各試合ごとの感想
1回戦 ●曙 VS ○張慶軍 (延長判定0-3)
曙は何もできないまま散打の選手に負けた。
散打の選手の強さはこの試合では計測不可能だった上、次戦には怪我で棄権したので、全くと言って良いほどわからなかったが、そう大した選手ではなさそうであった。
それにしても、曙の異常ともいえる動きの遅さと手数の少なさを見れば、誰しもが、「これから出ても勝てないだろう」と思ったに違いない。
あれだったら、ミドル級の選手でも、殴って逃げて、蹴って逃げて、という動きを圧倒的な手数で繰り返せば、押しつぶされでもしない限り勝てるのではないかとすら思う。
曙の話をまだ続けるが、曙は重い体を膝が支えられなくなって引退したぐらいに膝が決定的に悪いので、これから先も、どちらにせよ、威力のあるローキックを蹴ることのできるキックボクサーには絶対に勝てないということは誰しもが容易に想像できることであり、もちろん谷川氏もそのことぐらいは分かっているものと思う。
「どのぐらい強いのか試して欲しい」と素人・玄人問わず、誰もにそのように思わせた、かつてのボブ・サップとは全く違うのである。
このことが分かっていないのは、哀れなことに曙当本人だけであろう。
そして、谷川氏は、「本人と相撲協会には悪いが視聴率をとるために徹底的に使わせてもらう」と思っているのだろう。
確かに、今回までは曙で視聴者を釣ることはできたわけだ。
しかし、今回の無様な試合内容は次回の試合の内容も簡単に予想がつくため、これからは曙でとれる視聴率もどんどん下がってくるであろう。
1回戦 ○中迫剛 VS ●イ・ミョンジュ (判定3-0)
2回戦 ●中迫剛 VS ○ガオグライ・ゲーンノラシン (判定0-3)
中迫選手は1回戦に、イ・ミョンジュなる聞いたこともない韓国人選手に判定で勝つには勝ったものの、私はこの一戦で完全に彼に愛想を尽かした。
この試合では、得意のパンチが当たりまくっていたのに、一向にダウンを取れなかったのだが、このパンチ力の弱さと、本人自身の打たれ弱さではこれからもヘビー級戦線で勝つことは難しかろうということを、ファンに雄弁に語った一戦だったといえる。
そして、2回戦ではあろうことか、ヘビー級の選手が、武田幸三選手に負けたスーパーウェルター級のタイ人ガオグライ・ゲーンノラシンに勝てなかったことの意味は大きすぎる。
ヘビー級でありながらMAXでも優勝できないレベルだということなのだから厳しいなと思った。
決勝 ●子安慎吾 VS ○ガオグライ・ゲーンノラシン (再延長判定0-3)
子安選手にはMAXでやれといいたい!
170cmの身長で88kgもあるようだが、おそらく70kgまでの減量は可能であろう。
まあ、彼の場合、本人自身が、MAXでやっても勝てないとわかっている上で、GPでやっているのだろうから、確信犯と言えなくもないが、最近、あの「かけ逃げ」子安キックが通用したことはほとんど無いし、もう、視聴者とて彼には期待をしなくなってきたのだろうから、プロならば、思い切って、ハイリスクなMAXに挑戦してみて欲しいものである。
K-1はコアファンを馬鹿にし続けるとファン全体に見放されかねない…。
この韓国大会の進行はかなり酷いものになったと聞く。
視聴率をとるために、リザーブ選手の変わりに曙を2回戦に進めようとしたり、中国人選手の怪我の箇所の説明を間違ってしまったり、棄権した中国人選手がピースサインをしたり、決勝をダイジェストにして放送したりと、ファンのK-1離れをさらに加速させるような行為が多かったというのだが、このような行為はやめて欲しいものである。
中でも、決勝は、たとえ、テレビ局のプロデューサーが何と言おうと、決勝をあのような形でカットするのは競技スポーツとしての権威に関わってくるので、強引に押し切ってでも放送して欲しかったように思う。
曙や、打撃経験のない朝昇龍の兄スミヤバザルや、タイソンやボタをはじめとするロートルの元世界ボクシング王者を使って注目度や視聴率を上げたい谷川氏やテレビ局の気持ちは2003年大晦日でボブサップ対曙で高視聴率を上げたことからも理解はできる。
K-1はスポーツコミッショナーではなく、興行で行われているのだから、ある程度商業主義になるのは止むを得まい。
多くのファンはそれすら批判するが、私はそれについて批判はしない。
しかし、テレビ局のスタッフが思うほどに視聴者が馬鹿ではないということは、テレビよりコアなファンのことを優先して考え続けたPRIDEが視聴率面で優位に立ってきたことからも明らかになってきている。
確かに、PRIDEの高視聴率は、著名な日本人柔道家の参戦によるところは大きいのだが、それよりも、PRIDEが、キワモノ同士の闘いなどではなく、ピュアな最強決定の闘いや技術の応酬を提供しており、それを視聴者が支持しているからによるところが大きいのである。
誰しもが打撃格闘技の頂点は華やかなK-1の舞台であって欲しいという願っていることだけは事実なのだから、何としても路線を立て直して欲しいものである。
夜のカオサン通り