GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

2005年総選挙時における日本の政治について⑧ 郵政民営化について

選挙戦が終わった。

明日はとうとう選挙だ。

 

 

郵便貯金銀行について

前からずっと言い続けていることなのだが、郵政民営化の問題で個人的にどうしても腑に落ちないことがある。

それは、郵便貯金銀行は「民営化した後にどうやって340兆円もの資金を運用するつもりなのか?」ということである。

 

そして、このことが大マスコミから騒がれないのが私にとっては不思議でならないし、日経新聞などを読んでもこれらのことについてはあまり書かれていないので、もしかするとこういった不安を抱くこと自体がナンセンスのなのかもしれない…。

何せ、私にとって金融とは、理解しようと努めてもいまだに理解できない苦手な領域であるため、こんなことを書いておきながらきちんと咀嚼できていない面もある。

もし、このブログを読まれた方でその辺について解説できる方がいらっしゃったら教えていただきたいぐらいである。

 

ただ、私がここで述べていることは大前研一氏の意見から導いている部分が多少存在していることは断っておく。

 

金融機関が資金を運用するためには融資を中心に運用する方法と投資を中心に運用する方法とがある。

しかしながら、このように巨額な資金を融資するメガバンクは郵便局以外には世界のどこにも存在しないし、現在の日本の会社の財務体質はかなり良いから、それこそ特殊法人でもなければそのように莫大な資金需要がないであろう…。

 

ところで、メガバンクには1万人ぐらいはいるであろう融資担当社員が現在のところ郵便貯金の銀行には全くいない。

このような状況ではスタート時点から既に銀行失格であるように思われるのだがどうなのだろうか?

体力にものをいわせた低金利融資作戦で他の銀行の顧客を乗っ取るという作戦も考えられなくもないが、それは明らかに民業圧迫につながるし、郵便貯金銀行の事業内容には民間への融資はないと思うのでその手はとれないだろう…。

 

となると、融資ではなく投資をすることで運用することが考えられるが、郵便貯金と簡易保険は投資銀行としてやっていくにしてもあまりに図体がデカすぎるように思う。

東証時価総額ですら400兆円だというのに、どうやって340兆円もの資金を運用するつもりなのだろう。

あまりに巨額すぎて心配にならないほうが無理というものである。

海外にはかなり有利な利率・条件で借りてくれる大プロジェクトがたくさんあるというが、それを見定める眼力が郵便貯金銀行にあるかどうかもわからない…。

 

まあ、郵便貯金銀行から他の銀行や国債や株にある程度多くの資金が流れることは想定できると思うので、運用額が減ることぐらいは想定できるが、それにしても運用額が多すぎることには変わりはないと思う。

誰かこの辺の疑問に明快に答えている方はいるのだろうか?

私が見逃しているだけかもしれないが、暇人の私が見逃すということは他の有権者が見逃している可能性も高いということで幾分か心もとない。

いずれにせよ、「民間の知恵を借りる」などと言って議論を避けるにはあまりにハイリスクな問題だとは思う。

 

そういった意味では民主党の漸進的な案のほうがリスクを限定しているように思えなくもない。

しかし、民主党がまずかったのは解散されるまでろくに対案を出さなかったことである。

それでは国民の支持は得られないし、どんなに正論を言っても争点をそらしているようにしか見えなくなってしまう。

民主党は国会で法案が否決される前に致命的なミスを犯してしまったと思う。

また、どう見ても「民営化」という響きは公社維持という響きより良いから、中身的には自民案よりリスクの低いことを言っていても国民には理解されないんだろうな~と思う。

さらに、「小さくしてからの民営化はあり得る」という正論を言ってみても自民党に攻撃されまくるし、とってつけて言ったことのよう聞こえてしまうから民主党も踏んだり蹴ったりになっているなあとは思う…。

 

また、民営化推進派は、「民営化されれば国は税収を得ることができるし、いずれは株式の売却益を得ることもできる」と言うが、いくら郵貯銀行の時価総額がそれなりに高くなることが予想されるとはいえ、郵貯銀行の株式取得する資金はおよそ5兆円とかそれくらいであり、郵貯銀行の資金力と比べれば断然小さな額である…。

このことについては“抵抗勢力”が「郵便局がハゲタカの餌食になる」と散々叫んでいる通りなのだが、あまり良心的でない外資ファンドなどが一気に株を買いにくる可能性がないとも限らないわけでもある。

まあ、基本的には市場原理に任せるのがよろしいのだろうが、「国民はそれを受け入れられるかな?」とは強く思う。

実際には規制するなりして省庁がコントロールするのだろう。

 

現在、郵便局は国債を優遇的な金利で運用できているが、こういった処置がなくなったら、世の中には個人向け国債というものがあるのだから、主に国債を買って資金を運用する金融機関なんてあったらちゃんちゃらおかしいし、国債金利から手数料を割り引いたような商品を買うのは単に騙されやすい人だけである。

…というわけで、郵貯銀行は国債中心の運用はできなくなってしまう。

 

 

個人的には「郵貯に預けていた個人資産が欧米諸国のように株式投資に大量に流れてくれれば株価上昇につながって景気も良くなるし、日本企業の時価総額も適正な水準にまで上昇するのにな~」と思ってはいるのだが、この線の実現性はビミョーだわな…。

でも、アメリカのように半分の国民が株を持てとは言わないが、株式保有者比率7%という日本の数字は低すぎるとは常々思ってはいる…。

 

また話を戻すが、現在は、集めた340兆円は国の管理の下で国債購入や財政投融資に使われてきたが、民営化されたらこれらの方法で運用するように縛っていくのを国は完全に止めるつもりなのだろうか?

 

確かに、「官の領域を小さくするかどうか」ということについて端的に問うているのが郵政民営化の是非であり、郵貯簡保が集めた340兆円もの資金を財政投融資を通じて無責任に資金を供給してきたことで、特殊法人のような非効率極まりないシステムが温存されてきたわけだが、入口である郵貯簡保から資金が供給される流れを絶たなければ財政投融資特殊法人改革にならないことになるわけだし、そうでなくては、本末転倒な結果になるからおそらくはそうなのであろと期待したい…。

 

しかし、そうなった場合、現在は財投に助けられている赤字の特殊法人はどこから金を充足するのだろうか?

自前で発行した債券が売れなかったり、民間の金融会社から資金を調達できないような特殊法人については壊死してしまうだろうから、そうなった時には、当初の目的通りに解体・清算などの手段で特殊法人を整理してくれるのだろうか…。

そうでなくては何のための郵政民営化による特殊法人改革かわからなくなる。

 

しばらくは国が株式を握ることになっているのだろうが、その期間が終わった後も株の持ち合いで実質的に国のお抱え機関に成り下がるつもりなのだろうか?

現在の法案のままでは国は株式を売却することにはなっているものの、持ち合い自体は可能になっているのが問題である…。

 

郵便事業について

ついでに郵便事業についても思うところを書いておきます。

 

郵便事業は電子メールが発達した今の世の中では衰退の一途をたどっており、郵政公社のままではジリ貧になることを生田総裁自身が認めているのだが、民営化して多角的かつ自由に事業を行なうことでそれを防ぐことができるかもしれない。

また、ゆうパックヤマト運輸の宅急便より料金面で安い場合が多いが、納税をしていない郵政公社に対してヤマト運輸が不当廉売ということで訴えているらしいが、民営化されればそういったことで係争することもない。

っていうか、現状では郵便側のほうがあまりにアコギである…。

 

しかし、世界には「万国郵便条約」という条約があって、批准している国は郵便物を全国一律料金で届けなければならないことになっているという。

その役割を郵便局に持たせるのであれば、そのために必要な最低限度の費用ぐらいは国が持って良いような気はする。

 

私は不当に高い報酬を受け取る特定郵便局を批判はしたが、実は報酬水準が低い簡易郵便局については私は以前より否定的な立場を取っていない。

むしろ肯定的である…。

先日に私がお世話になった日原郵便局ももちろん簡易郵便局だったが、地域への配達のためにどうしても必要な窓口に多少の国費が投入されるのは別に良いのではないかと思う。

 

gooddays.hatenablog.jp