福井日銀総裁が窮地に追い込まれている。
村上ファンドへ出資していただけでなく、福井夫妻は2000年8月に購入した阪神株2,000株と、相続で取得した高島屋株5,000株という村上銘柄を持っていたらしい。
発表したタイミングが最悪なので、福井氏は窮地に追い込まれるのかもしれない。
確かに、こういったくだらないミスを犯したり、ノーパンしゃぶしゃぶなんかに行ってしまうワキの甘さは責められるべきだが、「こんなことで辞任したら世界はこれをどう見るのだろうか…」ということを考えるのは私だけでなく世間や世界の認識でもあろう。
ところで、グリーンスパン前FRB議長は一切株式などを持っていなかったが、それはアメリカの法律で禁止されていたからである。
日本にもそういう法律があったら福井氏は退任しなくてはならないが、日本ではそういったことは何も決められていないという。
なので、福井総裁の倫理感覚ももちろんだが、それよりむしろ、日本の法律の不備こそが悪く言われるべきなのではないかとも思う。
粉飾決算やインサイダー取引への刑罰が軽すぎるのも同じような問題といえる。
また、高島屋株は相続だったからしょうがないし、時価は3倍程度になるが阪神株も取得額ベースでは60万円程度でしかなかったわけだし、取得時期も村上ファンドとは何の関わりもないと思われる。
投資額を考えると、大の阪神ファンである福井氏が「球団のファンだから保持した」と言ったとしてもほとんど差し支えのない額といって良いだろう。
だって、零細投資家の私ですらそんな小額取引はめったにしないのだから…。
むろん、高い倫理観が求められる日銀総裁という立場を考えれば不適切というかワキの甘い行動であったといえるだろう。
しかし、テレビなどのマスコミの報道姿勢というのはそういった観点からはなされていないことが多いように思う。
「庶民感覚からかけ離れている」「立場を利用した金儲けが目的」などと悪意たっぷりなことを言ってみたりで全く冷静さにこと欠いている報道が多い。
そんな報道ばかりがなされるから「福井氏は辞任すべきか?」などと聞いた世論調査の数字など取るに足らないとしか思えないのだ。