手の完敗であった。

ブアカーオ選手の左ミドルキックが武田選手の右腕を破壊していたのは後日に行われるTITANSのメインイベントをキャンセルしたことからも明らかで、それに対して、武田選手の右ストレートは全く不発だった。

逆にブアカーオ選手選手はTITANSのことを考えて温存していたのかもしれない…。

武田選手を形容する時にたびたび「肉を斬らせて骨を断つ」や「勝っても負けてもKO必至」と言う言葉が用いられるが、あれは何が言いたくて用いられるのだろうかと私はいつも思う。

これらの言葉は、多少は打たれてもリスクを覚悟で手数を出して攻めまくるスタイルの選手に言うべき言葉で、武田選手のように手数の少なすぎる選手に対して使う言葉としては当てはまらないだろうといつも思ってしまうのだ。

一発一発の威力がすさまじいことは新日本キックのリングでの武田選手の試合を生で見てきた者としては良くわかるのだが、もう少しアグレッシブに行って欲しいものである。

しかし、そのメカニズムについてはわからないものの、ブアカーオ選手にあまり攻めさせなかったことは立派だと思った。

 

山本“KID”徳郁 VS ●ジャダンバ・ナラントンガラグ総合格闘技特別ルール] (1RKO・右ストレート)

KID選手はリング上でもリング外でも魅せてくれた。

まずは、魔裟斗もクラウスもダウン一つ取れなかった打たれ強いナラントンガラグ選手をワンパンチでKOしたことはKID選手のパンチ力の超人ぶりを如実に物語るに十二分だった。

そして、大晦日での魔裟斗選手への対戦要求も圧巻だった。

これまでは、魔裟斗選手も「俺とやるには早い」と言っていたが、魔裟斗選手がKOできなかったナラントンガラグを目の前でスタンディングでKOされては魔裟斗選手も断れないだろう。

抜群のタイミングでの対戦要求だったと思う。

本当にKID選手はプロフェッショナルだなと感心してしまった。

そういえば、KID選手は最近結婚したということは知っていたが、リング上で子供を抱えあげて、既に子供がいることまで電波上で発表してしまった…。

KID選手の年齢は私と同じで、魔裟斗選手の2つ上、小比類巻選手や須藤選手の1つ上で、子供もいるのに「KID」という呼び名の似合う男だと思ってしまう。

ところで、この試合を見て一番すごいなと思ってしまったのは、ナラントンガラグ選手が70kgジャストだというのに、KID選手は64.5kgしかないことに対してである…。

KID選手の本職は総合格闘技で、70kgジャストの魔裟斗選手と対戦をする…こんなハンディマッチがあって良いものかと心の底から思ってしまうのだが、これはボクシングなどでは絶対に考えられないことだろう。

それにしても、KID選手や村浜選手のような本来は軽いのに重い選手と試合する選手の勇気には本当に脱帽してしまう。

 

●小次郎 VS ○マイク・ザンビディス (1RKO・左右フック)

小次郎選手は「人生をかけた一戦」と言っていた通り、今後、K-1で活躍する場を与えられるかどうかの査定の意味もかなり強かったこの試合に、ものすごい意気込みを持って挑んだのだろうことは格闘技をやっている者として痛いほど良くわかったのだが、あっけなく、蹴りをも使えるようになったザンビディスの強打の前にKO負けを喫してしまった。

神は残酷だとしか言いようが無いが、死ぬ気で練習をしてベストを尽くしても結果がすべて。

これが現実なのだ…。

 

●大野崇 VS ○マルフィオ・カノレッティ (判定3-0・大野は1Rと3Rにダウン)
ジョン・ウェイン・パー VS ○アースラン・マゴメドフ (延長0-2)

大野選手やジョン・ウェイン・パー選手の試合はオンエアして欲しかったのにオンエアされなかったので見てはいないが、大野選手はマルフィオ・カノレッティ選手という実力者との対決だったわけだが2度のダウンを喫したようで負けてしまった。

大野選手に当てられる相手というのは毎回毎回が地味にやたらと強いんだよな~。

ウェイン選手は先日の世界一決定トーナメントでは唯一ブアカーオ選手と接戦を演じて、言うなれば「裏準優勝者」だった選手で、また、大変な実力者との誉も高い選手だが、これまた実力者という話があるマゴメドフ選手というそれほど有名ではない選手との試合を取りこぼしてしまった。

ウェイン選手の48勝16敗の戦績は、魔裟斗選手の36勝4敗2分という戦績と比べても分の良い戦績ではないが、こういう試合を取りこぼしてしまうところにその原因があるのだろうと思った。

 

コンラッドバンコクのプール