GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

エリートアスリートとカネと環境

高野連は今頃になって何をわかりきっていることを言い出すのか、特待生制度について騒動になっている。

日本学生野球連盟憲章では禁じられている、授業料免除などの特典を与えられた特待生の存在が表面化。

かねがね問題になっていた野球留学も、この特待生扱いと裏表の関係になったわけだが、その後の高野連の調査で全国377校、7920人の特待生の存在が明らかになった。


過去に、連帯責任が好きな戦前派の巣窟である高野連に嫌気がさして高校野球がすっかり大嫌いになった私ではあるが、今回のニュースはいろんな意味で考えてしまうニュースだと思った。

 

最近は、談合しかり、天下りしかり、牛肉偽装の件しかり、政治家の金集めしかり、政治家の光熱費しかり、世界史未履修の件しかり、食品衛生基準しかり、プロ野球のスカウトしかり、インサイダーの人間には黙認されてきたようなことが一気に騒ぎに発展するケースのニュースがやたらと多い。

もちろん、今の世の中に悪いことが増えたのではなく、むしろ悪いことを隠せない世の中になったのだと思う。

 

インターネットだの、内部告発だのによって不祥事が明らかになりやすくなったわけだが、不正に対して厳しいフェアネスな世の中になってきたのはとても良いことだとしても、全体が萎縮しまくりな世の中になっている気がするのも気のせいではあるまい。

何か気に食わないことでも発言しようものならすぐにネットで炎上する嫌な世の中だけに、絶対に目立ちたくだけはないと思う。

 

何のスポーツでも一流選手になりたかったら一流の指導者と環境の元でやったほうが良いに決まっている。

そりゃピッチャーのほとんどが4番なように非凡なヤツはどこでも非凡なのだろうが、それでも環境は大切である。

じゃなかったらプロ野球にあんなにたくさんのコーチ陣はいらんだろう。

ちなみに、甲子園のスターであるダルビッシュ佑ちゃん野球留学組だ。

 

確かに、箱根駅伝で褐色の選手がやたらと速い展開には辟易する。

しかし、恵まれた環境を提供しようという気のある学校において素質ある選手が一生懸命に野球に打ち込むことこそが名選手を作ることも間違いないであろう。

つまり、高野連の発想だと、名選手は育ちにくくなるということだ。

 

とはいえ、オイラは国を挙げてスポーツを強化するのは社会主義国のやることと思っているから、別にスポーツエリートを養成してもらわなくても一向に構わない。

オリンピックにおける日本のメダル数が少なくても一向に構わない。

むしろ、栄光を手にした選手の影で、そのスポーツにばかり打ち込みすぎたがために社会人としてあまり使い物にならない存在に成長してしまったアスリートの身の振り方を陰ながら心配している人間の一人である。

 

ところで、国は最近、西が丘のナショナルスポーツセンターを大幅拡充したようだし、スポーツエリートを育成したいという意向も感じ取れる。

高野連の考えと国の考えが一致していなくても別に矛盾は生じないわけだが、当の選手達にとっては困惑する話であろう。

だって、なんだかんだいって、毎日試合ができ、国民的人気の高いプロ野球ほどカネになるスポーツはないのだから…。

 

ちょっと身近な話をする。

私が大学3年ぐらいのときに、「これからは大学は野球と駅伝にカネをつぎ込むそうな…」という話を聞いた。

その頃は体育なんて全然ダメな大学で、だからこそ私がキックボクシングというマイナー競技で学生チャンピオンになったときに激励金として10万円をくれたような牧歌的な大学だったのだが、私が在籍していた頃、大学の野球部は東都4部リーグだったと思うし、駅伝もダメだった。

それが、数年経ったら、野球は東都1部リーグに昇格しているし、駅伝も箱根駅伝に出るようになった。

現在、1年生の村松投手が東都1部リーグで活躍しているし、プロ野球ルーキーの嶋選手も輩出している。

要はスポーツはカネをかけりゃ強くなるってことだ。

 

でも、大学生の頃はその大したことのない野球部の2番手投手で、体育会のアルバムに小さく「サブマリン急浮上!・渡辺俊介と書かれていた投手が、社会人を経てWBCで活躍するような大投手になっていたという後日談があるから痛快である。

小さな大学の同学年にこんなすごい人がいたなんて思いもよらなかったもん…。